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36話 服を着た兎

「汗が爆発するってやばいですね」

「そうでもねぇぜ、爆発したところでそこら中にポヨンポヨン跳ね回るだけだからよ」

 

それで天井に刺さっていたのか。


「そうなんですか、じゃあ私は帰りますね」

「待て待てわざわざこんなことで呼んだわけじゃねぇんだ。 お前のEFで呼んだんだよ」


そうだったあのロボットの修理を頼んでたんだ。 あまりの衝撃で色々消し飛びそうになった。


「倉庫に置いてあるから付いてきな」

「ちょっと待って」


工房から出ようとするとあやめはコニーを引き留める。


「なんでい」

「服着てください」

「おっとそうだったそうだった」


自分の格好を思い出し制服を出して着替える。 獣人族特有の全身にある体毛で蒸れるためか、毛を出す首元や袖口があやめのものよりも広くモッフモフしている。

 そしてなにげにコニーの制服姿を見るのは初めてだったりする。


「こいつ着たのひっさびさだな」

「えっ授業の時どうしてるですか?」

「つなぎ羽織ってるよ」


あの格好よりはマシのようだけど…それにしてもあのモフモフ触ったら気持ちよさそうだ、爆発するかもしれないけど。


「なんだ触りたいのか」

「いえなんでもないです」

「うん? メリーとか良く触ってきただけどな…じゃあ行くか」




倉庫まで向かって歩いていると人すれ違うのだが、すれ違う人全員が何故かコニーを必ず二度見をしてくる。 そんな中ある二人とすれ違うと、何か話しているのが聞こえた。


「おい見たか、グッドマンが服着てたぞ!」

「今の娘グッドマンか、初めて見た」

(この人…本当に普段あの格好じゃないだよね?)


そんなことを思いつつ、外に同じような建物が並んで建っている場所まで来ると、その建物の一つに大きくウサギのマークが描かれたものを見つけた。 おそらくこれらがコニーが言っていた倉庫だろう。 


「此処がおれの倉庫だ」


巨大な鉄の扉をその小さい体で引いて開くと、中でゴーグルを着けた人達があのロボットの周りに足場を囲んで調べているのが見えた。


「あっ先輩ちわっす…先輩が制服を着ている!」

「なんだって!」

「あっかわいい」

「誰か連れてきた、早く私物隠せ」


なんだか慌ただしい、そしてこの人は普段制服を着ないようだ。


「これかぶっとけ」


ゴーグルと穴の空いた帽子を貰う。


「知らねぇ奴が来たぐらいで騒ぐじゃねぇよ」


どちらかと言うとコニーさんの事で騒いでたと思ったけど口には出さなかった。 


「あやめ、おれの工房の後輩共だ」

「「こんにちは!」」

「こっこんにちは」


なんと言うか圧が凄い。 後輩の子達は多種多様で、コニーさんと同じ種族も居るがサキュバスみたいな子も多い、ただ雰囲気や角の形が違って背中に生えている翼も鱗付いてるし、多分別の種族なんだろう。


「彼処に居る猫の人も工房の?」

「いやあいつは勝手に寝ている奴だ。 それよりどうだ、皮だけだがマシになっただろ」


見た感じ最初に見つけた時よりも綺麗になっていた。 あと今まで無かった右腕が存在した、ただ元々付いていた左腕と違い西洋甲冑の様な腕に宝石が付いていて似ても似つかない。 指パッチンしたら宇宙滅ぼしそうな外見をしている。


それにしても魔法の世界でどうやってこのロボットを修理しただろ。


「ほれ」


あのデバイスを受け取り着ける。 


『IDを確認しました…こんにちはあやめ』


戻ってきた事に安心を感じる、私の物ではないのに。


「動かしてみろ」


ハッチを開いてコックピットに入る。


「凄い穴が無くなってる、このハッチも…あの人何でも出来るんだな」


コニーの技術に感心を示しつつデバイスを繋げる。


『機体の状態を確認します。

 デバイスを本機に接続し…接続を確認。

 これより機体の状態を確認します。

 機体の状態を確認完了しました。

 ネットークに接続出来ません。

 機体損傷率…40%

 腹部の射撃武器の残弾数0

 メインブースターに不具合がある為、ブースト移動に制限があります。

 右腕部に不明なユニットが接続させています…正常に稼働を確認。

 システムデータの50%が破損しています。

 一部のシステムが正常に稼働出来ません。

 一部のシステムドライバーが使用出来ません』


詳しいことは分からないが、半分以上が直っていることは素人でも分かった。


「動かせそうか」

「はい、右腕もちゃんと動かせそうです。 あっ」


試しに動かしてみると周りを囲んでいた足場を破壊してしまう。


「おっ大丈夫そうだな、片付けなくて良いから慎重に降りてきな」


ロボットから降りてコニーのもとへ向かうと彼女は上機嫌で話しかけてきた。


「へへっおれの才能が恐ろしいぜ」

「怒ってないですか?」

「ぜんぜん」


自分の技術を褒め称え、壊した足場なんて全く気にしていなかった。


「こんなEF弄ったことなかったから楽しかったぜ。 またぶっ壊れたら来いよ」


ロボットを回収して寮に戻ろうとしたけど、銃のことを思い出してコニーさんを診てもらった。 明日には直してくれるそうだけど、色々お世話になってるしお礼を持ってこようかな。

 そんなことを想ってあやめは倉庫を後にする。

 





「それにしても先輩、あのEF結局なんすか? 一切魔力回路すら無かったすけど」


「さぁね、耐久度を上げて…あと出力も下げるか」


「なのに魔力で動いてたみたいすけど、先輩も同じやつ造れたりします?」


「そうだな〜皮とフレームなら真似出来るだろうがリアクターは無理だな、アイツの武器再現したが魔力異常に喰う上に拒絶しちまって吹っ飛んじまったよ…はぁ片付けに行くか」


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