第3話
痛々しい表現があります。お気を付けください。
「ねぇマギーその素敵な男性には様を付けないのに、私のことはカリーナって呼ばないね」
「カリーナさ……カリーナ!
目が覚めのね。私が飛び降りようだなんて言うから、
あそこから出たい「ちょっと」」
私の話を遮って弱弱しく話し始めたカリーナは、体を起こそうとしていたため、うまく座れるように手を貸す。
「まずはマギーが、ちゃんとカリーナと呼ぶ努力をしたこと褒めてあげるわ。
でも一緒に出ようといったのも決めたのも私。
その手段として海に飛び降りたのも私。
ところで肩の傷を見て」
彼女の後ろに回り肩を見るとかなり深い傷が化膿している。
「マギー、私さ、このままいけば高熱出した後、動けなくなるんでしょ。
言っておきたいことがあるから痛み止めて。熱も出ないようにして」
「え、でも「出来るんでしょ。私には見せたくない?それとも良くない結果につながると嫌だからやりたくないの?どうしても今、話しておきたいの」
「わかったわ」
私は彼女の傷を点検し、傷の近くや解熱に効果のある個所を圧して対処していく。
「ありがとう。少しこれで体が楽になった。その体を圧すのすごく良い」
彼女は言わなきゃと思っていたということを話始める。
何が起こってもそれは自分自身の責任だから何も責めることは無いと言って。
「この小さなバックには収納魔法がかかっていて」
カリーナは腰巻きつけてあった、手のひら程の大きさの物を私に渡す。
「それを持ってアスティエとスプラシエンという街に行ってアスタナという女性を探して。
きっと私の代わりにあなたを導いてくれるはず。
彼女は私の妹だから。
彼女に会ったら、バッグに入っている記憶ホログラムを渡して欲しいの」
彼女は日に日に体力を失っていった。
その間の私は彼女に言われた通り過ごしていた。
冒険者になりたいのなら、少しでも戦えると試験が受けやすいから、戦闘訓練でもしておくと良い。
あとは、カリーナ様の痛みを楽にして、島を軽く散策したりといったことだ。
そして、
カリーナが永遠に過ごす場所は、彼女が望んだ島の風景が見渡せる小さな丘の上。
彼女の最期で永遠の場所。
気付けば珍しい花弁をした白い小さな花が一輪揺れている。
「これが千年花? 」
私の質問とも言えない小さな声にアスティエは「そうだ」と答える。
「持って行ってもいいかしら。アスタナさんにお渡ししたいの」
「何故俺に聞く? 」
「アスティエ、あなたが千年島の主でしょう。
だから尋ねたの」
「そうか。持って行くと良いだろう」
「この島から、スプラシエンまで連れて行ってくれる? 」
「カリーナとの約束だからな。
お前が、マギーが俺を必要としなくなるまで守ってやれというのもな」
アスティエはそう言って本当の姿グリフォンに戻り、私を乗せてスプラシエンを目指した。