なかなかストランバイアにつかないな~
この男の子・・・もとい女の子の名前はユーリリア。13歳。男の子だと思われたのは思春期の女子として傷ついたらしい。
「すまんな・・・。」
「もういいですから。よく言われますし。もうすぐ着きますよ」
ユーリリアの村は小さな村だった。村中の人が知り合いみたいな。村の入り口にはたくさんの村人がいた(といっても30人くらい)。その中の40ぐらいの男性が話しかけてきた。
「リア!!無事だったか!!心配したんだぞ!!」
「ごめんなさい!!お父さん、ヒック、ううぇーん、怖かったよ~!」
ユーリリアがいきなり号泣しだした。俺達の前では泣かなかったが父親の元に戻って緊張の紐が切れたというか、ようするに安心したのだろう
「あなたがたは・・・?」
母親らしき女性が話しかけてきた。
「この人達が助けてくれたんだよ!!」
「・・・そういうことです。ストランバイアへ向かっていたら偶然この子を見つけたもので。」
「ありがとうございます!!娘を助けてくださって。お礼と言ってはなんですがこの村に滞在していきませんか?」
「・・・じゃあ、御好意に甘えて。いいか?ソラ。」
「いいですよ。」
「そういえばこの村の名前は?」
「モマノルク村です。かつては鍛冶などで盛んだったのですが、鉱山を魔物が占領してしまって・・・。
噂では竜がすんでいるとか・・・。」
「そうですか・・・。」
この村に来てから3日目のこと。夜の晩餐でユーリリアの両親や村長と決して豪華とは言えないご飯を食べていた。これでも、この村ではかなり豪華な食事らしい。鉱山を魔物が占領してから鉱物を取りに行けなくなり、鍛冶を生業としていたこの村は大打撃を受けた。さらに魔物を討伐しようとした冒険者や若者が魔物にやられて死亡したり、魔物を倒そうという気概がない若者はストランバイアやカルサラに行ってしまったらしい。ギルドから依頼を受けて来た冒険者は皆、鉱山の中に入ってしばらくしたら青ざめた顔で戻ってきて皆口をそろえて「竜が出るなんて聞いてないぞ!!」といって帰っていってしまうらしい。・・・それにしても竜、か。会いに行ってみるか。
「村長。魔物を倒したら報酬とか出します?」
「はい。倒してくれるなら。」
「じゃあ明日行ってきます。」
「お気持ちは嬉しいのですが、村の娘を助けてくれた恩人にそんな危険なことをさせるわけには・・・」
村長がそういったところにソラがギルドカードを提示して、
「私たちこれでもSランクの冒険者ですよ?」
といった。当然のように皆驚く。
「本当に、倒してくれるのですか?」
「はい。というか竜に会いたいので。」
「ありがとうございます!!」
こうしてモマノルク鉱山に入ることになった。俺たちは、村長と大人の話(お金とか)をしてすぐに寝ることになった。
寝る前にソラに少し龍と竜について話をした。
「龍と竜ってどう違うんですか?」
「うーん。簡単にいえば、龍は魔獣で竜は精霊というか幻獣みたいなものかな?ていうか竜は俺が造った。で、竜は頭が良くて強くて人間に友好的。対する龍はそんなに頭が良くない。まあ人よりはいいけど。そして竜より強くない。俺≫≫越えられない壁≫≫≫≫神≫竜≫≫≫≫越えられない壁≫≫≫≫
龍ってとこかな。」
「ちなみに人は?」
「龍≫魔物≧人」
「人って弱。ていうかシンヤさん、神なのになんで神より強いんですか。」
「そもそも神を造った神だし。皆俺の一部みたいなものだからね。」
「ふーん・・・。でその神より“ちょっと”弱い竜を倒すんですか?」
「倒すかどうかは会ってから。龍だったら倒すけど竜なら説得する。」
「なんで龍なら倒すんですか?」
「龍は魔獣だから。魔物は倒さないといけない。魔物は世界のバグみたいなものだから。」
「バグ、ですか?」
「うん。この世界を造ってた時にいつのまにか現れてたんだ。」
「そういえば、説得するってできるんですか?」
「うん。人間は俺が生み出したのがどんどん増えてったから俺を知らないけど竜は俺が直接造ったから、俺の息子みたいなものだし。」
「へ~」
「明日朝早く出発するからもう寝るか。」
「はい。おやすみなさい。」