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復活

 伝説の若手俳優がいた。


 今は2030年だが、10年ほど前に「蒼井将吾」という若手俳優が自殺した。


 当時は憶測が飛び交い、他殺説、生存説、誘拐説など色々と囁かれた。将吾が単なるイケメンではなく、カメレオン俳優と呼ばれ、多くの視聴者を魅了していた。カリスマ性といったものもあり、熱狂的なファンも多く飼っていた。10年たってもその人気は衰えず、彼のお墓や実家には、未だにファンも押し寄せているぐらいだった。


「お母さん。将吾さんが生き返って欲しいと思いませんか?」


 将吾の母・緑子は、ファンへの対応にウンザリしていたが、今日はそういった人物の訪問ではない。AI開発しているエンジニアとかいう怪しい男。


「は?どういう事です?」

「AI、つまり人工知能だったら、将吾さんを生き返らせる事は可能です」

「冗談はやめてくれよ」

「いいえ。嘘ではないのです。我々は本気で彼を生き返らせたいのです」


 男はそういう時、パソコンで音声を再生する。そこには生前の将吾とそっくりな声のAIがお悩み相談に答えていた。


「声は確かににてるよ。でも将吾は『好き』とか言わない。不器用で正直なやつなんだ」

「そうですか。なら、さらに彼に近づけるために情報をください」


 男は泣きながら頼み、緑子もおれた。できる限り生前の将吾の情報を提供するようになった。


 偶然にも緑子は記憶障害に悩まされていた。緑子だけでなく、記憶の問題を抱えているものがなぜか多かった。


 一説によると、最近起こったパンデミックによる注射の副作用とも言われていたが……。


 こうして彼に情報を提供し続けて数ヶ月。


 ついにAIに将吾の生前の記憶を全て覚えさせる事に成功した。


 パソコンや携帯画面に生前と変わりない将吾の声、発言がある。


 テレビにもAIの将吾が出るようになり、まるで乗っ取られたようだ。いや、復活か。少なくともテレビではそう言っていた。


 もう緑子の元にファンは誰も来ない。緑子も寂しくない。AIの将吾がいるから。


 めでたし、めでたし。


 とっても良い話だが、これには続きがある。こうしたAIの発達のおかげで命が軽くなり、自殺者も相次いでいるという。


 人工子宮やデザイナーベイビーの実用化まであと少しと言われ、余計に命が軽くなっていた。


 2020年に自殺したホンモノの将吾の遺書には、こうも書いてある。


「これからは人の要らない未来がくるでしょう。

 俳優も人ではなく、AIに変わりにやってもらう未来がくるでしょう」


 彼の予言、いや呪いの言葉は、どうやら本当になってしまったようだ。


 いつかこの地球にも人がいなくなるだろう。


 持続可能な未来の為に?


 2030年の「AIの将吾」からの2024年の君たちへ宿題だ。


 こんな未来を選ぶ?


 それとも人間や愛を選ぶ?

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