追加ep.4 シロの魔法団
魔法団を作り、バルドルア王国の役に立ちたいと願うシロ。しかし、思うようにはいかなくて……。
「第3回、魔法団会議を開始する!」
シロはダイニングに入るなり叫んだ。
だが、集まった顔ぶれを見て、シロは肩を落とした。
「あーあ、今日もこいつらだけか……」
そこにいるのは、エミリーとミゼル、だけだ。
「団員を集めるの、手伝おうか?」
ユラにもメイにも言われたシロだったが、自力で頑張ると拒否した。
しかし、1年が経過しても、入団者はこの2人だけである。
大きなため息をつくと、シロは気を取り直し、 2人の前に立った。
「いいか、2人とも。今日こそ杖の先を光らせような?」
シロは2人に杖を手渡した。
「君たちはあの大魔法使い、ユラの妹弟なんだ。きっと素晴らしい魔法使いになれるぞ」
カン、カン、カン、カン。ミゼルは受け取った杖で皿を叩いた。
「もう、早く座って! ご飯が冷めちゃうでしょ?」エミリーは杖をポイっと投げ、ほっぺを膨らませた。
「あー、もう」
シロが投げられた杖を拾っていると、コンコン。 ドアを叩く音がした。
シロがドアを開けると、先王・ヴァシェルが顔を出した。
「シロロン! ヤッホー! ちびっ子たちと遊んでくれて、ありがとね」
ヴァシェルはダイニングに入り、椅子に座った。
「いや……遊んでるわけじゃねーよ」
「分かってるって。ねぇ、シロロン。魔法団のメンバーは増えた?」
ヴァシェルの計らいで、シロは学校に入学した。だが、シロは王族だと紹介され、クラスメイトとの距離は縮められないでいた。
「みんなさ、オレが声をかけても愛想笑いするばっかりなんだ。魔法団に入ろう? って言っても、キミを怪我させたら重罪になるんじゃないの? とか言ってさ、全然入ってくれないんだ」
「そっかー」
「はい、ママ。スープできまちたよー」
エミリーが何も入っていない、小さなお鍋をヴァシェルの前に置いた。
「ありがとう、エミリー」
ヴァシェルはエミリーのおでこにキスをした。だが、すぐ暗い顔になった。
「あのね 、シロ。 ずっと思っていたことなんだけどね」
「何?」
「ソーレンのこと、私の弟がやったことだけど、本当にごめんなさい」
ヴァシェルは立ち上がり、深く頭を下げた。
「そしてもう1つ。私の父がやったことも。父は「探知」の一族の繁栄が、反乱因子になりそうで怖かったそうなの。本当にごめんなさい」
深々と下げる頭を、シロは見つめた。
「いいよ、ヴァシェルがやったことじゃないし。オレ、アレムを見て思ったんだ。悪いことをした人の家族って、その人も散々苦しめられる被害者なんじゃないかって」
シロの言葉に、ヴァシェルは顔を上げた。
「それにさ、オレの勝手な想像なんだけど。じいちゃんは、ヴァシルスに殺されるのを覚悟してたんだと思う」
「え? どういうこと?」
「じいちゃんは、未来ある若者の盾になったんじゃないかな? ユラやアルムの居場所を、ヴァシルスに教えなきゃ、オレの命が狙われる。でも、ユラやアレムをこのまま引き渡すのは可哀想、そう思った。 だから、わざと名前を間違えて、ユラとアレムに逃げる時間を与えてあげたんじゃないかな?」
「そうかしら……」
「だって、ソーレンじいちゃんは、体はよぼよぼだったけど、名前を間違えるほどボケてはいなかったんだ 」
「そう……」
「それってかっこいいなってオレは思う。オレも未来の若者のためになりたい」
「ふっ、シロロンだって、じゅうぶん若者だよ?」
ヴァシェルは笑った。
「オレ魔法団作るの、めげずに頑張るよ」
シロはニカッと笑った。
「期待してるよ」
「うん! 先は長いかもしれないけどね?」
コン、コン。ドアを叩く音がした。
シロがドアを開けると、そこにはユリックが立っていた。
「何?」
「使えるようになりたいんだけど、僕も」
「え? 何を?」
「魔法……それでも入団できるかな?」
シロはユリックに飛びついた。
「もちろん!」
「やったぁー!」
ヴァシェルもやってきて、2人に飛びついた。
「未来は明るい!」
キラキラと笑うヴァシェルを見て、シロもユリックも笑顔になった。
この後日談を最後に、「異世界でマイハウス作りたいんです!」を終了します。読んでくださった方、ありがとうございました!




