第十六話 うち、悪魔なんて初めてみた。
「あははははは、本当。緊張しすぎですよ。」
「だってぇ!」
「いつ気づくかなーなんて思ってたりしました。」
「さいあく!」
「でもプレートは最初からつけてましたよ?」
「もう!北杜さん!」
恋愛科の会議室。そこで北杜さんと面談となった。
そう、ずっと優しくしてくれていたこの人こそが、天使、恋愛科の代表の和泉北杜さんだったんだよ!
「信じらんない。」
「もう嘘はつきません、安心してください。これは最初で最後のいたずらです。」
「……じゃあ約束。」
「わかりました。」
にっこり笑って小指を出す彼はもうキラキラオーラ全開すぎてうちもちょっと照れる。
でもでも!ちゃんと約束したいしゆびきりをした。
「心臓に悪いんで次からは早めに。言ったほうがいいっすよ。」
「これ毎回しちゃうんですよねー。新人さんに一番に会いたいので。」
「悪趣味すぎ。」
「さてさて、業務説明していきますから。メモをだしてください。
資料は紙面かスマホどちらにしますか?」
「す、スマホで。」
「わかりました、では準備を。」
北杜さんはすぐにパソコンで資料を送ってくれた。
ほんと顔だけ!はいいってのが今の印象。ここからこの人がどんな人か知っていくんだなって思いながら、資料に目を通す。
「まずはようこそ、天使、恋愛科へ。
貴方のお仕事は主に外界の人間の恋愛をサポートをするものになっていきます。
様々なチームが存在しているので、好きなスタイルで恋愛をサポートしていきましょう!」
「え、天使の矢とかでやんないんだ!?」
「うちはそういうのじゃないかな。」
「へー。そうなんだ。結構楽しみだったのにーちぇー。」
「ごめんね。ご期待に添えなくて。まあでもその下のチーム内容を見てくれる。ざっとでいいから。」
そういわれてざっと見ていくと驚いた。
「えっと、なになに、シナリオチームは恋愛の筋書きを考えて実行にうつす!?」
「これが一番古いチームになります。なんかすっごい情熱的な出会いとか、
偶然の再会とかあるじゃないですか?ああいうのをシナリオを書いて、
実行チームがその通りに進めていくものです。笹森さんもこのチームですね。」
「うげ、やめとこ。」
「まあまあ。意外と恋愛マンガを書いていた方もいらっしゃって楽しいですよ。」
「へえー。適材適所っすね!それ!」
「ええ、そういう考えでティアラさんにもいいチームを選んでいただきたいのです。」
なるほど、それならわかりやすい。うちに合うものを探せば良いんだ。
そう思ったら気が楽になってその後の文章も読み進めていける。
他には、
神社や寺と連携をとってデータ分析するチームとか、
10代までの恋愛チームは人生の挫折を覚えさせるようにとか、
老後の恋愛再熱するとか、
前世からの約束をあわせてくようにするとか、
マッチングアプリチームなんてて最新チームもあるじゃん!
なんか、なんていうか、すっげえー。
「結構あるでしょ?」
「うん、めちゃある!なんか意外と地道な活動的な感じなんすね。」
「そうは言っても人の人生を左右する仕事ですから慎重にしていますよ。」
「うちって一回も彼氏出来ずに死んでんで、選ばれなかったって事っすねーはい。」
「あはは、人によるってのはあるからねえ。」
「納得いかないっしょ!華のJKだよ!?」
「そうだね、それが僕達の課題でもあるんだ。」
「課題?」
「そう、だから最初に話すべき事があるんだ。これを見てくれるかな?」
北杜さんは立ち上がって、スクリーンをつける。
そこには見慣れた都会の町、いや、外界がうつってた。
なんでわかったのかって天使が飛んでいたからだ。
「え!?外界って見えんの?」
「ある程度はね。こうやって天使が飛んで人の幸せを作る手伝いをしている。
でもね、ここ、わかるかな?」
指の先に見えたのは黒い服の羽の生えたナニカ。
「悪魔、死神だよ。」
「これが?」
「悪魔は僕達と逆、地獄に落ちたものの中で尚更生したい者が死神となる。
1000人の魂を救済したものだけが輪廻の渦に戻れるんだ。
更生したい者なんて腐る程いる。どれだけ幸せな恋愛をしても、あいつらからして救済だと思われたら魂を奪われてしまう。」
「え、じゃあうちも?」
「まあ、言い切れないよ。現場を見たわけじゃないからね。だから、こいつらのせいだとは思ってはいけないよ。」
「でも、でも!」
「話を進めるね。僕達がすべきことは死神の妨害ではない。
人を幸せにすることだ。死神の相手をする部署はすでにある。」
え?死神と対峙できるの?
じゃあ、うちのかたきとれたりするの?
うちを、殺したやつを……
見透かされたようだ。北杜さんはうちの手を握った。
はっとした。今うちめっちゃ駄目なこと考えて。
「でも、ティアラさんはその道に斡旋されていない。
ティアラさんの歴史書、見させていただきました。」
「え」
「今までの人生が書かれたものです。履歴書だと思ってください。
貴方は、これまでほんとに人のため、そして自分の為に生きてこられた素晴らしい人だ。
そんな人はここに必要なんです、だから選ばれた。
ここに斡旋されてきた者も久しぶりです。まれなんです。そんな生き方される方。」
「な、なんか褒められてる?」
「はい。そうです。」
は、はずい!!!!!!
「これから死神にはどうしても出会ってしまうし、心をかき乱して行くことかと思いますが、どうか人の幸せを願い続けてください。
僕を、恋愛科のみんなを信じてほしいんです。お願いです。」
きゅっと手が握られた。ドキッと一瞬したけどこれは祈りのようなものだと感じる。
だからうちは倍の強さで握り返してやった。
「いたたたたた!!ちょ!ティアラさん!」
「最初に嫌な事教えてくれてサンキュー。でも大丈夫。
うち、人のために生きてきた。だからこれからもそれは変わらないよ。
そりゃあ、ちょっとさっきはムカついたけど、そんときは北杜さんたちが止めてくれるっしょ?」
「……勿論です。」
「ならOKー!優しいね、北杜さん。」
「よく、言われます。」
「なぬ!?ならうちはバリ優しい!って言う!」
「何ムキになってるんですか?」
うち、なんかここに来て甘い世界だけじゃないってわかってきた。
けど、どうにか自分らしくできること、見つけるぞ!




