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2話 妖精と遭遇

朝、窓の隙間から光が差し込み目覚める。


「う~んやっぱり夢だったのか」


ベッドから出て窓を開けるとそこには何時ものように遠くに聳える鬼の様に雷降り注ぐ山、家々を囲むように佇むマイナスイオンいっぱいありそうな森、東京ではこんな景色は御目にかかれないだろう。


「あ~今日もいい天気だな…ふふふ…マジか」


両手で頭を抱える。


「どおしたの朝から」


どうやら五月蝿くして起こしてしまったようだ。


「あっごめんね、起こしちゃった?」

「今起きたとこ、着替えて少ししたら朝ごはん作るね」


眠たそうにしながら着替え始める。


「あっそうだ、泊めてくれたお礼に私が朝食作るよ」

「そうよろひく」

横に再び眠りにつく。


あやめは下の台所へ向かう。


「さて、料理した事ないけど大丈夫でしょ」

石製の冷蔵庫があったので中を拝見する。


「フレンチトーストでも作るか簡単そうだし」


ガラスのボウルに牛乳と卵を混ぜそこに切ったパンを入れ、十分浸しにフライパンで焼こうとするがコンロが無い。コンロがない代わりに赤い石がはめ込んで取っ手ある台を見つける。


「もしかして」


台の上にフライパンを乗せ取っ手を回すと火が出る。きつね色になるまで焼き、皿に盛りつける。


「いい匂い」

匂いに釣られてメアリーが下りてきた。


「何作ってるの?」

「フレンチトーストだよ」

「ああトースト」

「簡単に出来るからね」


テーブルに料理を並べる。


「おいしーあやめは料理が上手なんだね」

「まーね、ありがとう」


お互いに食べ終わり片づける


「ところであやめはこれからどうするの?」

「えっなにが?」

「あやめは旅人だから次の村に行くのかなって」

「あ~そうだったね(そんな設定だったけ)」

「あの…できればもう少しいてくれないかなって」

「くっメリー君の家にいたら迷惑かけちゃうかもしれないし、それに私は自分の家に帰らないといけないんだ」


これが現実で、しかも異世界だと分かった。早く帰る方法を見つけないと。


「えっそうなの、変なこと言ってごめん」

「そっそんなことないよ、メリー君にはお世話になったし、あっそうだ今度あったら私の家に遊びに来て歓迎するよ」

「うん約束だよ」


約束をしてあやめを森の前まで送る。その道中、当然村の中を歩くのだがその間は会話する事はなかった。


(異世界だからエルフとかいるんだな)


昨日の夜と違い村は住人達で賑わう。


とりあえず私が倒れていた場所に何か手がかりがあるかも知れないから行こう。


あやめは森の中に消えて行き、それを見届ける。



「よく分からなかったけど不思議な人だったな、あれ?」



見届けた後、家に帰ると鍵をかけたドアが開いているのに気づき入ると。



「おかえりメリー」


メアリーの姉であるプロメがソファーで寛いでいた。


「お姉ちゃんただいま」

「どこに行っていたんだ?」

「ちょっと、友達と会ってたんだ」

「友達?」

「えっとね、旅人で変わった格好してて、あと髪が黒かった」

「髪が黒い?」


黒い髪と言うワードに反応する。


「楽しかったか?」

「うん、とっても楽しかったよ」

「良かったな」


頭を撫でる。


「そういえばいつ帰って来たの?」

「お前が帰ってくる少し前だ」

「そっか、ちょっと残念だ~なもう少し早く帰って来てくれたら紹介出来たのに」

「その友達そんなに気に入ったか?」

「うん、合って欲しかったけど、家に帰るって言って森に向かったよ」

「そうかそれは残念だ、お前の相手をしてくれたんだ、礼を言わなく…メリー今、何処に向かったと言った」


何処へ向かった尋ねる。


「森に向かった、てっ言ったけど…」

「不味い…今は森に行くのは駄目だ」

「えっなんで?」

「今、森は虫どもが大量に湧いているから危険だ」


それを聞いてメアリーは家を飛び出す。


「待てメリー」

プロメの言葉を聞かず森に向かう。


「クソッ、スキッド私だ、メリー達が森に行っちまった、今すぐお前も来い」


その頃あやめは森の中で昨日倒れていた場所を探していた。


「こっちでいいのかな…うん?」


風を切るような変な音が近付いて来るのに気づき、木の陰に身を潜める。

 音の正体は虫のような形をしたロボットだった。ロボットは辺りを見渡した後、何処かに飛んで行った。


「絶対、敵呼ぶ奴だ」


ともかくアレに見つからないように慎重に自分が倒れていた場所を探す。


「確かこのあたりで倒れていたような」


辺りを見渡すと点々と踏み潰された草花を見つける。森の奥まで続いており、何故か薄暗く先が観えない。


「行くか」


しばらく進んだ先には右腕の無いロボットが眠るように座っていた。


「ロボット?世界観おかしくない、なんでこんなとこに」


森の奥にあまりにも不釣り合いなものがあり困惑するが、今はともかく辺りを調べる。


潰されている草と装甲の状態からして時間はあまり経っていない...たぶん。


もう少し観察すると装甲に四角い切れ目を見つける。開くと中に取っ手が付いており、迷わず回すとロボットのハッチが開く。


「これってコックピットて、やつかな?」


中に入ってみるとモニターに操縦席、大人二人が入れるくらいには広い。


「何だろうこの感じ、なんか懐かしい」


操縦席に腰をかけ辺りを見渡し、電源ボタンを探すとモニター右下に見つける。


「あったあった」


押したその時


「やっと見つけた、てっ何これ?」

「うわぁっ」


突然のメアリー登場に驚く。


「メリーなんでここに、てかどうして此処が分かったの?」

「この森は僕の方が詳しいんだよ、それより大変なんだ」


正体不明の大きな音が近付いて来る。


「あゅうっやっばいこっち来てる」


モニターが起ち上がりコックピット内全体にロボットの周囲の景色を映し出す。


「何か来ることは分かった。そこにいると危ないからこっち来て」

「えっ」


手を掴みメアリーを自分の膝の上に座らせる。点灯している扉のマークが描かれているスイッチを押し、急いでハッチを閉め備える。

 音のした方から何かが飛び出してきた。それはさっき見た虫に似ているがかなり大きい。


「あれはさっきの変なの」


モニターのロックオンサイトにエネミーと表示される


「あれが妖精だよ」

「あれが妖精」


自分が思っていたものと大きくかけ離れ困惑する。機械の目玉から虫の足を連想させる足が四本生えている。

 妖精は何かを探すように周辺を見渡す。


「あれに見つかったら襲ってくる?」

「あれは見つけた奴を足で刺してくる」

「やっぱりか!あれこっち見てない?」

「見てるね」


青く光っている目が赤くなる。どうやら見つかったようだ、こちらに走って来る。


「やばいこっち来てる。何か武器は…なんか出た」


適当にレバーのスイッチを押すとロボットの胸の辺りにある銃口から撃ち始め、妖精に当たり片方の前足を破壊しバランスを崩して転倒する。


「やったか!」

「まだ生きてる!」


妖精は三本になった足で立ち上がりこちら向かって跳ぶ。もう一度、撃とうとするが発射されない、今ので撃ち尽くしてしまったようだ。


「あっ死んだ」


しかし妖精は真っ二つに割れ、目の前に落ちる。


「えっ」


断面は熔解されており、溶けたチーズの様に溶けていた。ロボットの腕を見るとガスバーナーのような物が付いていた。


「勝手に動いたのかな?」

「違うと思う、こっちの棒を動かしたらなんか出たから」


メリー君が左のレバー操作して動かしたようだ。


「そっか、助かったよ。でっ結局この妖精は何だったの?」

「僕が知っていることは、こいつらに見つかると襲ってくること、そして仲間を呼ぶこと」


破壊した妖精の残骸からけたたましい音が鳴り響く。

 するとさっき妖精が出てきた場所から同じ妖精が3匹も出てくる。


「今度は3匹!」


一斉に跳びかかってくる。さっきの武器を使い2匹破壊するが最後の1匹は攻撃を避ける。もう一度使おうとするがエネルギーを使い果たしたようで使用できない。


「あぁぁぁクソッ!」


妖精がまた跳びかかって来たが、何かに撃ち落される。

 飛んできた物の正体は大きな剣だった。剣は妖精を貫いており完全に破壊した。

飛んできた方向には紫色の鎧を着た人が立っていた。


「今のは、貴方が助けてくれたんですか?」

「そんなところだ。それよりその中にメアリーはいるか?」

「いるよ、お姉ちゃん」


正体はメリー君のお姉さんらしい。


「一緒に乗っているのか、なんにせよ今ここにいるのは不味い。付いて来い」


プロメは銃を何処からか取り出し空に向けて撃つと光の弾が撃ち出され、ある程度上がると弾け赤く光を放ち徐々に降下する。


「待ってください、これの動かし方が分からなくて」


レバーを動かし歩こうとするが腕しか動かない。


「早くしろ此処にいたらまた虫どもに見つかるぞ!」

「こっちだって必死にやってます!」

「ねえねえあやめ」

「なに!」


メアリーが足元を指差す、そこにはペダルがあった。


「あっこれか」


右足で思いっきりペダルを踏むとロボットのスラスターで思いっきり前に突っ込む。


「うおぁ」


木にぶつかりそうになり、もう片方のペダルでブレーキを掛ける。


「ふざけてる暇があるなら早く行くぞ!」

「すみません、何とか動きそうです」


なんとかプロメの後ろに付いて行き村へ戻る。



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