第十七話 うち、愛のキューピットいいんじゃね?
そこからいろんなチームについての説明をうけたけど、なんか日本って決まった考え方とか神さまとか?みたいなのって他の国にくらべて決まってないし多様性のせいでめっちゃチームがあって正直萎え。
こんな細かいの!?だりいいいいいいいいいそんな事絶対言えないけど!!!
多様性で助かってた事もあるはずだし????
「ティアラさん、一回休憩します?」
多分色々顔に出てたから、心配した北杜さんが気を使ってくれた。
「いや!全部聞いてからにする!絶対、悩むから。」
「あはは。元気だなあ。まあこれが最後なんだ。実は僕的にはこれが一番あってるとおもってるんだ。」
「ええ!?なら最初に言ってよ!」
「説明は義務だからね。それに決めるのはティアラさんだから。」
「そうだけど……」
北杜さんって一番大事なことは最後に言いたがる性分なのかな。ちょっといじわるだ。
顔がいいからそれがエッセンスになってキュンしちゃうわー。……惚れてないけど。
「最後のチームは…… 愛のキューピットチーム。」
「え?弓!?弓!?」
「違うってば!有名な映画でもあると思うんだけど、男女共に犬を飼っていてさ、その犬の紐が絡まって出会う夫婦の話。」
「うーん……」
「つまりは、外界でターゲットが出会うきっかけを作ったり、背中を押すような会話をしてカップル成立させるチームなんだ。」
「えええ!それって!外界に行けるってこと!?」
「他のチームよりは比較的にそうなるね。」
「まじ!?じゃあまじ最高じゃね!?みんなに会えるし!!!」
「そこが少しティアラさんに注意したい所なんだ。」
少し俯いた北杜さんは、さっきまでの椅子にしっかり座っていたがガバっと足を広げて腕を置き体制を変えた。
少しだけ、静寂がおきる。
「このチームはうまく出来る方は、ずっとやってくれてるチームだ。
でも、相手に感情移入しすぎた結果計画と違った行動をして罰を受けたりしやすい。
それだけならいい。罰は回数があるし、ティアラさんは未成年だからチャンスもある。
最初の受付でもらった資料。しっかり読んだ?」
「えっと、ざっとは。」
「うん、なら説明する。外界に行く機会は天使にもある。でもね。
絶対、天使が大島ティアラだとはばれてはいけないんだ。」
「どういう事?」
「そのままの意味合いだよ。外界で話したり、交流を持ってカップルを成立した時、大島ティアラが天使であると外界のものにバレてはいけないんだ。
これは罰ではなく、天使の資格の剥奪となり輪廻の輪にも戻れない。
それに加えて天使だった時の記憶は全て排除されてしまう。
だから、よく言う自分の死に気づいていない、地縛霊とかその類になってしまう。
永遠に孤独になってしまい、天使も悪魔も魂の救済は出来ない。」
「え」
「このチームは退社される方より、帰ってこれなくなる方が多いんだ。
ある日突然、居なくなってしまう方が。」
「それって……」
「地縛霊になった同僚を何度も見てきた。でも記憶がないから、僕達は何も出来ない。」
お、重すぎる。責任重大だ。
天使でもいられないし、うちのまま霊として外界に居続けないといけなくなる。
それにうち、感情移入なんかめっちゃするタイプだから……
「北杜さん、なんでうちがこのチームが合ってるって思ったの?
うちは自信ないっていうか、その…… 大丈夫かわからないっす。なんで、うちがここに?」
少し、時間が空いてから、北杜さんはタブレットに目を通す。
うちはなんとなく話せず、待ち続けた。
何を言われるかわからないからすごく怖い時間だ。
そんな時間を過ごしていると、北杜さんはフッと笑った。急だった。
「え、なんすか?」
「貴方が最初に救ったのはお母様ですね。」
「え?」
「大島うさぎさんです。貴方が幼稚園の時、職場でのトラブルでかなり精神的に追い詰められていました。しかし、ある日貴方は何気なく、元気になってほしくってコレを書いた。」
タブレットには幼い頃に書いたうちの【ままのすきなとこ!】と書かれたものが。
何だがおぼろげに記憶がある。ママが元気がなくて。でもこれにはめっちゃ覚えがある。
【ままのすきなとこ!
かわいい!めいくがんばってるね
おしごとすごい、みてみたい!
ごはんがおいしい!たまごやきだいすきです
やさしいのうれしいよ
いつもいつもだいすきだよ】
「これ、ママの部屋に飾ってるんだ。」
「はい、これを見て、貴方のお母さんは再起することが出来ました。」
「そうだったんだ…… 知らなかった。」
「他にもクラスメイトの喧嘩の仲裁から、相談役、数え切れないほど貴方は人を救ってきたとこの歴史書に書いています。」
「昔から困ってんなーって人ほっとけないんだよね。でも、」
「だから、リスクはありますがここが適任と考えました。
貴方は人の為ならどんな事も厭わないパワーが有る。
さっき笹森さんに謝罪を求めたところで確信しました。
僕なら、こんな人に話したり一緒に考えてもらって愛を知りたいと。
だから、どうか見学だけでもいかがでしょうか?」
北杜さんは本当にうちにここがいいと思ってくれてるんだ。わかったよ。
でも怖いもんは怖いっしょ!!!ってのは消えない。
でも逸らせないその瞳の真剣さから。
この人からは何か凄く強い意志や、優しさとか、なにか言えないけどなんてーのかな。
信じてみたいなって思う力がある。
「見学からなら……」
「本当?嬉しいな。あまり進めづらいチームだから。久しぶりの仲間だから皆喜ぶと思うよ!」
「まだやるって言ってないっての!」
「あはは。じゃあ。行こうか。百聞は一見に如かず。」
北杜さんはなんだか嬉しそうに立ち上がり、扉をあけてエスコートしてくれる。
毎度、本当にスマートな人。この部署内でモテそうだなー。
オフィスはチームが多いからかとても部屋が乱立していてあまりの広さに飛んでいる天使もいた。そりゃそうだ。歩くより早い。……まだ飛んだ事ないけど。(その発想がなかった)
すげー。ここで日本の恋愛や結婚は管理されてんだなー。
そう思えば狭いのかも知れないな。
「外界が見やすい端の部屋になるからごめんね。」
「いやいや!大丈夫っす。元気なんで!」
「そうだね。ティアラさんの長所だからね。期待してる。」
「押忍!」
「ついたよ。」
ちょっと絶句する。他の部屋より古い扉で絶対絶対経費なんてかけられてないじゃんって!
さっきの笹森さんがいるシナリオチームは鏡張りでシャンデリアあったぞ!?
でもここは、いっちゃあ悪いけど学校の倉庫みたいな見た目。
ドン引いているうちを無視してノックして北杜さんは扉を開けた。
「キューピットチームの皆さんちょっといいですか?」
そこには4人の男女の方が座っていた。
少ない……!!!!!!!!!!ほらああああああああああああああああ
うち、波乱のスタートです。




