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第2話

 目が覚めると真っ黒の瞳を持つ毛むくじゃらの生き物と目が合う。

「猩々かしら」

 小さく話しかけるように問えば「クルクルクルクル」と「そうだよ」と言わんばかりに可愛らしく喉を鳴らす。

 私は洞窟と思われるちょっとした部屋に敷いてある、動物の毛皮に横なっていたようだ。

 何故ここにいるのか記憶を手繰り寄せる。


「その猩々たちがお前とカリーナを助けることにした。猩々たちに感謝しろ。あとシルヴァにもだ」

 背が高く引き締まった体躯をした若い男性が、出入り口の方から光を背にし私に話しかける。

「カリーナ様にお怪我は?どちらにいらっしゃるの?

 この部屋は洞窟のようですけれど、神殿に洞窟なんてなかったはずよ」

「少しずつ言いたいことを言え。

 カリーナは、なんとか無事だ。

 よく見ろ。お前の隣で横になっている」



「私はマギー。助けてくれてありがとう」

 私に背の高い男性はアスティエと名乗った。

 褐色の肌に銀色の髪と冷たい黒い瞳を持ち、少しだけシルヴァを思わせる知性と獰猛性を併せ持った不思議な男性。

 アスティエに言わせれば「湖面で溺れていた私たちを近くで遊んでいた猩々たちが見つけ助け出した」のだそうだ。

「猩々さん、ありがとう。見つけて助けてくれて」

 嬉しそうに目を煌めかせる猩々だが、洞窟の外と私を交互に見る。

「洞窟の外でお前とカリーナのために果物をとってきてくれてる猩々がいる。

 お前を見ていた猩々の番だ。そいつにもお礼を言ってほしいんだろう」

 アスティエが猩々の視線の意味を教えてくれた。

「猩々さん、その猩々さんの近くまで案内してもらえないかしら? 」

「マギーだったな、お前。まだ休んでいろ。

 すぐあの猩々も帰ってくるし、カリーナも目を覚ますはずだ」

 実際、動こうとしたら少しめまいがする。

「猩々さん、アスティエ様のお言葉に甘えてあなたの番の猩々さんが帰って来たらお礼を言わせてね」

 そう言った私にまた嬉しそうに喉を鳴らしてくれた。

 思考があまりまとまっていないのか、カリーナ様が傍で眠っていることに言われて気づく。

 胸もきちんと上下しているように見受けられが顔色はあまりよくない。

 私が意識を取り戻す前に何度か目を覚ましたということだった。

 カリーナ様の様子を確認している最中に、改めて声を掛けられる。

「おい、様なんてつけるな。アスティエでいい」

 少しむずがゆいような表情をしている。

 本当に様を付けられるのが嫌なのだろう。

「でしたら私のこともマギーと呼んでいただけると嬉しいわ、アスティエ」

彼にに表情を緩めてもらおうと少し微笑んでみれば、何故か視線を外された。

 若干の合間があった後アスティエから「わかった、マギー」と少し口ごもり、無理をしたような返事があった。

 何か変だったかしら、私。

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