第九話 うち、大型商業施設EDEN行ってみた
「ひろすぎいいいいいい!」
ここは天国でも一番大きな商業施設の【EDEN】というらしい。
確かに、お店のラインナップ、食事処の多さ、おしゃれなカフェもあるし、遊び場もあるし、映画館も、なんでもござれな施設だ。
なんかここ住んでたら絶対天国じゃんってなるからEDENなのかなって。そんな感じだ。
「とりあえず、今日はメモに沿った店に入りましょう。
後日ゆっくりみたらいいわ。ここは1日じゃとても回りきれないから。」
「あ、ありがとう。」
「じゃあ宗さん。これがうちのカフェの食材メモ。お願いします。
ゆっくりしててもらって構わないから。終わる頃の連絡でいいかしら?」
「ああ、ティアラさん時間は気にせずゆっくり見てくると良い。
俺も食材をしっかり選ぶから時間がかかるもんでな。」
「はい!わかりました。」
「じゃあ。」
宗さんはエコバックがめっちゃ入ってるカバンを持って少しスキップしていく。
え、ギャップ萌えすぎんか???楽しみなのかな?
「食材見るの、いつも長いのよねー。だから本当にゆっくりみましょう!」
「わかりました。じゃあまずはコスメからでいいですか?」
「Ok。わかったわ。」
歩き始めると色んなお店があって目移りしてしまう。
外界にある店もあれば、逆に廃業してしまった店があったりもしたり。
目新しいものばかりでちょっとうちもルンルン気分だ。
「コスメっていつもどんなのを使ってるの?」
「んー。そん時びびっと来たものをその時々買ってるから、リピートしてるものは少ないかも。あ、でもデパコスをね、予約して!買えるってタイミングで死んじゃったから。そこあるかな…… なんて。」
「なんてブランド?」
「SYAMUってブランドなんですけど……」
「地図で見てみましょう!あるかもよ!」
そういうと桜花さんはスマホで【EDEN】のアプリを開いた。そんなのもあるんだ!
ポイントカードとかあるのかな。うちポイント貯めたい派だから後で聞こう。
「ティアラちゃん!地下二階にある!行きましょう!
その予約してたのがあるかはわからないけど!!」
「で、でも!」
「後悔しない買い物にしましょう!
天国は第二の人生。ちゃんとやり残したことで今できることはやらなきゃ駄目!
もう後悔する必要はないのだから!ね!」
桜花さんがあまりに真面目な顔で言うから。うちは首を縦に振った。
するとニコッと笑ってくれた。ゆっくり手を引いてくれた。
……なんだか、ママみたいだな。
その先には何十人も入れそうなエレベーターがあって、そこに乗り地下二階に。
その間も桜花さんはずっと手を繋いでくれて、なんだかはずいけど、なんか安心する。
どうしてここまでしてくれんだろ。
確かにここは天国だけど、なんか桜花さん達は特別な気がする。
気がしてるだけだけど。なんか言葉にならない。
でも、優しいのが心地よくて、まだ何も聞くことが出来なかった。
そんな事を思っていたら【SYAMU】の前にやってきた。
わあああああああああ!SYAMU!まじで予約以来の来店!
高級感があって、でも少し派手な配色が沢山あって、憧れのブランドなんだよね!!
ずっと雑誌やインフルエンサーがいいと言っていて、どうしても欲しかったリップ。
それを予約しにバイト代持っていって来店した時の事思い出すうううう。
「あったわね。よかったわね。」
「いらっしゃいませ。何かお探しならお気軽にお声がけくださいませ。」
店員さんも天国でも神対応!良い匂いする!
「あの、この子、探してるものがあるみたいで。なんだっけ、ティアラちゃん。」
「あ、あの!……マジカルカラーリップの新作の07番なんですけど。」
「かしこまりました。在庫を確認いたしますので、こちらでおかけになってお待ち下さい。すぐに参ります。」
デパコスってホントスムーズっていうか、凄いよね。
周りをぐるりと見渡すと様々なブランドが連なっている。
いつか、またこんな場所で買えたらいいな……
なんて思っていたら先ほどとは違う、店員さんがやってきた。
「お客様、失礼ですが、お名前をお伺いしてもよろしいでしょうか?」
「え、、大島ティアラです。」
「ああ!もしかして外界でこちらのブランドでご予約されませんでしたか?」
……え?
「はい、確かにしました。」
「それは良かった!あります!予約されたものが!」
「え!?なんで!?」
天界と外界の会社が連携をとっているとは思えない。てかありえんだろ!
そうやったらうちの予約がここにあるんだ?????
「あの、なんでうちの予約したリップがここにあるんっすかね?
うち昨日天国に来たばかりで、ちょっとよくわかってなくって。」
「ああ、ではご説明させていただきます。
大島様は外界でリップを予約された際に初回買い物特典でお名前の刻印をされ事は覚えていらっしゃいますか?」
「ああ!!やったやった!」
そうだ!初めての方キャンペーンみたいなのでうち名前を刻印してもらう予約で!
それでテンションぶち上げだったんだよね。
「それ故、予約日を過ぎて引き取りに来られなかった商品になってしまった。さらに刻印がされている以上、外界では他のお客様に売ることが出来ないので破棄をしたようなのです。
こちらの天国店には破棄されたものも追加されるんです。こうやってまたお会いできる事を願っておりますので。
なので改めて言わせてください。お待ちしておりました。大島様。
お品物ご用意しております。」
ゆっくり箱を渡され、開けるとそこには【T-ARA】と書かれたリップが確かにあった。
これだ。これの為にうち、めっちゃ働いて。指折り日を数えて。
「こちらの鏡台で使って見られてください。」
うちはリップの蓋をあける。そう、この真っ赤なリップ、これが欲しかった。
ゆっくり唇に乗せていく。保湿されながら、はっきり色が入っていく。
今まで使ったどんなものとも違う。うちのリップだ。
「ありがとう……ございます。」
「よかったわね、ティアラちゃん!そんな事があるなんて!奇跡ね!」
「はい!桜花さんが行こうと言ってくれなかったらきっと来てなかった。
すみません、ではこちらいただきます。」
店員さんは箱とリップを包み直してくれて、サンプルも沢山いれてくれた。
「お代は外界でいただいておりますのでこのままのお渡しになります。」
「なんか、悪い気が……」
「では大島様、またSYAMUにいらしてください。今度も素敵なコスメを選ばせていただきます!いつでも、買わない日も、是非お越しください!」
「わかった。絶対また来ます!」
憧れのSYAMUの紙袋。
これがうちの外界最後の買い物で、天国で最初の買い物になった。




