016_フールさん日記 ①
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あらすじ：事件は割とよくあることで
今回は被害者が少なめだったようです。
視点：宿で日記を書いている フールさん
『』：フールさん
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《オオヤシマ歴２９９４年 ５月 ３週６日目》
◆冒険者専用の安宿【鈍亀亭】◆
（シュッ、シャシャシャ）
『（チラッ）……』
「……ん～」
「むにゅぅ…」
「………」
（パタン）
『………さ、俺も寝るか』
それにしても俺が日記をつけるとはなぁ。
変われば変わるもんだな。
この世界に送られて、もう２週間か。
…そういや、違うんだよなぁ、ここ。
前の世界だったら、１週間と言ったら７日。
それが４周で１ヵ月だったんだけどなぁ。
ここは１週間が８日で、１ヵ月は５週。
つまり、この世界に来て１６日ってこった。
前の世界と似た所ってのは色々ある。
特に言葉に関しては、生まれ故郷と同じ
【神語】と【神代語】なんだもんな。
その点はマジでありがてえ。
言葉通じないのはマジで困るからな。
だけどなあ、その年月日みてえに
微妙に違うってのもあって
そこは本当ややこしくなるぜぃ。
…ま、俺は元の世界に戻れねえし
戻るつもりも無えからなぁ。
ここは前の世界の常識は忘れる勢いで
すっぱり切り替えねえとな。
つっても、全部って訳にもいかねえ。
特に前の世界での俺の相棒。
友？ 親友？
そんな程度じゃ無え。
なら、心の友ってか？
いいや！ それでも足りねえ！
それは俺の全存在！ 言ってしまえば魂！
そう！！ 魂 の 友 ！！！
俺は｛魂友｝って呼んでる。
それだけは絶対、何があろうと忘れねえ。
（ゴソゴソ）
『（ピラッ）……ははっ』
しっかし、笑えるぜ。
前の世界で俺が活動していた大陸には
【冒険者ギルド】じゃなく別の組織があった。
ま、別の大陸には【冒険者ギルド】があって
俺の所属していた組織と提携してるらしくて
共通点は多かったらしい。
魂友は、義父さんの仕事の関係で
大陸外へ行く事が多かったらしくて
そっちでも登録してるって言ってたな。
で、俺と魂友は、一緒に大陸外へ出て
冒険者として登録し、世界中を旅する。
……その予定だったんだがなぁ。
まさか、その予定は守れずに
別の世界で冒険者になるとはなぁ。
……ったく、バカがバカな事しなきゃ
今頃そうなってたんだろなぁ。
そりゃ、元の世界に戻れる方法があっても
無理ってもんだろ…ははっ。
魂友に合わす顔が無えもんな。
ま、魂友なら、全く気にせずに
笑って受け入れてくれそうだがよぉ。
さすがに俺が自分自身を許せねえわ。
