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推しを殺すラスボス(悪役令嬢)に転生してしまった  作者: 心音瑠璃


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19/21

18.

大変長らくお待たせしてしまい、申し訳ございません。

ゆっくり更新となりますが、少しずつ再開いたします。ブクマ登録やいいね、評価等本当にありがとうございます。

「ご心配をおかけしました」


 結局、私が学園に登園することが出来たのは、それから更に一週間後のことだった。


「もう委員会にも復帰されて大丈夫なのですか?」

「無理しないでくださいね」


 エレナの前ということもあり猫被りモードながら、セストとアルノルド、二人の表情から確かに心配してくれていることが伝わってきて、自然と笑みを浮かべながら口を開く。


「えぇ、おかげさまで。十分過ぎるほどゆっくりお休みさせていただけたから。その分頑張らないと」

「駄目だよ」

「えっ?」


 私の言葉をすぐに否定したのは、リベリオ殿下だった。

 驚く私に、彼は私をまっすぐと見つめて口にした。


「君は頑張りすぎて倒れたんだから、頑張るのは禁止。私達がその分働くから、君は無理をしないこと」

「え……!?」

「ちなみに、これは皆の総意だよ。風紀委員会は君が委員長として筆頭に立ち、成り立っている委員会なのだから。君が倒れたら元も子もないでしょう?」


 リベリオ殿下の言葉に、すぐさま横槍を入れたのは、ランベルトだった。


「ちなみに、これら全てリベリオ殿下の計らいです」

「ランベルト」


(あ、素が出た……)


 余計なことを言うなと言わんばかりにランベルトの名前を呼んだリベリオ殿下を思わず凝視してしまうと、その視線に気付いたのか、彼はサッと視線を逸らした。その頬が赤いことに気付き、私の頬もつられて熱くなるのを感じる。


(こ、この前もそうだったけれど、なぜそんな顔を……!)


「はいはい、二人とも。イチャイチャしないでください」

「「イチャイチャなんてしていない/わ!!」」


 ランベルトの冷やかしにも見事にハモってしまった挙句、驚いたようなリベリオ殿下と再度目が合ってしまい、こそばゆくて居た堪れない気持ちになる。


(な、何なの!? リベリオ殿下といい、ランベルトといい……! 貴方達ほとんど素が出ているじゃないの!!)


 これ以上心をかき乱されてはいけないわ、と咳払いをしてから空気を換えようと言葉を発する。


「この話はこれでおしまいにして、本題に入るわ。次の仕事は、三週間後に行われる交流会よ」


 交流会。

 それは、全校生徒を集めた学園主催の交流会という名の夜会である。

 三学年が一斉に集う、大規模な行事ということもあり、もちろんゲームにおいても一大イベント。

 そして、イベントにおいての私達の役割は……。


「準備期間中においての会場の設営、当日の警備、それから……、今年から新たに、開幕演出(オープニング・アクト)という仕事が私達風紀委員会に課されたわ」

「「「はあ!?」」」


 私の言葉に、私とエレナ以外の風紀委員全員の声が部屋中にこだまする。

 またしても素の反応が出てしまったことにハッとしたように、リベリオ殿下はわざとらしく咳払いしてから言った。


「開幕演出は生徒会の管轄では?」

「今年から開幕演出は私達風紀委員会が、閉幕演出は生徒会が担当することになったの」

「どうしてそんな面倒……、いえ、大変な仕事を押し付けられてしまったんです?」


 本音を隠しきれていないランベルトの言葉に、私は新入生であるエレナにも伝わるよう彼女を見やりながら説明する。


「私達風紀委員会も陽の目を見るよう、あえて私達に活躍の場を設けてくださったのでしょう。しかも、これは絶好の機会。風紀委員会への新規加入者を増やすべく、貴方達にも全力で協力してもらうつもりよ」

「……さすがは委員長。抜け目ないというか、仕事の鬼というか」

「リベリオ殿下、何か?」

「いえ、何でも。それが委員長の命と言うのなら、私共は従うのみです」

「!」


 そう畏まった口調でさらりと金色の髪を揺らしながら言う彼に、不覚にも見惚れてしまう。


(い、いけない)


 そんな場合ではないとすぐに視線を逸らし、口を開こうとしたけれど、それよりも先にセストが言葉を発した。


「とはいえ、演出というのは具体的に何をすれば?」

「演出の方は例年通り、社交ダンスよ」

「「「社交ダンス!?」」」


 仲良くハモった皆の反応は様々だった。

 リベリオ殿下とランベルトは心底驚いたような表情を、セストは少し嫌そうな顔をし、アルノルドは顔を青くさせ、エレナは緊張からか顔を強張らせる。

 そんな面々を見渡し、私は内心息を吐いた。


(この反応も、正しくゲーム通り……)


 そう、この開幕演出の流れもまた、全て前世のゲーム通りだ。

 リベリオ殿下とランベルトは、二人とも嗜みとしてダンスが得意だから問題はない。

 けれど、セストはあまり得意な方ではないし、アルノルドにおいてはダンスがからきしであることは、それぞれのルートにおいて判明する。

 そして……。


「開幕演出においての社交ダンスは、男女一対一となるから、私とエレナはそれぞれこの中でパートナーとなる男性を決めなければいけない。というわけで……、エレナ、貴女はどなたとパートナーになりたい?」

「……!」


 私の言葉に、大きな瞳を見開いたエレナをじっと見つめる。

 今、私がエレナに尋ねたこの言葉は、ゲームにおいて、攻略対象者を選択する分かれ道となる。つまり、ここから先は各攻略対象者の分岐ルートに進むことになり、彼女の口から出た攻略対象者によって、彼女の運命が変わる大きな決断を、エレナは今迫られているのだ。

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