第二十五話 うち、歓迎会☆(空気最悪)
「カニ鍋だああああああああああああああああ!!!!」
ここは天国のカニ料理屋さん。(北杜さん調べ。)
チームのみんなと北杜さんとうちで今やってきたのであった!
高橋さんも浄化が終わったみたいで、気まずそうだが来てくれている。
まずは一安心。良かった良かった…… って感じじゃないけど。
北杜さんはニコニコしながら、パンと手を叩いて仕切ってくれる。
「はい、今日は新人の大島ティアラさんがカニ好きだと伺ったので、お料理は蟹鍋とさせていただきました!
みなさん、なかなかないチームの親睦も深める時間ですし、そして新人であるティアラさんの歓迎会です。楽しんで参りましょうね!拍手ーーー!」
しーーーーーん。
「びっくり駄目なようですね。」
「……北杜さん、まずかった?」
「あはは、みんなプライベートで集まるなんて今までありませんでしたから。
しかも急だったし。しかし、今日を逃すと仕事が詰まってしまう為仕方ありません。
こちらもすみません。こんな感じになってしまい。」
「どーしたらいい!?この空気!」
「それは、ティアラさんの得意分野でしょう?」
「もーーーー!!」
大きな和室に6人、と1匹。
盛り上がってねええ!カニ鍋とかありえねーっつーの!?なんで!
「おい、新人!」
「えっと、鞠男さん。ティアラです!なんですか?」
「酒。」
「え」
「酒がねぇと始まらんだろ。こういうのは下のモンが聞いていくものだろ?
早く全員の飲みもん聞いてくんでいかんかい!!!」
「……ん?北杜さん、まじでなに?まじで。」
「鞠男さん、ティアラさんは高校生です。そういう古い社会常識は通用しませんよ。」
「んだとコラ!」
「アップデートしなさいといつも言ってるじゃないですか。今は令和です。」
「だからそれ嫌いなんだよ!それ!」
「嫌いでもなんでも、高校生に何押し付けてんすか!店員さん呼びますからお好きに自分で頼んでください!!」
鞠男さんはチッと舌打ちをしてお品書きを見ている。
チラッと和室の端に目をやる。キヨばあと高橋さんが話しているのが見える。
きっと、さっきの事だろう。謝った方がいいかな。
「ティアラさん。今は高橋の事はおいておいてくれ。」
察してくれた颯斗さん。なんだかんだちゃんと見てくれてる。
後ろを見て少しため息をついて話し出す。
「ずっと、あいつはさ、ああ、言うやつなんだ。依存しないと生きていけない。キヨばあに任せてくれてかまわないから。安心してくれ。
まあ、認めてはないがティアラさん、君の大事な歓迎会だ。主役がそんな顔でどうする。
しっかり盛り上げる事や顔を覚えてもらう事はしておいたほうが良いぞ。」
あんまりにストレートな言葉にポカンとしてしまった。
口が塞がらないうちに、颯斗さんがチラッとこっちをみた。
「なんだ!その顔は!!」
「ふふふ。颯斗さんって意外と優しいっすよね。」
「はあ!?事実を言っただけだ。」
「ウケる~。ねえ北杜さん。」
「はい、颯斗さんはとても優しい方ですから。頼りにしてくださいね、ティアラさん。」
「おい、そもそも!北杜さん!!!!アンタがいるのは聞いてない!
何さらっとお店とってここに座ってんだよ!!!」
「おや、彼女は高校生ですから、僕の事は保護者だと思ってください。ね?颯斗さん。」
「嫌な人だ、貴方は。」
「はい、上司、ですから。」
「別に、にゃーがいるから大丈夫って言ったにゃ。」
「そうもいかないでしょう。騒動があってすぐなんですから。」
「にゃ。」
そうなんだよねー。みんなの事知りたくて無理やりうちの歓迎会開いてもらった(北杜さんに)けど、なんか盛り上がる空気じゃないしほんと。やばいかも。
「高橋さん、キヨさん、ティアラさん達がお待ちですよ。そろそろこっちにいらしてくださいな。」
「そうだねえ。どう?」
高橋さんがフルフル首を振ってみせる。
やっぱダメか。
「んだよ。高橋!飲もうぜ?嫌な事なんてぱーっと忘れてさ!な!?」
「そうだよ、折角の機会じゃけー。な?」
「やだ。行けない。」
凄く気まずい。なら、やっぱやるしか無い。
「みなさん、一杯目決まりました?店員さん呼びますよ。」
「はあ?元はと言えば……」
「先輩。乾杯しましょう。」
うちはゆっくり近づいた。
すると耳をばっと塞いで高橋先輩が叫んだ。
「やだ!!!!!こないで!」
「高橋先輩。」
「やだ!」
「いちごちゃん。大丈夫じゃけえ。」
「もう傷つけたくない。」
みんなは視線は動かさなくても高橋先輩に集中してるのがわかる。
さっきから酒酒煩かった鞠男さんでさえ(まじ失礼だけど)気遣ってるのがわかる。
「やっぱ帰ります。キヨばあ、ありがと。」
「まちんしゃい。」
「もうあんな迷惑……」
「だと思うなら辞めるんだな、この仕事。」
颯斗さんがピシャリと言葉を放った。
ここまで来る間、颯斗さんの言ったことを思い出していた。
うちを認めないのも、高橋先輩の言う通り犠牲者を出さないため。
いつだって、そのためならこうやって切り捨てきたのだろう。
そう、いまだって。きっとそう。
「逃げるとは、本当に卑怯じゃないか。
さっき、あんな迷惑をかけたことをまずは謝るべきじゃないか?」
「颯斗さん、そんな言わなくてもうち怒ってないし……」
「黒煙は他人を堕天させるリスクもあることなんだぞ!!新人にそんな事したってのわかってるのか!?」
「ええ!?だてんって…… なんすか?」
思わず高橋さん以外がずっこけた。
「本当に新人は新人というところかな……なあ北杜さん。」
「あはは。高校生ですから。」
「だからー!だてんってなんすか?数学?なに?」
「まあ簡単に言うと、お前はあれ以上黒煙を吸収して放置していたら悪魔になっていたってことだ。」
「あ、悪魔!?!?」
思わずうちは北杜さんを見る。困った顔をしてる。ほんとう、なんだ。
「黒煙は負の感情が溢れていくものだ。さっきティアラさんも黒くなって浄化したと思う。黒煙を持ち続けると新たな負の感情が芽生え、嫉妬したり、裏切ったりする感情が出てしまい、堕天する可能性がある。」
「前言ってた輪廻から外れるとまた違うって事すか?」
「ああ、悪魔になるということは地獄に行くということだよ。」
地獄。想像くらいはしたことあるけど、やばそーなのはわかる。
それに悪魔になるって。
「地獄には地獄のルールがあるし、ここにはいられなくなる。そういうことだよ。」
「え!?じゃあ高橋先輩……」
「そう、危険な存在だった、ということ……」
「めっちゃやばかったんじゃん!!!」
「……はあ?」
うちは思わず高橋先輩の手をとる。
よく見たら傷だらけで、すっごく細くて、弱々しい。
近くで見たらめっちゃ小さいじゃん。ご飯食べてる?って感じ。
「なに!」
「さっき颯斗先輩から聞いた何度かこうなってるって!それってめっちゃしんどいってことでしょう!?」
「はあ!?アンタに関係ない!」
「あるっしょ!さっき言ったじゃん!友だちになりたいって。
そんなずっとしんどいの抱えてたんだよね?やべーじゃん、でもきっと誰かが助けてくれた。ラッキーじゃん。次からはうちも助けたいな。」
「な」
「それに最初会った時はおどおどしてて距離あったけど、今はこうやってさらけ出してくれてんの、チョー嬉しい。ありがと。」
「おいティアラさん。」
颯斗さんがまた冷たい声でこちらにむけてきた。
やばい!!
「待って!颯斗さん。」
「待たない。今回はもう言わせてもらう!高橋、お前」
「にゃああああああああああああああああああああああああああああああ」
にゃーたんが机の上に乗って静止する。
あ、そっか、ココのリーダーは、にゃーたんだ。




