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031_この世界のお風呂事情 ②

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あらすじ:フールさんはよく予約を入れて

     ギルド長に会いに来てるようです。


視点:冒険者ギルド ギルド長補佐 ベルガさん

『』:フールさん

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《オオヤシマ歴2994年 5月 5週7日目》


◆冒険者ギルド本部 会議室◆



「ま、簡単に言えばだな、詰まったんだ」


「『詰まった?』」


「ええ、まあ…その。

 下水の処理能力を超えました」


「えっ?」


『…あ──、なるほどなぁ』


「ええっ!? フールさんが!?

 今のでわかったんですか!?」


「い、いや、ルフナちゃん…。

 そりゃ、ちょっと失礼ってもんだろ」



 ん──。


 まあ、ルフナちゃんは俺と違って


 生まれも育ちも【中級市民】だから


 結構良い教育も受けてて知識もある。


 そのせいで【下級市民】だけじゃなく


 【転生者】とか【転移者】ってのも


 軽く見てる節があるんだよなあ。


 俺は今までにも何人か直に会ってるし


 それこそ現役の時に臨時で組んだ事もある。


 だからこそ知ってるんだが。


 …正直、異世界人の知識は底が知れない。


 知性だったり判断力みたいな


 個人の能力はそれこそ全員違うが。


 知ってる知識に関しては


 異世界人の方が明らかに上なんだよな…。



『かっかっか! ええってええって。

 俺はこんなんだから、そう思うってもんだ。

 気にすんな、気にすんな』


「ま、そう言ってもらえると助かるよ。

 …それで、ルフナちゃん。

 正直、冒険者ってどう思う?

 汚れとかそういう意味でな?」


「えっ? そ、そうですね…。

 毎日見てる感じでは、どの人も

 清潔感には欠けますね。

 その…匂いも凄い方多いですし」


「そう、ルフナちゃんの感じた通り。

 戦えば当然、血や体液まみれになるし

 簡単な採取ですら土や草でドロドロさ」


『うんうん、そうそう。

 下積み時代は土や泥にまみれて

 上に上がったら上がったで

 相手も強力になるもんなぁ…。

 そりゃいっつも汚れてるってもんだ』



 ──ああ、やっぱりそうか。


 そこら辺を理解してるって事は


 フールさんは元の世界じゃ


 結構な実力者だったって事になるな。


 …でなきゃ、【ブニブニ】はともかく


 【ウシウサギ】は最低能力値のLv1じゃ


 まず倒せはしないのが、この世界の常識。


 嘘か本当か、ギルド長が聞いた話では


 フールさんには【恩恵ギフト】が無いらしい。


 …なら、本人の素の戦闘技術って事になる。



「………あれ? と言う事は

 さっきの詰まったって話って」


「ああ、そういう事さ。

 血や汚れを洗い落とせるだけじゃなく

 お湯にも浸かれる店があったら

 そりゃ、皆行く…俺も行った」


『…で、その汚れはどこに行くかってな?

 店側で処理してないってんなら

 行く所は下水しかあんめい?』


「あ──…、ですよね?

 セントラルさん、【下級市民街ここ】って…」


「…ええ、低いですよ? 浄化能力。

 【下級市民街】はどんどん広がりすぎてて

 対処が追い付いてないんですよ。

 基本的には地下の下水道ににそのまま流して

 海へ放流する際に浄化って感じです。

 まあ、それも限度がありますので」


「あ…やっぱり、そうですよね。

 げ、下水道が詰まる程だったんですか…」


「ですので、下水へ流すまでの間に

 処理できないのであれば営業停止という事で

 私が直接伝え…結果、そうなった訳です」


「まっ、仕方ないですね。

 確かに良い店ではありましたけど

 考えてなかった向こうが悪いってもんです」



 まあ、正直な所、惜しいよなぁ。


 異世界人も風呂屋って案が出せて


 店として実際に営業できるってんなら


 下水問題の処理も何か無かったのかね…。


 元の世界では大丈夫だったんだろ?



『ほーん? なるほどねぃ…。

 なあ、セントラルさん。

 この街の下水処理って

 どこもそうなってんのかい?』


「え? ええ。

 【中級市民街】でも【上級市民街】でも

 多少の違いはありますが基本的には同じ。

 浄化処理は中継点と海で行ってますね」


『ほ──ん……? ん──っむ……』


「(イラッ)…なんです? フールさん。

 何かこの街の行政に文句でもあるんです?

 それとも、何か対案でもお有りで?

 ただの冒険者でしかないあなたが!」


「お、おいおい、ルフナちゃん」


『ん─? いや、まあ対案っつーか。

 ある程度の対処方法でいいんなら

 いくつかある…ってなぁ』


「「へっ?」」


「……ほう? それはそれは。

 (ニコッ)ぜひ、お聞かせください」

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