011_ギルド職員は噂話を聞く
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あらすじ:フールさんは3人のパーティに入る事になりました。
ちなみに、ウサギ肉は宿屋の主人が
美味しく料理してくれました。
視点:冒険者ギルド 受付職員 モーリス・オノさん
『』:フールさん
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《オオヤシマ歴2994年 5月 2週3日目》
◆冒険者ギルド本部 ロビー◆
「おい、あいつだろ?
例のクソステの【転生者】っての」
「ああ、そうらしいな。
5日前に登録したって聞いたぜ」
「へえ…クソステなのか?」
「らしいぜ? しかもかなり酷いんだと。
何でもオール1とか…」
「オール1!? マジかよ、酷えな」
「でもアレだろ? ステはクソでも
他の【転生者】連中と同じでアレ…。
やつらが【異世界特典能力】とか呼んでる
【恩恵】持ちなんだろ?」
「いや、それも無ぇらしい」
「はあ? 【転生者】なのに?
それじゃあ、ただの役立たずじゃねえか」
(ザワザワ、ガヤガヤ)
「………」
まだ5日しか経ってねえってのに
そーゆー情報は広まんの早ぇよなあ。
しかも、ステだけならともかく
【恩恵】なんて、どーやって知ったんだよ。
普通、ギルドの職員とかじゃねーと
知る事もできねえだろーがよ。
担当はヤス兄が専門でやってる。
ヤス兄が人の情報を勝手に教える訳は
絶対にありえねえって断言できるから
内部の誰かが、情報屋に売ったんだろな。
…ちなみに、俺じゃねえ。
バレたら、ヤス兄に迷惑かかるしな。
それに……俺はちょっと同情してんだよ。
ヤス兄の受付手伝ってた時に
俺も見聞きしちまったけどよ…。
俺も散々{役立たず}って言われてるからなあ。
「…あっちのガキ共と組んでんのか?」
「らしいな。
どうせ、受付に押し付けられたんだろ?」
「あー……だけど、あいつらも
ほとんど稼げてなかったはずだろ?」
「そうだっけか? そこはアレじゃね?
受付のやつに迷惑料か何か貰ってんじゃね?」
「あ──なるほどな…。
でなきゃ、断るよな普通。
お荷物連れてちゃ稼げねえしな!」
「だよなあ~!
あ~! ガキ共も可愛そうにな~!」
(ドッ! ワハハハハ)
「………」
……って、普通は思うよな。
いや、俺も最初はそう思ってた。
…でも、この5日間。
俺はヤス兄の補佐で記録つけてたから
知ってるけどよぉ。
あいつら、どーやってんのかは知らねえけど
毎日、【ウシウサギ】を狩ってんだよな。
アレって美味い食材として知られてて
ギルドでも、害獣扱いじゃねえけど
{Lv2}なんだぜ? 狩ろうと思っても
そこらの一般人じゃあっさり返り討ちだぜ?
それを、最低でも1日2匹以上は狩ってて
毎回、肉だけは全部持って帰ってやがる。
まあ、あいつらで食うんだろうけどよ。
今まであんまり食えてなかったみてえだし。
…んで、今のところ。
さすがにクラスLvはまだ上がってねえけど
時間の問題だろ、多分。
だって、あいつら【ウシウサギ】の他にも
【ブニブニ】も数狩れる様になってやがる。
あの3人だけだった時の記録だと
せいぜい1日に1、2匹が限度。
でも、今じゃ3匹以上狩れてんだよな。
……いや、まあ。
平均的な駆け出し冒険者パーティでも
1日に5匹ぐらいは狩れてるから
それでも少ないんだけどよ。
たった5日で、そんな変わるもんか?
あのお荷物野郎連れてるんだぞ?
……どーなってんだ?