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天使、はじめました☆  作者: 大牧ぽるん


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第二十四話 うち、どうしたらいいか教わったから

ばさあと羽が広がりみんな飛んでいく。

うちも勇気を持って飛び込んでみた。ゆっくりゆっくり羽を動かす。なぜだかわかる。



「と、飛べたぁ!」

「あはは、よかった。これでいつでも大丈夫ですね。」

「そうすね!」

「あなたも初日からやりますね。まさか同僚を黒煙に追い込むなんて。」

「いや、あの、その。うち知らなくって……」

「気にしないで。大丈夫だから。」



本当に怖かった。

あの煙に人の気持ちが乗っかっているのが凄くわかった。

高橋先輩、ていうかいちご先輩がにゃーたんを凄く大事にしている。

それにうちが急に来て取られるって思ったんだ。

ずっと一緒だったって言ってた。だから怖かったんだと思う。



「うち、無神経でした。」

「いえいえ。こちらも想定外の事でしたから。あなたは悪くありません。

少しずつ、ここの優しさを学んでいってください。優しさには種類があると。」

「種類。」

「いずれ、学べます。貴方なら。」

「……はい。」

「かしこまらないでください。ここに来るまでに部屋の映像を見ましたが、あなたはにゃーたんを救いたかったことはわかりましたから。がんばりましたね。」

「はい……」



仕事が早いというか、信頼がおける上司だな。となんか思っちゃった。

すごいなあ。見透かされている。なんか、安心する。

この短時間であれだけの事を見て、判断してくれたんだ。



「とうか、仕事の話が中途半端になっちゃったね。メモ取っておいてよかったね。

今日はこの件で終わりそうだから。今日で終わればいいけど。」

「やっぱそうすか?」

「まあ、いずれ知ることだしね。」

「ここに来てからそればっかだ。」

「一気に説明されてわかんないでしょう?」

「まあそうです、けど。」

「ルールなんて日々増えてくし、現象だって全て把握するのは時間がかかるものでしょう。少し、早く伝えるべきでしたね。」

「いや、そんな……」

「さて、着いた。」



そこはさっきまでいた天国より上で満天の星が今にも降ってきそうなほど近い場所だ。

何がある、ってわけじゃないのかな……?

ここを目指してきたというより、天界から遠ざかった……って感じ?



「なんかあるんすかココ。」

「よく見て、太陽と月どちらも見える場所なんだ。」



確かに、昼間でも月ってみえるけどここまで飛んだらもっとわかりやすくなった。



「浄化は太陽と月の力を借りなきゃならないからね。」

「へーすげえ、なんか、あれ、ファンタジー?みたい。」

「ティアラさん、あのねえ……」



そんな話をしていると、颯斗さんが少し急かすように

「北杜さん、お願いします。」と言った。

それにもニコッと笑って北杜さんは頷いた。



「はい。ティアラさん、手を離しますね。」



すっと優しく手を離すと、北杜さんは胸元から石のペンダントを出した。

キラキラ輝く虹色みたいな石。キレー!

光に照らされてうちらにも輝きが届いてくる。



石を頭上高く照らすと、うちらの周りが温かい空気に包まれる。

気持ちがどんどんなんか、上にアガるっていうか、安定していく。

ムカついたことなんかにも意味があって、どうしていくかというそういった事をゆっくり考えたり。

なんだか今まで感じたことのない気持ちになっていく。



同じ時、うちらに纏わりついていた黒い煙がどんどん上空にいき、キラキラ輝いていく。



「あれは……」

「ばあさんたちの吸ってしまったいちごちゃんの悲しみや妬みが浄化されて星屑になっていくんだ。すぐに消えてしまうけどね。」

「浄化……」



キラキラ綺麗だけど、これはいちご先輩の悲しみ、妬み。

消えてしまった方が良いに決まってる。うん。そう思うと少し眺めていたくなる。

これも大切な思いだったはずだから。



ゆっくりゆっくりキラキラが少なくなっていく。

あ、なくなっていく。全て綺麗になっていく。

身体も自然と軽い気がする。


「大丈夫ですか、ティアラさん。」

「北杜さん、大丈夫です。」

「よかったにゃー。」

「はは、にゃーたん。」



にゃーたんは少し甘えて抱きしめさせてくれた。

心配してくれたんだなって。嬉しくなってしまう。



「ティアラさん。黒煙コクエンについて説明していいか。」

「颯斗さん。お願いします。あれって……」

「黒煙は天国にいる天使が負の感情に支配されたり、罪を犯す前兆に起こるものだ。

感情の大きさによって煙の量は多くなっていく。

正気にさせるまでよびかけるか、ここまで連れて来て浄化が間に合うか、どちらかになる。

今回は恐らく、高橋のミスだろう。キヨばあから仕事を奪っているしな。」

「颯斗だからにゃーが、」

「にゃーたん。これは高橋の問題だ。」

「にゃ……」



颯斗さんは北杜さんに近づいていく。

北杜さんはどこか余裕そうだけど、颯斗さんは少し重々しそうだ。



「高橋がこうなったのは一度じゃない。未遂も数えればかなりの数になる。

これ以上、彼女をここに置くのは危険です。そう思いませんか?北杜さん。」

「え!?」

「またそれですか?」

「今回は来たばかりの新人まで巻き込んでの事だ。重大な事だと受け止めていただきたい!」



北杜さんは少し考えているポーズをして。

そしてなんもかんがえてないような笑顔をみせた。



「前回も同じ事を言いましたが、その時、」

「その時だってのらりくらりと!彼女は何かに苦しんでいる!ここは精神的負担が多い。

だから……」

「まあまあ落ち着いて、颯斗さん。ここで二人目の浄化なんて勘弁してほしいです。」

「にゃー!にゃーがわるいんだにゃー!頼むから颯斗も落ち着くにゃー。」



うちは考えた。

これは意見のぶつかり合い。

でもさっき聞いた、優しさのぶつかり合いなんだ、きっと。

北杜さんなりの優しさと、颯斗さんなりの優しさ、それが違うだけ。

きっとそうなんだ。全部わかるわけじゃないけど。

だったら……



「北杜さん!!!!!」

「え!?あ、ティアラさんどうしました?」



さっき学んだ。ここは。だから。



「今日うちの歓迎会しましょう!このチームで!

天国のおすすめのお店予約お願いしまーす!」



「「「「今言う!?!?!?」」」」



まずは、ターゲットを、人を知る。

そう教わったからね。





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