025_妹ちゃんはおねだりする
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あらすじ:ロゼさんがLvアップしましたが
周囲の人達は心配してるようです。
視点:武具店店主 鍛冶士Lv11 ワポンさん
『』:フールさん
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《オオヤシマ歴2994年 5月 5週6日目》
◆【ワポンの武器&防具店】店内◆
「ねー、いいでしょ? お姉ちゃん!」
「だ~か~ら~! ダメだって! ロゼ」
『(ニヤニヤ)………』
ん───…。
もうそろそろ止めた方が良いのかねえ? コレ。
いや、オイラの店って冒険者ギルド加盟だけど
店も狭いし、品揃えも地味だし?
店名もそのまんまだもんな。
今にして思えば【ワポンの武器&防具店】って
もうちょっと他の人みたいにそれっぽいの
考えればよかったのかね~?
普段からそこまで客も来ないのは確かだけどさ。
でも、だからって店内で姉妹喧嘩とか
勘弁してほしいんだけどなー。
「絶対こっちの剣の方がいいよ!
こう! スパーって!
ロゼが倒すから!
そしたらもっと稼げるでしょ?」
「もう! 何度も言ったじゃない。
お金に少し余裕ができたら
まずは防具だって!」
「(オロオロ)ね、姉さんもロゼも
ちょっと落ち着いてよ。
お店の人に迷惑だよ…」
そうだそうだ、もっと言ってやれ。
…ま、討伐数が増えれば稼げる。
それは確かだから、妹ちゃんの意見も
間違いじゃないんだけどな~。
この都市周辺だったら、【ブニブニ】とか
【ウシウサギ】ぐらいしかいないから
そこまで防具が必須でもないんだよな~。
まー、オイラも一応現役の冒険者だし
塔とか他の地域にも行ってるから
オイラとしては、姉ちゃんの方だな。
そっちの言い分が正しいよ。
……で、オロオロしてる弟ちゃんはともかく
あっちの兄ちゃんは…ニヤニヤ眺めてるだけか。
なーんか雰囲気がベテランっぽいから
ありゃ多分、答えわかってるだろ。
「ねえ! おっちゃん!
おっちゃんも剣がいいと思うでしょ!?」
「フールからも言ってやってよ!
まずは防具だって!」
『(ニヤニヤ)ん~? 俺か?
俺の意見はだな~~』
「「「………」」」
『ちょっと良いダガーと、部分鎧だな!
で、どれが良いかは店主に相談だろ。
かっかっかっか!!(ケラケラケラ)』
「「「え───!?」」」
ま、そうなるよな。
やっぱりわかってやがったか~。
性格悪いぜ、あの兄ちゃん。
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▽
「…ま、こんなもんだろ。
ダガーとレザーの部分鎧のセットだ」
「(ググッ)…うん、持ちやすい。
ナイフと違って大き目だけど
そんなに重くないし、頑丈そう」
「(ペタペタ)左胸と手袋に肘当てと脛当て。
これだけでなんだけど、すっごい安心な
気持ちになれるね、姉さん」
「(ブンブン)へー…。
動きやすさは変わらないね、お姉ちゃん」
「どうせ、お前らこの周辺での活動だろ?
なら、当分はそれで良いと思うぞ~?
オイラが言うのもなんだが
このセットで、1人大銅貨6枚ってのは
かなりお買い得なはずだしな」
「あっ、はい! 防具だけじゃなくて
武器も丁度いいのに新調できたし
予定してたよりずっと安く揃えれます!」
「(ニコニコ)ありがとう! おっちゃん!
これだけ揃って、ウサギの角3本分って
すっごいお得!!」
「お、おう…」
そっかー…おっちゃん。
おっちゃんかー。
いや、オイラも30過ぎだから
確かにおっちゃんなんだけどなあ。
若い子にはっきりそう言われると
うん、ちょっとつらい。
………。
……………うん?
ウサギの角って、駆け出しの子らが
そんな簡単に倒せるもんだっけか?
…ん?
『(ブツブツ)…なるほどねえ。
柔らかい毛の方を裏地に使って
加工したハードレザーを
外側に重ねて縫い合わせると…。
こりゃ良い仕事してんな~。
…本当にお買い得すぎるわ』
……へえ。
噂だけだと、クソステの【転生者】で
【恩恵】も無しとか聞いたけどねえ…。
ま、あの兄ちゃんが面倒見てるんなら
確かにウサギぐらいなんとかなりそうだな。