ep.41 愛する家族
妻への思いを話し、ヴァシルスはアレムに倒された。メイは必死に「死者の蘇生」を行い、ユラを生き返らせることに成功した。そして― 。
5日目、ユラが次々と死者の蘇生を行った。女王・ユリック・エミリー・ミゼル、爆発に遭った使用人たち。息を吹き返すと、みな自分の生還に驚き、そして心から喜んだ。
6日目、全員で話し合い、シェリと王国騎士団の蘇生も行った。団員は、ヴァシルスを恐れるあまり、反逆に加担したことを詫び、生き返らせてくれたユラへの忠誠を誓った。
7日目、ヴァシルスの蘇生も行なった。時間ギリギリまで粘ったが、復活は叶わなかった。
「生き返ることを拒否しているような気がする。ヴァシルスの意思じゃないかと思う」
ユラは8日目の朝、冷たいままのヴァシルスを見つめて言った。
「母に報告しなくては。伝言もあることだ」
アレムは離れに向かった。向かうアレムの背中はとても寂しそうに見えた。
「ピピッ!」
ピピが鳴いた。
「可愛いー!」
シロはピピを手に乗せて遊んだ。
「兄様のリスだわ」
「あたちも触りたい!」
王宮内に流れる悲しい空気に、ピピが暖かい光を差してくれたような気が、メイはした。子どもたちは、くるくると動き回る小さなピピを見て、笑顔になった。
「よかった、ピピがいてくれて」
ユラが隣にやってきて、目を細めたので、メイも微笑んだ。
「ねえ、ユラ」
「何?」
「あのね……私ね……」
「皆様! 家族ランチの準備ができました!」
オゼンがやってきて、大声を出した。
「わーい! ご飯だー」
「お腹すいたー」
みんな、ぞろぞろと王宮へ入って行った。
「殿下」
「あ、うん。じゃあ、メイ。また後で。」
「あ、メイ様とシロ様、アレム様も。これからは参加するようにと、陛下が」
「え?」
「すみません、遅れました!」
全員が席に着いた後、しばらくして、アレムがダイニングへやってきた。
アレムは向かいの斜めの、空いた席に座った。目が赤く腫れている。お母さんとはどんな話をしたのだろう。メイは思った。
バンッ!扉を開けて女王が入ってきた。
「あのね!ママはね、今日はみんなに、ご馳走を振る舞いたいと思っているんだけどね!」
女王は居ても立っても居られないという様に、室内をウロウロ歩き回って話し始めた。
「でもね、どうしても、言いたいことがあるの。メイさん、あなたにね」
「え? 私?」
メイは目を丸くした。
「私はね、蘇生、先にユラにしてもらってたのね。だからね、あの時。ヴァシルスが死ぬ前から、私はもうすでに仮死状態だったの。わかる?」
女王は興奮を抑えきれないようだ。
「あの時からすでに、私はもう半分、蘇生されていた状態だった。その状態でね、4日間!放置されてたのよ。私の方を早く蘇生しようよ!」
女王の顔が恐くて、メイは目を合わせられない。
「私はずっと思ってた。私ならすぐに復活するのに、なんですぐやらないのって!私の魔力がユラを生き返らせる助けになるから、早く!って。ずーっと念じてたのに、ずーっと、誰も気づかないんだもん!」
女王は口を尖らせた。
「まあ、結果、みんな元気になったから、いいんだけど……」
メイは頭を下げた。
「すみません! あの時はユラを復活させようと精一杯で」
「すいませんでした」
シロも頭を下げた。
「分かってる。ずっと聞こえてたから。頑張ってくれてありがとう」
女王は頭を下げた。
「あんなに全身全霊で、ユラを復活させようとするなんて。これは愛だなーってママは思ったよ」
女王はいたずらっぽく、ユラにウインクした。
ユラとメイは、2人とも真っ赤になった。アレムは窓の外を見た。
「そこでね、重大発表があります!」
「また重大発表?」
「前のランチでも重大発表って言ってなかった?」
ユーリとユリヤが言った。
「私、女王ヴァシェルは普通の女の子になりたいです!」
「えー!」
みんなが一斉に声を上げた。
「普通の女の子って?」
「女の子、ではないだろう?」
「んもう! ユリック! それは、今はいいの! つまり、王様をやめたいの」
女王は手前に座る、ユリック・エミリー・ミゼルを見つめた。
「あのね、チビッ子たち。あなたたちがああなって、ママは心から思ったの。もっと、あなたたちといっぱい、一緒にいなきゃいけなかったなって」
女王は高々と手を上げた。
「だから!ママは王様をやめます!ね、ユラ」
女王はユラを見た。
「王になる気はない?」
次回、最終回です。恋やあれこれの結末になります。読んでもらえると嬉しいです。




