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職業自認

 今は2027年だった。


 今はあらゆる多様性が認められ、性自認、年齢自認だけでなく、職業自認も認められるようになっていた。


 極端に言えば無職のおじさんでも、心の中で大企業の社長と自認すれば、認められれていた。派遣OLでも人気女優といっても、自認の中だけは許されていた。


 そう、これが多様性というものだ。


 俺はとあるマッチングアプリに登録し、職業は医者と自認し、出会いを求めていた。


 本当の仕事は配送センターで段ボールを片付ける非正規低賃金の仕事だがな。


 俺はそこそこ顔もいいので、職業自認・医者でも女がホイホイ連れた。


 一晩やったら、サヨナラする関係だったが、ずっと女達に「お医者さんなの!?」と目をハートにされると、本当に医者になった気分になってきた。


 ネット通販で白衣も買い、自撮りをマッチングアプリにアップすると「いいね!」がいっぱいついた。


 そんな俺を怪しむ女のもいて、医学知識を説明しろと言われたら時はまいったね。これが職業自認の辛いところだった。


 現実の仕事中も、なんで自分は医者じゃないのかと違和感がある。これが自認というやつなのだろうか。


 女とやってもつまらない。現実の女なんて一回やったら、すぐ飽きる。全く面白くない。なんだかこの現実に違和感がある。生きにくい。


 そんな時だった。


 仮想世界を楽しめるゴーグルが開発された。このゴーグルをつけるとAIが搭載アバターをコントロールし、好きに仮想世界を楽しめるらしい。「メタ☆バース」というゴーグルだったが、俺はすぐに飛びついた。


 アバターは、もちろん医者に設定した。中世ヨーロッパ世界風の映像が流れ、アバターの俺は、医療知識で無双する。どんなゲームをゴーグルをつけて楽しむ。


 だんだんとゴーグルを外す時間が減ってきた。これをやっているうちは、面倒くさい女もいないし、都合の悪い現実もない。楽しくて仕方ない仮想現実世界だった。


 寝る時間も食べる時間も惜しむようになり、医者のアバターを自由自在の動かす。もうベッドから起き上がり、現実世界で生きるのが嫌になってきた。


 こうして俺は、好きな自由を手に入れ、幸せだった。幸せのはずだった。


 今、俺みたいに仮想現実から抜け出せない人間が社会問題になっているらしい。


 仮想現実世界では、上手くすれば金銭も稼げるようになり、ますます帰ってこない人が増えているという。見た目は寝たりの植物人間状態だったが、本人の頭の中だけは、限りなく幸せだった。


 そう、幸せなんて人それぞれ。全て自認だ。これが多様性というもの。


 気づくと現実の肉体は全く使い物にならなくなっていたようだが、仮想現実世界の俺は元気に飛び回っている。医者になって子供や老人を救い、この世界では救世主になった。この世界の神は俺だった。


 ああ、幸せ?

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