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032_この世界のお風呂事情 ③

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あらすじ:昔あった風呂屋は人気ありすぎて

     汚水の浄化能力を超えたせいで

     営業停止になったようです。


視点:冒険者ギルド ギルド長 セントラルさん

『』:フールさん

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《オオヤシマ歴2994年 5月 5週7日目》


◆冒険者ギルド本部 会議室◆



「ちなみに、この都市での下水処理は

 【薬草】を使っています。

 汚れが軽い場合は薬草を浸した水で。

 汚れがひどい場合は刻んだ薬草を煮出して

 薬草ごと汚水に混ぜています」


『あ─…やっぱその方法なんだな。

 どこの世界でも基本はそれってことか。

 すげえな【薬草】…』


「煮出す方が効果は高いんだけど

 詰まり易くなるから、滅多にしないかな」


「煮出す場合は、必要な薬草の量も

 相当数になりますしね。

 ……それで? フールさん。

 他に何かおありなんでしょう?」


「(ヒソヒソ)…何か、さっきから

 ルフナさんが刺々しくないですか?」


「(ヒソヒソ)まあ、ルフナちゃんは

 自分の仕事にプライド持ってますから…。

 ほら、町中の下水処理は彼女が管轄ですし」



 う───…ん…。


 それはそれでどうなんでしょうね。


 自分の仕事を自信持って行うのは良い事ですが


 良案や意見を取り入れて改善するのも


 必要な事なんですが……。


 若い…と言ったらいいんでしょうか?


 地頭は良いんですが、柔軟さが足りないのは


 少々困りものですね。



『かっかっか! そう慌てなさんな。

 んじゃ、方法その1~。

 【浄水】の魔法!』


「「【浄水】の魔法?」」


「えっ!? ま、魔法!?」


「そ、それは、スキルとは別なのか?」


「……ふむ、魔法ですか。

 前にフールさんが教えてくれた

 【共通コモンスキル】とも違うので?」


『そう…その通り!!

 ま、【共通コモンスキル】とはちゃうんで

 パパっとは出されへんのですけど

 魔法の方やったら多分いけそう』


「「…???」」


「……ああ、そういう事ですか。

 つまり、スキルを通さないで

 直に【マナ】から変化させるんですね」


『おっ! さすがセントラルさん。

 やっぱ、理解が早い!』


「…えっと、つまり?」


「どういう事なんです?」


『つまり、こういうこっちゃ。

 これが【共通コモンスキル】の【浄水ピュリフィ・ウォーター】』


(キンッ、ボタッ…ボタボタボタ)


「「おおっ!?」」


「(ペタペタペタ)…ふむ、なるほど。

 話には聞いてましたし、コレ・・がそうですか。

 確かにコレ・・なら浄化効果は高そうですね。

 実際に納品所の方からも、フールさんの所のは

 毎回綺麗で品質が良いと評判高いですし」


『かっかっか! それはおおきに。

 んで、これが魔法の【浄水】…なんだが』


「だが?」


『俺は苦手だから少し時間かかる。

 …あ、ついでに何か入れ物ないか?』


「容器ですか?

 では、そちらの桶を使ってください」



▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽


▽ ▽ ▽ ▽ ▽


▽ ▽ ▽




(チャプチャプ)


「……これが?」


「そうみたいだな。

 効果は実際使ってみないとわからないが」


「……ふむふむ」



 なるほどなるほど。


 コレ・・は確かにさっきと違いますね。


 浄化能力の純度は、スキルの方が高かったです。


 ただ、この世界のスキルとは違う法則な為、


 【マナ】からの変換効率が非常に悪い様ですね。


 まあ、この世界の【マナ】は特殊らしくて


 最初からスキル用に調整してるそうなので


 そのせいでしょうね。


 そして、魔法こちらは不純物が多いですが


 自然の海に近く、変換効率も良いみたいですね。



「そうですね、浄化後に海へ流す事を考えれば

 確かにフールさんの言われる様に

 魔法の浄水こちらの方が都合が良さそうです。

 こちらは量も用意できそうですし

 何より環境への影響も少ないでしょうから」


『時間はかかるんやけど、量は見ての通り。

 それにしても、さっすがセントラルさんだな。

 見ただけでわかるのも大したもんだけど

 環境への影響とか俺は考えてなかったわ。

 かっかっかっか!』


「なるほどね…ギルド長。

 実際に試す必要はありますけど

 これは採用の方向で進めても良いと思いますが?」


「………(ギリィ)」


「…そうですねえ。

 効果は期待できますので

 実用化に向けて進めるのは良いんですが」


「ですが? 何か気がかりでも…?」


「現在、その魔法を使えるのが

 フールさんだけなんですよね。

 ……フールさん、人に教えるのとかは

 得意だったりしますか?

 理論として説明は……?」


『(ニヤリ)ふっ……。

 俺がそういうの得意に見えるとでも?』


「………ですよねぇ」



 まあ、言語による説明ではなくても


 何回か変換する過程を見せてもらえれば


 何とかなるでしょう。


 過程さえわかれば、スキル化もできますし


 シロとクロにも話を通しておきますか。


 …それにしても久しぶりですね。


 世界に新たなスキルを追加するのは。

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