表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
パチンコ大好き山伏女がダンジョンの下層階で遭難した美人配信者に注文通りハンバーガーセットを届けたら全世界に激震が走った件  作者: 羽黒楓


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

99/114

第99話 オオカミの空

 同じころ。

 トメの身体がピクリと動いた。

 全身に貼り付けられていたお札も揺れる。


 零那(れいな)は真言を唱えるのをやめ、トメに呼びかける。


「トメさん! トメさん!? 大丈夫!?」


 トメはゆっくりと半身を起こす。

 その顔にもお札が何枚も貼られている。


「うわー……キョンシースペシャルだ……」


 ヤミが能天気に言う。

 そのトメに、つららがかけよってきた。


「お姉さん!」

「はいスト―――ップッ! そのお札、強力なのよ、触るとあんた一瞬で消滅するよ」


 ビクッとして足を止めるつらら。


 トメはまだ状況が分かっていないようで、


「山伏……幽霊……つらら……」


 そして自分の腕や身体を見る。


「これは……意識がある……。私は、幽霊になれたのか……?」

「違います。トメさん、生きてるんですよ!」


 羽衣(うい)がほっとした表情で言った。

 トメはお札の中から覗く目を見開き、


「マジか……」


 と呟いた。

 ニンジャ装束は焼けてしまっていて、ほとんど裸だ。

 とは言っても体中に軟膏が塗りたくられ、その上からお札が何十枚と貼られている。


 トメはゆっくりと立ち上がると、お札の一枚をはがして自分の肌を見る。


「ほとんど治ってる……」

「そのお札、ヒーバーの特別製で強力だから! よかったー、あんまりひどいやけどだったから、治癒法術がうまくいかなかったらどうしようかと思ったわよ」


 そして、トメの背中に持ってきていたバスタオルを優しくかける。

 零那(れいな)はその上からトメに抱き着いた。


「ごめんなさい! 私、油断してたわ。まさか、トメさんと虹子さんを狙うなんて……! ほんとにごめんなさい!」

「なにを言っている。私も虹子も探索者だ。自分の命は自分の責任だ。……いやむしろ、私はお前に礼を言う立場だ。言いたい。ありがとう。ありがとう、零那(れいな)羽衣(うい)。それに……つららもだ。ありがとう」


 ヤミが自分を指さしているのを無視してトメは続ける。


「で、虹子はどうしてる……?」

「そ、そうだ、虹子さんのことも助けなきゃ! 羽衣(うい)、配信どうなってる!?」


 羽衣(うい)がタブレットを取り出す。

 そこに映っているのは、虹子がキブングと闘っている姿……ではなかった。


 見知らぬ中年の男と、後ろ手に縛られている虹子の姿だった。

 中年の顔はトカゲに似た顔立ちをしていて、下品な笑みを浮かべている。

 どうやら日本人のようだった。

 髪が薄く、バーコードのように少ない髪を無理やり頭部に撫でつけている。

 カメラの側にあるのだろうライトの光で頭がキラキラ光っていた。


「ふふふ、見えているか? 俺はモンスター保護団体、オオカミの空の軍事を担当している、西村という者だ」

「は?」


 いきなりの展開に、零那(れいな)たちは混乱する。


「俺たちはモンスター保護のために全世界から寄付を募り活動している。お前ら探索者、特にS級以上の探索者はモンスターと地球に害をなすゴミどもだ。だから俺がこいつやそこにいるだろうニンジャに呪いの刻印を彫り、お前らをここに呼び寄せたのだ。今俺は地下20階にいる。こいつを助けたくば、まっすぐここへ来い」


 え、なにこいつ?

 オオカミの空?

 聞いたことない団体だけど、え、なに、モンスター保護団体? え? どういうこと? え?


 零那(れいな)の頭の中はパニック状態だ。

 羽衣(うい)やトメも同じようで、眉間にしわをよせてその画面を見ている。


「ほえ~~~」


 ヤミだけはのんびりした様子でその配信を見ていた。

 西村はドスの聞いた声で言った。


「いいか? あと24時間でここに来なければ、こいつを……殺す! 早く来るんだな!」


 西村の隣に立たされている虹子も叫ぶ。


「お姉さまぁ! 助けて! 助けて! ひ、ひどいことされる……。たすけてぇぇぇぇっっっ!!!!」


 零那(れいな)はギリッと奥歯をかみしめると、


「みんな、トレーラーに乗って! 全速力で行くわよ!」



     ★



 まったく同じころ。

 虹子は落とし穴の中でキブングに向けて引き金を引いた。

 三点バーストのタタタン! という乾いた音が響く。

 虹色の軌跡を描いて弾丸が発射され、しかしキブングは背中から大きくのびた舌でそれらをいとも簡単にはじき返した。


「お姉さま……お願い……早く来て……!」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ