第二十話 うち、再会しちゃった!
うちはガバっとにゃーたんを抱きしめた!
だって!もう会えないと思ってたのに!天国で、しかもこんな所で再会するなんて運命......!すごすぎるうううう!
「にゃーたん!元気だった!?こんな元気に動けるんやね!天国って最古じゃん!」
「にゃ?にゃ?この匂い…… てぃあら……?」
「そうそう!ティアラ!にゃーたん!久しぶり!」
「にゃーたんさん。大島ティアラさんはこの愛のキューピットチームに今しがた入られたところなんですよ。」
「にゃあ!?」
「嬉しい!にゃーたんと同じなんて!」
わいわいしてる中、他の人は呆然としてた。……なんで?
「にゃーたんさんが北杜さんギューを許している。」
「嘘……だ。」
「いいわねえ。猫はこうじゃなくっちゃ。」
「へえ、嬢ちゃん知り合いなのか、にゃーさんと」
「はい、うちで飼っていた猫なんです!!」
「「「「ええええええええええええええええええええええええ!」」」」
北杜さんはにゃーたんを抱いて慣れた手つきで頭を撫でながら話し始める。
「ということです。にゃーたんさん。わかりますよね?」
「……まさか北杜。わざと!」
「いえいえ。たまたまティアラさんなら出来ると確信してここを進めただけです。」
「にゃーるほど。……考えたにゃ。」
「という訳で、にゃーたんさんにはティアラさんの研修をお願いできますか?」
「にゃにゃ!?にゃんで!」
「お知り合いのほうがやりやすいでしょう?それに、もう危険な事は出来ませんね?」
危険な……事?なんだろ。
聞きたかったけどなんかそんな雰囲気じゃなかったからやめといた。
今はにゃーたんに会えた事が嬉しいし!研修してもらえるとすげーじゃん!
「わかったわかった!じゃあ、鮭用意するにゃ!給料上乗せにゃ!」
「かしこまりました。さあ、ご挨拶を。」
目の前にいるのはあの日、衰弱して静かに死んでしまったにゃーたん。
元気な時みたいに尻尾をふって、うちを見上げながらしゃべった。
「大島にゃーたん、ランクSSS。よろしく、ティアラ。」
「は!にゃーたん喋ってる!」
「いや今更かよ!」
「ごめんごめん!なんか興奮して忘れてた的な?」
「はぁ、ではにゃーたんさん。お願いします。上司の務めみたいなので。」
「颯斗わかってる。皆奥の部屋借りるにゃ。ティアラ、来るにゃ。
北杜、ここまででいいにゃ。後は信用していいにゃ。」
「はい、ではティアラさん。何かあればご連絡を。私は登録などをしてまいります。
では、愛のキューピットチームの皆さん。ティアラさんをお願いします。」
綺麗に頭を下げて、「失礼します。」と言って扉が閉まる。
錆びついたキ゚イイと音が立つ。思わず体が反応した。
「こっちにゃ。」
「大島さん。」
高橋さんがこそっと、うちに何かを渡す。それは長年にゃーたん好きだった猫用のちゅーるだった。
「機嫌が悪くなったら話なんないの。……あーわかってるか。
でもこれ今持って無いっしょ。使いなよ。」
「高橋さん!サンキュー!超助かるんだけど!」
「べ、別に。認めたわけじゃないけど。……行ってきなよ。」
「うん!」
うちはにゃーたんと奥の部屋まで歩く。
なんだか懐かしい時間だ。こうやって二階のうちの部屋までにゃーたんが先に歩いてよく一緒にくつろいだっけ。
やば、泣きそう。
「ついたにゃ。開くにゃ。」
「あ、うん。」
扉がまた錆びついてめっちゃ重かったけど、ギギギ音を立てて開いていく。
そこには最低限の応対室って感じの部屋があった。
もう皮が剥がれてるところのあるソファーに、長年使ったんだろうなっていう木の机。
そこに、多分にゃーたんの専用で作られたであろう小さなクッションベットがあってそこにひょいと飛んで座った。
あ、座らねば。一応上司だし……
「ティアラ。」
「はい!!なんでしょ!」
やっぱ、怒らせた……?ここの人みんな否定的だし。
チラリと顔を見る。なんの顔色も変わらずだ。
「なになになに?」
「今から、頑張るから。ちゃんとするにゃ。仕事の説明も、研修も、上司としてだから。
……生きてた時みたいに、撫でてほしいにゃ。」
「……にゃーたん。」
そうするとあの時みたいに、頭をすっとうちの前に出す。
これはにゃーたんの癖だった。撫でてほしい時は頭をわざと出してアピールしていつもうちはそれが可愛くて……。
死ぬ時もそうだった。
最後の力だったと思う。力を振り絞って頭をうちに向けてくれた。
うちは泣きながら頭を優しく撫でた。ふるふる震えるカラダ。「にゃあ」と言って、ゆっくり倒れていった。
それが最後のにゃーたんの姿だった。
うちは、にゃーたんにそっと触れた。
この毛並みも、温かさも、形も、全部がにゃーたんで。
何度も何度も会いたいと思っていたにゃーたん。
初詣も、七夕も、サンタさんも【にゃーたんに会いたい】と言ったけど、叶えてくれなかった。理由はある程度になって知ったけど。でも子どものうちには本気だった。
8年前から、久しぶりのにゃーたんはなんの代わりもなく。
「ありがとう。」
「にゃ…… 本当は会いたかったにゃ。」
「うん……」
「でもさみしくなる気がして。あまり行けなかったにゃ。ごめんにゃあ。」
「うちも、あの時なんにも出来なくってごめん……」
「仕方ないにゃ。」
「会いたかった。」
にゃーたんは黙って撫でられていた。
そう、この満足そうな顔。これがみたくて頑張ってたんだ。
学校からまっすぐ帰って、おやつをあげるのは、うちの仕事だった。
扉があくといつも走ってうちの足元に絡みついてきた。
にゃーたんはあっちこっち行かないからリードなんかもなく、一緒に歩いて公園に良く行って「おりこうさんね」と褒められたっけ。
ずっとずっと一緒にいるんだって思ってた。
思って……いいかな?
「にゃーたん。」
うちって幸せかも。
少しだけうちらは昔の時間を取り戻すように一緒にいた。




