55話 エルドラの男子高校生の日常1
「その新種の魔獣の噂ってマジ?テッド」
「マジマジ見た奴居るから、それにこの前の試験の時にそいつに襲われた女子が此処から保健室に運ばれたらしい」
男子生徒二人がダンジョンを進んでいた。
「で、その女子を襲った…えっとどんな奴だっけ?」
テッドはその魔獣について語り始めた。
なんでもその姿不気味でローパーの触手の様な髪を持ち、体は獣人の様に毛深く、顔には無数の目が在り、見られると咆哮を上げ襲いかかって来るらしい。
「やっぱそんな魔獣は聞いたことねえわ。 そもそもこの古臭いダンジョンに生き物なんて居んのか、居てもミミックくらいだろ。ガセじゃねぇの」
「なんでも運ばれていくのを見た奴らが気になってそのダンジョン潜っただけど、血相かいて直ぐに戻ってきて、何があったか聞いたらそいつを見たんだって」
「お前が聞いたのか?」
「いんや、購買に居た女子がなんか噂してた」
「ふ~ん信用できねぇな、ところでそのデカイ網はなんだ?」
テッドは何故かこんなダンジョン内で虫網を肩に掛けていた。
「おいおい決まってんだろ捕まえんだよ」
「はぁ!?」
「なんかよ~新聞部と生物研究部の奴らがそいつに懸賞金かけててよ」
それを聞いた瞬間、俺は回れ右で出口まで戻ることにしたがテッドが俺の肩を掴む。
振り向くと憎たらしい笑顔で奥に進もうと親指でジェスチャーをした。
だが俺は強引に振りほどき逃げようとすると今度は両足を掴まれそのまま倒れ、這いつくばりながら抱腹で進むことになった。
「待て待てガル10万だ!捕まえたら5万半分やるから手伝ってくれよ!」
「イヤだーお前に金が絡むと、ろくなことにならねぇのわかってんだよ!」
お互いに一歩も退かずこの攻防がしばらく続くと思われたが、突然ガルは何かを察し、争うことを止めすぐさま立ち上がる。
「なんか居るぞ!」
「おっさすが鼻が良いな」
獣人のガルの嗅覚は鋭く、自分達以外に存在にいち早くも気付き、臭いを頼りに無数にある通路から一つを選び通路の両脇で息を殺し待ち伏せをする。
だが臭いで近付いて来るのは分かるのだが足音が全く聞こえない。
不思議だなと思いつつ、ハンドサインでテッドに合図を出しそれが目の前に来た瞬間網で捕まえる、すると中で暴れだし網が破れそうになる。
「俺が押さえるからアレやれ」
「分かった!」
ガルが網を押さえるとテッドは中に居るそれに向かって強烈な光魔術を放ち動きを止める。
「捕まえた…うん?」
「なんか違うな?」
用意した網よりも小さく目玉の様なものから魚のヒレが生えたような奇妙な姿をしていた。 足音がしなかったのはこのヒレで空中を泳いでいたのだろう。
だがこれは目当ての魔獣とは違う気がする。
「どうすんだ」
「こいつはこいつで渡したらくれるかも知んないし一応な」
テッドは捕獲用持ってきたロープでぐるぐる巻きにして、購買でパンを買った時の袋を出して雑に放り込み袋を縛ると、しばらくしまたガルは何かの存在を感知する。




