第5章 逆転の行進曲≪マーチ≫Ⅴ
更新遅れてすいません!!
定期試験が近いもので……、なかなか執筆の時間を取ることが出来ません(泣
さてさて、それはさて置き逆転の行進曲編もⅤまで来ました。
ここで、ふと思ったのがこのままだと逆転編だけでかなりの話数になってしまいそうな気が……。
う~ん、どうしよう……。
それでは、
はじまり~はじまり~
近接第二防衛ライン
生徒達が放った魔法の嵐の中を、久吉は突き進んでいた。
魔法は久吉に当たらないように、弾道が計算されていたので特に何かをするわけでも無かったが。
そして、久吉は相手の数をまとめて削るべく、突き進みながら上級魔法の詠唱を始める。
「『大気に散在する無限の水よ、我の言の葉に答えよ!その姿は濃霧と冷氷。暗黒の影は悠久の牢獄。その極寒の抱擁で敵に安息の眠りを!!攻撃・霧の国!!』
詠唱の終了と共に騎士達の眼前に飛び出した久吉は、両手を前に突き出して、魔法を発動させる。
すると、久吉の目の前に一辺が50メートルもあろうかという、巨大な透明の結界が現れ、数万の騎士をその中に閉じ込めた。
次の瞬間。
結界の中に、白い濃霧と黒い影が発生して、数万もの騎士を包み込む。
久吉は、濃霧と影が結界全体に行き渡ったのを確認すると、右手の指をパチンと鳴らした。
刹那。結界の中にいた数万の騎士達は、物言わぬ氷塊へと成り下がっていた。
理由はいたってシンプルで、久吉が指を鳴らした瞬間。霧と影が包み込んだ場所の温度がマイナス44度まで激減し、中にいる騎士をまとめて凍り付かせたのだ。
空中で氷結した物は自由落下で地面に落下して、粉々に砕け散った。
地面にいた物は落下してくる元仲間に押し潰されて、こちらも粉々に砕け散っていた。
久吉の『霧の国』によって少しは騎士の数が減少したが、とてもじゃないが何の策も無しに、どうにかなる数では無かった。
いくら久吉とはいえ、圧倒的な数の暴力には太刀打ちの仕様が無い。
しかし、そんな事で腰が引ける久吉では無い。
自身の予想より数が多い事を視認した久吉は、雨竜水神を使って敵を屠りつつ、久吉を通過した騎士と戦闘を繰り広げている生徒達に念話で指示を出す。
『伝令!陣形変更、《横三列》から《魚燐陣》へ!繰り返す、《横三列》から《魚燐陣》へ!俺を筆頭に、1、3、7、9、11の形で陣を立て直せ!!』
『1〜5班了解!!』
『6〜10班了解!!
『11〜20班了解!!』
各班長からの返事を聞いた久吉は、陣を立て直す時間を少しでも稼ぐために、あの禁忌の力を使うことを決める。
「本来ならば使いたくは無いんだが……、そうも言ってられないしな。必要ならば、俺は鬼にも悪魔にもなってやる」
そう呟いた久吉は、どこか悲しげな表情で眼鏡を顔から外すと、制服の胸ポケットへと入れて、封印を解き放つための呪文を口に出す。
「『我、封印されし力を今ここに解き放つ。量は一割、今再び我が刃となれ!!』」
すると、以前と同じように目の下に逆三角の模様が現れた。
前と少し違うのは、周りの生徒に影響が無いように、出来るだけ魔力や殺気を抑えてる事。そして、封印を解除した量が少ないので、逆三角がそれほど大きく無い事だろうか。
封印を解除した事により、先程とは比較にならない魔力を得た久吉は、上級魔法の連続撃ちという荒業を開始する。
「『連続詠唱』『深淵の深層に潜む膨大なる闇よ。怨嗟、怨念。負の感情より湧き出る闇よ。全ての闇と影が混ざりし時、地上に阿鼻叫喚の地獄を齎さんことを。攻撃・無限の闇』
『大気に散在する膨大なる水よ。我は所望する、圧倒的なる圧力により敵を蹂躙せし者を。我が望みを聞き入れ、祝福の雪化粧を。攻撃・偉大な雪崩』」
詠唱中から重苦しく渦巻いていた膨大な魔力は、久吉の合図と共にその姿を変えて、迫りくる騎士に襲いかかった。
ドドドドドドドドドッッ!!
それは、圧巻の一言。
白と黒。
雪と闇の奔流は、先程の『霧の国』とは比べられないぐらいに、大量の騎士を飲み込み、喰らい尽くして行く。
その数、実に数十万。
一人の学生―――15歳の子供が放ったとは思えない様な、とてつもない魔法だった。
しかも、そんな物を放った本人は少ししか息が上がってはおらず、平然と騎士達の眼前に君臨していた。
もし、騎士達が“言葉”を発する事が出来たなら、皆で口を揃えて、久吉に向けて、こう言うだろう。『悪魔』と……。
◇◆◇◆◇◆◇◆
陣屋の救援に向かっている沙輝は、鬱蒼と茂る木々の中をとてつもない速さで、進んで行く。
「無事でいてくれよ……。陣屋殿もヒサも……」
二人の身を案じて、さらに速度を上げる。
そんな沙輝の前に、二十体ぐらいの騎士が出現して沙輝の行くてを阻もうとする。
しかし、沙輝にとってそれは何の意味も成さず、刀の一振りで騎士達を消滅させると、先程までの勢いを維持したまま走りつづける。
◇◆◇◆◇◆◇◆
近接第二防衛ライン
騎士と生徒達の死闘が幕を上げてから、十数分が経過していた。
当初は押され気味だった生徒達も、陣形変更からは騎士達と互角に戦っていた。否、生徒達だけだったら互角には戦え無かったはずだ。
互角に見えるのは、やはり久吉の頑張りが大きいようで、生徒達と久吉の騎士討伐比率は火を見るより明らかで、圧倒的に久吉の方が多かった。
そんな久吉は、上級魔法で敵を倒すのを止めて、雨竜水神を風剣ゼフィロスへと強化して敵を屠っていた。
そんな、一振り毎に数十体が一気に消滅する様は傍から見ても異常であり、今の状態の久吉がどれだけ強い力を使っているのかが容易に想像出来た。
このままの状態が続けば、騎士達に勝利出来るのではないか?
そんな考えを頭に浮かべていた久吉の下に、切迫した様子の赤田四年生から念話が入った。
『報告!!魚燐陣形の左翼に敵が集中しており、このままでは突破されます!!』
『何!?それは本当か!?』
『ハイ。指示をお願いします!』
『わかった。右翼の一班を左翼に向かわせて、一旦陣形を立て直す。その後、すぐに陣形を維持したままで後退を開始する。このままでは、数に物を言わせて突破される可能性がある』
『つまり、防衛ラインを一つ下げて射撃第一防衛ラインに防衛を任せる。という事でよろしいのでしょうか?』
『そうそう。あ、維新への連絡よろしく〜』
『了解しました。貴方はどうするのですか?』
赤田四年生からの質問に、ゼフィロスを振るう手が一瞬停止する。
しかし、久吉はフッと笑うと赤田四年生に言い放つ。
『俺か?俺は敵の足止めだ……。お前らが居るとでかい魔法が使えないんだよ』
(あぁ、陣屋さんもこんな感じだったんだろうな……)
と、回送に突入しようとした久吉の意識は赤田四年生の大声で覚醒する。
『了解しました!!!!御武運を……』
赤田四年生からの念話が途切れると、久吉は新たな誓いを自身の心に刻み付ける。
それは……
「全員の後退が終わるまで、鼠の一匹たりとも通らせはしない!!」
新たな誓いと共に、久吉は騎士を睨みつける。
そして、ゼフィロスを構え直して騎士達の塊に向かっていった。
残る騎士の数…八千五百万体
いかがでしたでしょうか?
最近、久吉が強すぎる気がします・・・・・・。
まぁ、そうでもしないと騎士の数が一向に減らないんですけどね……。
それと、前書でも書きましたが、試験前なので更新スピードは遅くなると思います。
ご了承下さい。(ToT)/~~~
それでは、次回予告。
仲間の後退を助けるために、一人で騎士と戦う久吉。
右手のゼフィロスと共に、どこまで戦いぬけるのか!?
「斬って伐ってまた切って、俺は道を切り開く!!」
by中津久吉






