第十八話 うち、決定ね、これ
すっと立ち上がった四人はなんとも個性的な感じだった。
ピンクのロリータさんの女の子。
インテリメガネの白シャツ白ズボンの男性。
駄菓子屋でおまけくれる系の優しそうなおばあちゃん。
で、なんでかオレンジのニット帽のなんかだるそうなおっさん。
カオス!!!!!
「え?ここ服、白じゃないじゃん!」
「外界に行くチームなので、一部認められてます。」
「ま?めっちゃアガンだけど!やったーーーーーーーーーーーーーーーーー」
「ひいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!」
ロリータさんが叫んでいる。怖がられた!!!!
「よよよよ陽キャじゃんね。こわこわこわこわ。どうしたらいいの!」
「高橋さん、落ち着いて。多分見学ですよ。そうでしょう北杜さん。」
「そのとおりです。」
「ですって高橋さん。」
「あ、はぁはぁ……」
「まあまあ、可愛らしいお嬢さんだわね。こんにちわ。」
「……新人?」
わいわい四人は個々にパニックになったり、穏やかに話したりしてなんだか賑やかになった。うちの入る隙がないよ…… やべえ。
「はい、皆さん聞いていただけますか?」
北杜さんが一言発すると、ピタリと声が……やまない!!!!
ずっとがやがやしている!?
え?北杜さんが一番えらい人なんだよね!?聞かないの話!?こえええええええ。
「あはは。いつもこうなんです。」
「いつも。」
「外界でのお話は上手なんですけど、普段はこんな感じで。あはは。」
「は!?上司の話聞けないとかありえなくね?」
しーん。
……しまったかも。
「ほほう、そこの小娘さん。何か?」
「は?小娘じゃねーし!ティアラだし!」
「は?」
「どうも!!!!見学に来ました!!!!!!大島ティアラです!!!!!!!
今日は!!!!よろしくお願いします!!!!!!」
声の限り叫んでやった。
「ティアラさん落ち着いて……」
「北杜さん、ちゃんとしてください!上司なんでしょ!」
「まあそれは同意ですが。」
「颯斗さん!」
「あのあの。見学って、その、ここに入るって事でしょうか?」
「まだ考えているところですが、北杜さんに進められて来ました。」
「あらあら。ならゆっくりなんでも聞いてくれな。おばちゃんが話しちゃる。」
「まあ、いいかも。人減るから。」
「弱いからだろー。」
「あんたが残ってるのはこんな飲んだくれみたいな風貌のおかげだからな??実力じゃありませんからね???」
「んだとコラあ!」
ああ、神様。
うち生きてる時でさえこんな個性的メンツがぶつかってるの見たこと無いです。
でもここが適任と上司に言われました。あの…… 本当でしょうか?
うちは少しだけ様子を見てみることにした。
ピンクロリータは高橋さん。
少しおどおどしていて少し否定的。なんとなく仲間にも気を許していない感じがする。
白シャツインテリメガネは颯斗さん。
ここの仕切り担当のようだ。解説や、言いたいことはズバッと言う感じだ。
方言がでているおばあちゃんはキヨさん。
一番おっとりしていて、こんな喧騒の中お茶をすすっている肝っ玉。
オレンジニットのおっさんは鞠男さん。
風貌がいかにも屋台のおでん食べてそう。喧嘩っ早い。声がでかい。
そこに、うち?
「北杜さん……」
「今の状況どう思いますか?」
「え?」
「彼らは10年以上消えていないいわばベテランになります。仕事もなんの問題はない。
だからここで働いているし、しっかり給金も出ている。なんならこのチームはリスクが高いから上乗せまである。だから、いい。そう思いますか?」
あ……
わかっちゃった。
北杜さんがうちをここに連れてきた理由。
「うちは。こんな職場嫌です。」
「だったらどうします?」
「……どうなっても知りませんよ?」
「責任は先程のようにとりますよ。期待してます。」
うちは思いっきり深呼吸した。
今までで一番大きい声を出してやろう。響けって思い。
「うるせええええええええええええええええええええええええええええええええ」
四人がこっちを向いた。そこを一気に畳み掛ける。
「皆さんがベテランとか、すごいとかまだわからんけど!見学に来た新人に対して目の前で何視てんすか?」
「はあ、だから話して……」
「うちと話してください!勝手にそっちで話されても何していいかわからないし、なんの時間ってなるし。そもそも、喧嘩すんな!いみわかんねーわ!」
「あなた結構言うじゃない。あんたが来たから喧嘩してるのに。」
「うちが来たくらいで喧嘩する先輩方の方が問題だと思いますよ?
日頃からコミュニケーションとっていたらこうはならないでしょ?」
「な!」
「まあまあ落ち着いて。」
「おばちゃんも、優しそうに見えるけど、静止してるだけじゃん!」
「!」
「おい!さっきから聞いてりゃ、なんだ?俺等のやり方に文句があるなら出ていけ。
俺等はこれで10年以上やってきた。なんの問題もない。北杜さん、そうだろ?」
「はあ?まじで言ってるならおっさん、人生やりなおしたら?」
「んだと!」
全員うちを睨んでいる。喧嘩を売られたと思われてるのがひしひしと伝わる。
でも違う。うちが本当に言いたいのは……
「先輩方もわかってるんじゃないんですか?こんな端の部屋な事。
一番簡素な扉と部屋の内装。明らかな他のチームとの格差があるって。」
「そ、それは……」
「あと、さっきうちがこの恋愛科に来た時。皆さんいらっしゃらかったハズ。
どうしてですか?」
「あ、あのねえ……」
「チっ。」
「それは私が話そう。」
そういうと颯斗さんがうちの前にやってきた。
鋭い眼光はキラキラ輝いている。でもどこか寂しそうだ。
「恋愛科に人が来る際はうちのチームは行かないことにしている。理由は2つ。
1つ、どうせ関わらないから。うちに入るなんて珍しいしな。入っても居なくなる。
そして2つ、笹森さんがいるからだ。」
「笹森さん?」
「あまり良く思われて負いないチームだからね。副代表である笹森さんにとって私達はお荷物天使。紹介する価値もない。
人がよく減るチームを進める義理はないとね。」
「は!?そんなんいじめじゃん!?罰にならないの?」
「罰は悪いことをしたことを指す。事実を言われるのは罰に値しない。」
「で、でも!!!!」
「だから君にも別に期待も何もしてないし、これ以上口出さないでくれ。
それがこのチーム唯一の同じ意見なんだ。」
全員がバツの悪そうにしている。
……伝わってくる。皆の悔しい気持ち。苦しさ。
何度も経験した別れで期待も持てない。周りの理解もない。
そんな中、こうならないのがおかしいか……
「ってなるかーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!」
「は?」
「チームなんて仲が良いに決まってる。それに評価なんてこれから変えていけばいいじゃないですか!?
北杜さんに聞きました。めっちゃ大変な仕事だって。誇ってくださいよ!やってること!
そもそも、働いててえらすぎな!?死んでも働く予定なかったうちからしたらすげえよ。」
「あんた何言って……」
「北杜さん、キューピットチームの皆さん。うち、ここに入ります!」
「はあ?どうしてだ!?先程の話を聞いてなかったのか!私は……」
「うちは、人の助けになりたい!!!」
瞬間、空気が変わったのがわかる。そう、部活でおんなじ答えにたどり着いた時みたいに。
「恋愛とかしたことないけど、きっとみんなめっちゃ悩んでいるんだと思う。
だからうちも何か出来ることがあるなら直接救いたい。」
「けッ、綺麗事を。」
「そして、みなさんの事も。」
「はぁ。この老いぼれをかい?」
「はい、ここは天国。もっと幸せになりましょうよ!てかうちがそうさせる。これ決定ー。」
「あははは。ティアラさんならそうなるかと。」
「仕向けたくせに。」
「さあ。」
北杜さんは本当にいじわるだ。
でも、確かにこれならうちもやる気マックスだわ。
「大島ティアラ、天使恋愛科、愛のキューピットチーム入らせていただきます!」




