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となりの芝生

作者: 芋姫

念願のマイホームを手に入れ、僕と妻はウキウキだった。


今日は住み始めて初日。


荷ほどきを中断して、ひとやすみしていたときのことだった。

妻は先ほどからベランダでずっと外の景色を見ている。


何をさっきから、見ているのだろう。

僕はたずねてみた。


「さっきから、何を見てるの。」すると妻は答えた。

「となり。」


どうやらとなりの家を見ているようだ。ああ、と僕は返事をした。ちょっと気分が下がる思いである。


・・・となりの家は立派である。ちょっとした豪邸といってもさしつかえはない。バルコニーとかあって、庭が広くて手入れも行き届いている。今の家を購入する際に下見に行った時も、妻は何度もとなりの家を見て「素敵。」と連発していた。隣人の姿はまだ一度も見かけていないが、まだ見ぬ隣人についても「どんなゴージャスな人が住んでるんだろう?」と、うっとりとつぶやいていた。


ちなみにそのとなりの中古住宅がウチである。


・・・・・・・・・・・・・。


急に面白くなくなった僕は言っても無駄だと思いつつも、妻に声をかける。


「こんな良い立地に住めるだけでもラッキーだよ、・・・それに”となりの芝生”は青く見えるもんだよ。」


「・・・青いのよ。」妻が僕の方を見もせずにそれに応える。


「え?」「本当に、青いの。」・・・なぜか、その様子にただならぬものを感じた僕は妻のそばへむかった。


その視線の先を追う。


「・・・・・・・・・・・・・。」


僕は言葉を失った。


芝生が、青い。 本当に青い。それもなんか、発光しているではないか。


そのとき、カッとあたりが一瞬まぶしく光ったので、僕らはまぶしさに目を覆った。


数秒後、おそるおそる目を開けると、青く光り輝く芝生の上に巨大な円盤が現れていた。

外はなぜか夜のように真っ暗になっており、お隣の敷地だけがライトアップしている。


じっと息を殺して見守るなか、円盤の一部が開いて、中から全身グレーのボディスーツのような物を着た二人の人物が現れた。


買い物でもしてきたのか、ひとりは両手に大きな紙袋を持ち、もう一人にさっさと下に降りるように促しているように見えた。


え、なにこれ、夢???


やがて、

二人が地面に降り立つと同時に、円盤は跡形も無く姿を消し、あたりはもとの昼間の明るさに戻った。

ふたりは僕らの存在に気が付いたようで、こちらを見上げるとにっこり笑って会釈してきた。



おとなりさんは、耳がとがっていて、目と口がやたらとでかかった。




 











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