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the school of magic  作者: 長部 真
第5章 逆転の行進曲≪マーチ≫
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第5章 逆転の行進曲≪マーチ≫Ⅳ

いよいよ久吉&沙輝の出番が回ってきました!

主人公なのに出番が少なく、チラリと出てきても通信だったり……。

しかし、これからは違います!!

バンバン活躍させて行こうと思います!


それでは、

はじまり〜はじまり〜

近接第二防衛ライン




そこでは久吉の指示の下、数多の生徒が目前に迫る騎士との戦闘のための準備に取り掛かっていた。



すると、そんな生徒達の前方。騎士が通るであろうと予想される道から、近接第一防衛ラインで、敵の足止めをしていた六人の生徒が現れた。


最初、敵かと思った数名の生徒が射撃魔法を放とうと身構えたが、久吉は右手を彼らの前に差し出す事により、それを遮った。


六人の生徒は急いで久吉のもとに近づくと、現在の戦況を伝える。


「リーダー!現在、近接第一防衛ラインの主である鬼頭陣屋さんが、一人で騎士の大群と戦闘中です!!」

「何!?それは本当か!?」

「はい。当初の予定では私達も共に残り、騎士と戦う予定だったのですが、鬼頭さんが『邪魔』だと……」


それを聞いた久吉は、大急ぎで陣屋に念話を飛ばす。


『陣屋さん!?応答してください、陣屋さん!?』

『うるっさ!ゼェゼェ…、ハイハイハイ、こちら陣屋。ゼェゼェ…、もしもし?』

『陣屋さん!!今どこにいますか?至急応援に向かいますら!!』


焦る久吉を尻目に、陣屋は『大丈夫だ』と応援を辞退する。


『お前はそこで、ゼェ…騎士と俺が来るのを、ゼェゼェ…静かに待ってりゃ良いんだよ』

『ですが、肩で息をしてんじゃないっすか。ダメです、迎えに行きます!』

『だから、いらねぇって何度も言ってん…、ヤバッ!!………………』

『陣屋さん!?どうしました!?陣屋さん!!』



突然、陣屋と久吉を繋いでいた念話が途切れた。


その理由は定かでは無いが、陣屋が何らかのトラブルに巻き込まれたのは、明らかだった。


久吉の頬から一筋の汗が、地面に向けて落下して小さい染みを作る。

そんな尋常じゃ無い様子の久吉を見て、沙輝は何事かと久吉に詰め寄る。


「ヒサ、何があった?」

「陣屋さんとの念話が……、途切れた………」

「何故か分かるか?」

「わからない。わからないんだ!ただ……」

「ただ?」

「陣屋さん、念話が切れる寸前に『ヤバッ』って…」


必死に言葉を発する久吉からは、陣屋の身を真に案じているのが、沙輝には一目でわかった。しかし、皆のリーダーである久吉に感情に任せた自分勝手な行動は許されない。故に、陣屋の下へと駆け付ける事も許されない。


だからこそ、それが分かるからこそ、沙輝には久吉にかけてやれる言葉があった。あくまで、久吉が(・・・)行けないだけで、司令官では無い沙輝(・・・・・・・・・)は行く事が出来る。


「ヒサ、陣屋殿の救出は私に任せてもらえないだろうか?」

「お前に?」

「そうだ。ヒサが司令官だから行けないと言うのなら、私が行く。ヒサの変わりにな」

「沙輝……」

「ただ一つだけ問題があるのだが」

「問題?」


何が問題になるのかが理解出来ていない久吉は、沙輝の言葉を待つ。


「あぁ。私がいなくなる事によってこのラインが簡単に突破されるような事は、あってはならないからな。戦力の問題だ」

「えっ?」


それを聞いた久吉はまるで鳩が豆鉄砲をくらった様な顔になると、クックックッと含み笑いを始めた。


「な!?ヒサ!私は真面目にだな…「大丈夫」…え?」


久吉の口から出た言葉が良く聞こえなかったのか、沙輝はもう一度聞き返す。


「ヒサ、今何て?」

「だから、大丈夫だって言ったんだ。お前、もしかして俺がSMP(セミマスタープラチナ)だって事を忘れて無い?」

「だが……」


久吉は中々納得しない沙輝に、口調を強くして説得する。


「頼む。ここは大丈夫だから、陣屋さんの救援に行って欲しい」


久吉の覚悟が映った瞳を見た沙輝は、コクリと頷くと腰に引っ掛けてあった、刀を鞘から抜き天に向けて突き上げ、宣言する。


「朝比奈沙輝の名において約束しよう。絶対に陣屋殿を助けると。だからヒサも約束してほしい」


その言葉を聞いた久吉も、背中に担いでいた雨竜水神を抜き、沙輝の刀と交差するように構えた。


「あぁ、わかった。では、俺も宣誓しよう。中津久吉の名において約束しよう。このラインの防衛は俺が責任をもってやり抜くと」



二人の宣誓が終わると、お互いにニッ、と笑いあい、沙輝は陣屋の下へと。久吉は騎士の大群を迎え撃つために司令部に。


お互いの戦場へと走り出す。






◇◆◇◆◇◆◇◆


近接第二防衛ライン





「あっ、久吉司令官。敵の騎士が進軍を始めました。しかし、まだこのラインに到達するには少しの時間を要するようです」

「おう、わかった。ありがとな、赤田四年生」



沙輝と別れた久吉は、本来の持ち場である近接第二防衛ラインの司令部に戻ると、部下からの(部下といっても上級生だが)連絡をうけとり念話を近接第二防衛ラインの全生徒に飛ばした。


『皆に伝えなければならない事がある。近接第一防衛ラインで指揮を採っていた鬼頭陣屋が、何らかのトラブルに巻き込まれた。よって、朝比奈沙輝が救援に向かった』

『そんな!?このラインは朝比奈が(かなめ)だったのに!』

『うろたえるな!!』


久吉から沙輝の不在が伝えられて、ざわめきだった生徒達を久吉が一喝する。


『そう。確かに朝比奈がいなくなったのは大きな痛手だ。よって、戦う気は無かったが……。俺が出る』

『!?』


久吉の発言に生徒達は耳を疑った。未知の敵と相対する時、その敵と一度でも戦った事がある人間が、一緒に戦うのと戦わないのでは、大きな違いがある。当初の予定では、沙輝がその役を担うはずであったのだが、陣屋救援で沙輝はいない。だったら、現在その役を担う事が出来るのは久吉一人。その久吉が一緒に戦ってくれるのだ。ラインの生徒達のボルテージは最高潮まで一気に上り詰める。


そして、その瞬間を狙ったかのように、騎士の動向を探っていた赤田四年生が血相を変えて司令部に飛び込んで来た。


「報告!!騎士が、このラインの目と鼻の先に!!」

「報告ご苦労。さぁ、やっと来たぜ。俺達のターンが!!全生徒に通達」


ここで一旦息を吸って、髪を後ろに持ち上げ、俗に言う『オールバック』の髪形になると、会話を念話に切り替える。


『野郎共!!死にたくなければ戦え!刃を振るえ!やるぞ、戦争だ!!!!』

『うおぉぉぉぉぉぉ!!!!』


地響きを思わせるような、雄叫びと共に生徒達は目の前に見えた黒い騎士に、射撃魔法の嵐を浴びせる。



ドゴオオォォォォォォン



鼓膜を揺るがす轟音が辺りに響き渡り、戦いの第二ラウンドの始まりを高らかに宣誓した。







残る騎士の数…八千八百万体





おいおい。

早速、沙輝がパーティーから離脱しました(汗



沙輝の活躍を楽しみにしていた方々(いると良いが……)には大変申し訳なくおもいます。




それでは次話予告です。


騎士との戦闘を開始した、近接第二防衛ライン。

各々の奮闘と久吉の活躍で騎士の数を削っていく。


そして、行方不明となった陣屋の安否は?



「必要があれば、俺は鬼にも悪魔にもなってやる」

by中津久吉

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