少年(かみ)と父親(ひと)
「娘を死んでも守るという覚悟がないやつに娘はやれん」
親バカ、だな。だが、ルドルさんは真剣だ。ならこちらもそれに応えるべきだ。そう思い、俺は亜空間から1本の剣、いや刀を取り出す。その刀はシンヤが1万4年前、つまりこの世界を造ったばかりの頃に作ったものだ。次元だろうが何だろうが斬れる。そのあらゆるものを斬り裂く漆黒の刀の名はワールド・ブレイカーという。
「その剣は?」
「おれが現在持っている最強の武器ではないかと」
「まあいい。いくぞ!!」
ルドルフさんが斬馬刀を振り下ろす。それを俺は・・・斬る!!
「鉄流派奥義・居合切り!」
俺の神速の居合切りで斬馬刀が斬れる。ルドルフさんは一瞬驚いたが、すぐに背中のロングソードを抜いて構える。さすがだ。
「カルサラ王国一の剣豪と呼ばれる俺にこんな短時間で剣を抜かせるとはな。」
「(そんなにすごいのかよ、この人。)・・・魔法使ってもいいか?」
「いいぜ。来てみろよ。」
ルドルフさんがニヤッとしたのが気になるが、とりあえずファイアーボールを10発撃つ。
「甘いな。」ザンザンシュッシュッザン
「・・・はっ?」
ファイアーボールが全てあの剣に触れた途端に消えた。・・・あの剣は俺にはやばいかも。すぐに決着をつけなければ。俺はリミッターを解除、神格を解放する。
「っ!?」
ルドルフさんの顔が一瞬で恐怖に変わった。
「俺にとってその剣は危険だからな。決着をつける。動くな。」
「身体が・・動か・・・ない・・。」
「汝が持つ剣は消滅する。」
ルドルフさんが持つ剣が消えた。そして俺はのどにワールド・ブレイカーを突き付ける。
「降参だ。きみにならソラを任せられそうだ。」
「ありがとうございます。」
「旅に出るのを3年ほど待ってみないか?」
夕食の時にルドルフさんが言った。
「何故ですか?お父様?」
「実はな、シンヤ君も16歳だということで、学園に通わせれるのでは?と考えたのだ。」
「あの・・・学園てなんですか?」
「ああ、知らないのかい?学園というのはね、このカルサラ王国と隣国のロン・レイル帝国が合同でやってる学校だ。正式名称は2つの国の名前をとって作ったロンサラ学園。来るものは拒まずの学校だ。」
「どうしてそこに通わせたいのですか?」
「2人旅はさびしいだろうからそこで仲間でもみつけなさい、ということだ。どうかね?」
「うーん。ソラ、行ってみないか?」
「シンヤさんが行くとこにはどこへだってついていきますよ。」
「じゃあ、決定だ。しっかり勉強して友人を作ってきたまえ。孫ができるかも知れんがな」
「「っ!?」」
「冗談だ。じゃあ手配するから、明日には出発したまえ。」
「「はやっ!!」」
こうして2人はロンサラ学園に行くことになった。
シンヤが神格を解放したときにルドルフさんがおびえた理由。ソラは魔力を無効化するのでわかりませんが、ルドルフさんは一般人なので無意識に神格を感じ取ったということです。