第2章 強襲の狂詩曲≪ラプソディー≫Ⅲ
とうとう発動された億騎魔行!!
どうする、どうするんだ久吉!!!
ということで、
はじまり~はじまり~
習魔学園本棟中庭
『億騎魔行』が発動されたにも関わらず、久吉たち四人は未だに駄弁っていた。
そして、周囲の誰一人として学園に邪悪な影が広がりつつあるのに気づかないでいた。
しかしそんな中、一人、久吉が急に視線を空へと向けた。
余りにも急だったので、維新が理由を尋ねる。
「ナッツ〜、どうかした?」
「嫌な、嫌な予感がするんだ」
「嫌な予感?」
「あぁ、南の森林の方が何か騒がしいというか……」
「ふぅん、……でナッツ。俺らは何をしたら良いわけ?」
「えっ……!?」
「いや、こういう時のナッツの予感はバカに出来ないからな、……マジで、いるんだろう?」
「ッ……」
久吉が維新からの予想外の言葉に驚いていると、奈々と愛美も近づいてきた。
「ナッツ、何かあった?」
「……どうかなさいましたか?」
二人は心配そうな顔で久吉の顔を覗き込んだ。
その視線に、嘘が通じない、と感じた久吉は、自分が一体何を感じたのかを四人に話し出した。
「さっき、とはいっても二分ぐらい前なんだが、南の森林の方からとんでもないプレッシャーと魔力の流れを感じたんだ……」
「プレッシャーはわからないけど、魔力はここの生徒じゃないの?」
「いや、違うと思うよ奈々。あれだけの魔力を練り込める人物は今、ここにはいない。つまり……」
「敵、だな」
「あぁ、多分な……」
「えっ!?それってヤバくない!?早く先生に伝えなk……」
奈々が言葉を終える前に、言い表せないプレッシャーがその場にズシッとのしかかった。
余りの重圧に周りにいた生徒は、地面に膝をつき 今にも潰されそうな顔をしていた。
そんな中、流石と言うべきなのか久吉たち四人は少し顔が青いだけで、その眼は敵の姿をとらえていた。
「まさか、あれは……!?」
「どうした奈々?」
「昔、天界の者が地獄に攻撃を仕掛けたことがあるって、授業で言ってたでしょう?」
「知らん、魔法史の授業なんて覚えてない」
「まぁ良いや……。それでその時に地獄を護った騎士たちがいた。アレはその姿にそっくりなんだよ!」
「って事はあれか?アレは地獄の守護騎士だとでも言いてえのか、テメェは!?」
「……二人とも、来ます!!」
「「ッ……!?」」
久吉と奈々が話している隙に、上空に停滞していた騎士達が久吉たちを目掛けて突っ込んで来た。
「やるしかない、か……」
久吉は一言呟くと、震えが残る手をギュッと握りしめて吠える。
「上等だ!!この中津久吉が、お前らまとめて相手してやんよ!!」
こうして戦いの火蓋はきって落とされた……。
とうとう接触しました。
敵と久吉たち!!
ここで補足です。
久吉が『プレッシャー』といっていたのは、『存在感』や『殺気』など諸々をまとめただけです。
では、次回予告
遂に戦いの第一ラウンドは始まった。
勝つのはどっちだ…!!!