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the school of magic  作者: 長部 真
第5章 逆転の行進曲≪マーチ≫
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第5章 逆転の行進曲≪マーチ≫Ⅸ

またもや更新が遅れてしまった。

マジすいません。


と、何回目になるかわからない挨拶をした所で、逆転の行進曲編も9話に突入してしまいました。

そろそろ章を変えようかな~とは思ってい居るんですがね、何かあと6話ぐらいこのままでいそうです。


ではでは、

はじまり~はじまり~


 自分達の命を刈り取るべく、どんどん距離を詰めてくる魔矢に対し、撃ち落とす事を諦めた維新は、この窮地を乗り切る為の呪文を早口で詠唱する。


「『空に点在する無数の星々に通達する。南の十字に北の七星、それらを合わせて防陣を張らんことを!防御(ガード)七星十字防御陣(セブンスクロスガード)』!!」



 維新の言葉と、キィィィィン、という音と共に久吉達の前方――騎士達の方角に、手裏剣の様な形の陣を中心に七ツの点が規則正しく並べられた陣が展開した。


 そして、飛来した黒い魔矢が陣とその周りの地面に激突した。



 ズガガガガッという、工事現場の掘削器の様な音をたて、次々と陣や地面にぶつかっては消えていく魔矢。


 そんな光景を視界の隅に置き、未だに険しい表情で前方を見つめる維新。

 今回の絨毯攻撃は何とか凌げたが、次も同じ様になるとは、彼にはとても考えられなかった。


 そんな維新の考えを肯定するかの様に、近接型の騎士が急速に距離を詰めてきた。


 このままでは殺られる。


 そう考え、僅かばかりの抵抗にと自身の洋弓(アーチェリー)からも蒼い魔矢を数本放つが、どれも華麗に避けられてしまう。


(万事休す……か)



 消耗が激しく、戦力としてはカウント出来ない久吉を守りつつ、近接型と戦えるほど維新は強くは無かった。



 唸りを上げて自分達に向かい来る黒剣を恨めしそうに睨みつけ、維新は地面を殴りつけた。


「俺は、こんな所で死にたくは無かったが……、これ以上、俺には何も出来ん。一人では、戦争は出来ない……」



 辺りの喧騒の中、ガッ、という鈍い音が一段と高く響き渡ったのはそれから数瞬の後だった。




◇◆◇◆◇◆◇◆


 時は維新の独白から少し遡る。



 現在、射撃第一防衛ラインの戦力を引き連れた愛美は、余り速くは無い足を必死に動かして、久吉と維新が戦ってきたいるであろう地点に急行していた。


「……間に合うかしら?山神君が中津君の救援にいってから、既に十数分が経過いるし……。二人が簡単にやられるはずは無いけれど……」


 愛美は、苦しい戦いを余儀なくされているであろう二人を頭に思い浮かべ、両脚に更なる力をこめる。


「愛美さん」

「はい?」


 そんな時、射撃第一防衛ラインの副官――四年の荒木久美(アラキクミ)が愛美に声をかけた。

 上級生から『さん付け』で呼ばれることに、こそばゆさを感じながらも、愛美は久美に続きを促す。


「一つ、提案があるのですが…」

「……提案、とは?」

「はい。先ほど愛美さんが言った案は、部隊を二つに分け、片方が中津隊長と維新さんを救出に向かい、もう片方が後方からの精密射撃でそれを援護する、という物でしたよね?」

「……そうですが、どこか問題がありましたか?」



 小動物を想わせるような、うるうるとした愛美の瞳に、ハートを撃ち抜かれそうになりながらも、久美は会話を続ける。


「はい。余りにも多くの人員を救出に割いても救出が確実に成功するとは限りません。なので、救出は私と愛美さんの二人のみ。そのほかの者には、遠距離からの援護狙撃を命じておきましょう」

「……んーー?まぁ、そちらの方が効率的ではあるかもしれませんが……。………、わかりました。そうしましょう」


 自身の提案が拒否されること無く、採用された事に安堵のため息を漏らした久美は、もう少しで到着するはずの戦場の状況を考え、愛美に質問する。


「中津さんや、山神さんは大丈夫でしょうか?」

「……わかりません。ですが、付き合いが短いながらも、彼らなら大丈夫だと私は思います」

「そう……ですよね」


 愛美の言葉を全て信じた訳では無いが、今の久美にはその返答一つで十分だった。





 久吉たちが戦っている場所まで200メートルぐらいの場所に着いた時、久美が愛美に話しかけた。


「愛美さん、そろそろ部隊を分けないと」

「……そうですね。全体、止まって下さい」


 大きくは無いが、透き通る様な声に部隊はその場に止まる。


「……ここで部隊を分けます。私と久美さん以外の皆さんはここからの援護狙撃をお願いします」

『ハイッ!!』


 返事と同時に部隊全員は一斉に射撃の為に必要な魔法の準備に取り掛かった。


「……では、私たちも行きましょうか」

「ハイッ!」


 返事をして前方――これから向かう方向に目を向けた久美は、自身の目に映った光景を見て小さく悲鳴をあげた。


「ま、愛美さん大変です!!山神さん達が!!」

「……本当ですね」


 久美が見た物。

 それは騎士に囲まれ、なぜか地面に座り込んでいる久吉を守りながらも戦う維新の姿だった。


 久美に言われ、その事に気付いた愛美はもう一つの事に気付いた。


 それは……、


「……今から普通に行っても間に合いませんね」

「間に合いませんって、愛美さん!?」

「……落ち着いて下さい。私は普通に行ったら、と言ったんです。普通の方法で間に合わないなら……」


 ここで愛美は一旦言葉を切り、懐からうねうねした謎の図形が書かれた札を取り出し――


「……普通では無い方法を取ればいいんです」


――呪文を唱えた。




◇◆◇◆◇◆◇◆



(俺の人生もここまでか……。短い人生だった……)

 

 目の前には振りかぶった剣を、振り下ろそうとする黒い騎士。


(せめて、一思いにズバッとやってくれ)


 紅の洋弓(アーチェリー)を地面に置いた維新は、既に覚悟を決めていた。


 しかし、そんな維新の目の前で信じられない事が起きた。

 目の前に居たはずの数体の騎士が、一瞬にして跡形もなく吹っ飛んだのだ。


「い、いったい何が?」


 狼狽する維新。

 彼は現状を理解するために、周囲を見回した。


 すると、彼の視界に飛び込んできたのは、風に揺れる美しい黒髪を手で押さえながらこちらを向いている愛美の姿だった。


「・・・・・・山神さん?助けに来ましたよ」


 一瞬、女神かと維新が見間違うほどに、その時の愛美はきれいだった。




お久々の愛美さん登場ぅぅぅぅ!!

イェェェェイ!!!!


スイマセン。

テンション上がりました。

こっからの、愛美さんの活躍に注目です!!!


では、次回予告


間に合った救援。

維新たちを逃がすべく、愛美の奮闘が始まる!!


「……あら?これって、全部倒してしまってよろしいの?」

by金成愛美

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