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60話 ローゲイズ


通路は前に来た時とガラッと変わっていた。


松明や光石を誰かが持ち込まない限り手持ちの前方を照らす程度のランタンしか持ち合わせておらず、ランタンを前に向けていたら足元なんて暗くて見えるはずもないのに今はそれすら必要ない程に通路全体が明るい。


だというのに前に居るコニーはランタンを点けたままで、奥の二人も付けっぱなしだ。


そんな違和感を抱いているとコニーさんはまたピューパから観測データが載っているPCのタブみたいな四角いやつを出して、そのデータを観ると否や私の肩を引き寄せ見せてくる。



「見ろよお前さんが此処に着た途端にエーテルの活性、おまけ霧ときた」



明らかに興奮しているコニーさんのテンションに苦笑いで返す。

 騒いでいるコニーに気付いた神谷が此方に駆け寄って来る。



















「おぉぉいそこの二人、やばい!この霧の中にモンスターが沢山居「コイツか」うわっ!」






生き残ったローゲイズがいつの間にか積石から石を自身から出ている黒い糸の様なもので巻き付け運んで来ていた。

 そしてまたローゲイズに驚いた神谷が短剣を抜こうとするがコニーに柄を右手で抑えられ、飛んできた義手に顔を殴られる。




「…あっああコニーのか」


「お前さん…何で此処に居んだ?」




神谷はあやめの方をチラリと見るとコニーだけに聴こえるように耳元で話す。

コニーは神谷の話を聞きながら石をさっと確認するとバックパックの横を右手で叩く、するとそこから明らかに鞄の横幅より奥行きが長い引き出しが飛び出し、そこへ石を放り込む。



「あ〜ほうッンはぁーんッンなるど」



頭一つしか離れていないので何を話しているか聞こうとすれば出来るが、コニーさんが時々ビックと痙攣するのが気になって集中できない。


それよりもこの通路脇にある石はなんなんだろう?

 三途の川みたいに石が積んであるけれどこんな閉鎖的な場所に態々建てるなんて…さっきは神谷さんの仕業かと思ったけどこの量は流石に違うか。


積石は奥の扉手前まで続いておりざっと見た限り50柱ほどある。

 誰がやったのか分からないが少なくともこれだけ明るいと肝試しには使えなさそうだ。




「まぁなんだ想っていたよりは律儀なやつだな。

そんなら時間切れになる前にさっさと行動するこったな」


周囲を観察していたらいつの間にか話が終わっていた。 どんな事を話していたのか少し気になったけど秘密にしたいようだし聞かないでおこう。

 それに今はこっちが優先だし…なにするか知らないけど…。



コニーがそう言い放ったあとローゲイズをバラまきながら一人先へさっさと行ってしまうので神谷と共にすぐに追いかける。 

途中でコーランくんとすれ違うがコニーさんの態様と違いお互い我関せずといった態度で何にもなかった。


 私が挨拶したら軽く「ああ」と返したので少なくとも機嫌は悪くなさそうだった。 むしろ機嫌が良いのか横を通る時にほんのりバニラの様な甘い匂いがした、たぶん香水の匂いだろう。

 使ったことないから分からないけど少なくとも不機嫌な時にこんな甘い匂いのやつは使わないだろう…多分。







そんなことを思いながら部屋に踏み込むと足元でぴしゃっと水が跳ねる。 水たまりでも突っ込んだのか確認するまでもなく、足元がどうなっているのか分かった。

 見てないのになんで分かるかって?それは部屋の床が海みたいになってるからね。 わかり易く言うなら風呂から溢れたお湯でざっぱぁーってなってる感じ。



「凄いな…地下水が溢れてるのか、っていうかコニー何してんの?」




コニーは隠しドアがある壁に貼り付いて居た。



「こっから水が漏れてっから調べてんのさ」



確かに下の縁から水が漏れてるから向こう側で何かが起きているのが分かる、多分水道管か何かが劣化で破裂でもしたんだろう、人が居ないから管理なんてされてないだろうし。


まあ開けて確認すれば良いんだけどね・・・あれぇぇぇぜんぜん開かない。


デバイスを近付けてもまったく反応を示さない。


えっ壊れてる?いやデバイスは大丈夫だから壁の方か。 



「いやー残念ですけど開か…」


「神谷…マスターキー」


「えっああはいはい」



神谷は短剣を渡すとコニーは壁の前に立ちペン回しの様に指で回した後に引き抜くと十字に軽く振り回す。



「こんなもんか」



神谷に短剣を返して壁から後ろに下がる。




「下がってた方が良いぜ」


「え?」


なにかやったのか調べようと神谷が壁に近づくと、いつの間にか在った割れ目から水が飛び出た途端に壁がダムの決壊の如く崩れ、大量の水が神谷を呑みこむ。

 そしてコニーの足元まで流される。



やれやれとコニーは転がっている神谷を乗り越えて壁が無くなった向こうへ進んで行く。



「あ…あ…えっと神谷さん生きてます?」



立ち上がらないで仰向けのまま真顔で指をグッと立てる。



割り平気そうな神谷を横目に先を覗くと観えてきた光景は予想外のものだった。



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