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33話 特典

話し掛けるのを失敗してなんか気まずい空気、だがそこに救世主が現れた。


「そうだね、このFSストーム3はフォム社の発表されたばかりでまだ出回ってない最新モデルなんだ。なんでお兄さんが持ってるの?」

「やばそうな村で化け物に襲われている商人を助けたらお礼にくれた。これって高く売れんのか?」


銃を見せてもらう。


「さあ?多分本物だろうけど改造されてるし、普通の店じゃ買い取ってもらえないだろうね。それにしてもこれ弄った人はかなりのマニアだね、ざっと観た感じ本来は無い魔術回路が彫ってあるし、持ち手を削って持ちやすく引き金にも指がかかりやすくなっているね。このナイフは見た目に反して結構軽いから多分トルマート鉱石で出来てるね。他にも色々やってそうだけど、いや〜良い仕事してますねぇ」


どこぞの鑑定番組の鑑定士の様に語った後、満足したのか銃を返す。


「ところでお兄さん誰?」


よしっなんとか自然な流れで本題に入れるぞ。


「俺は神代竜也、しがない旅人さ」


はいっこれは転生者ですね。でもなんて言おうかな、軽いノリでYOUは転生者って…駄目だ私のキャラじゃないわ。もう普通にいこう。


「神代さんはどうして此処に居るんですか?」

「女の子がピンチなら助けに行くのは当然だろ。まあ本当は偶然襲われそうになっているのを見つけただけだけどさ、これ他人から見たら偽善とか言われそうだけどね」

「そんなことないって、あっごめんこの子に用事があったの思い出したからちょっと待ってて」


神谷はあやめの手を引いて神代と距離を取り背を向けて、あやめだけに聞き取れる声で話す。


「やっぱり転生者だったけどどうする?」

「どうするってなにを?」

「アイツとこれ以上関わるかどうかだよ。俺が前に居酒屋でカリヤさんに転生者の話を聞いたらお互いに関わんない方が良いって言ってたじゃん」


確かにそんな事を言っていたような気がしなくもなくもない。詰まるところ覚えてない。


「でもそれなら私達も不味いじゃないですか」

「それはあれよ、あやめちゃんは多分転生者じゃないから大丈夫。あと俺が本当に気になってるのはアイツが特典を使えるってところなんだよね」


神代が自分に飛んできたボールをゲートと叫んだだけで空間に穴を空けた事を説明した。


「それ魔術師の筒みたいですね。でもそう云う魔法なのかも」

「そうかもな、だけどアイツ腕輪してないんだよな」


言われて神代の腕に注目すると確かにしていなかった。


「ねぇなんで神代はピューパ着けてないの?」

「そのピューパってなんだ?」


着けてないどころか存在を認知していないようだ。


「もしかしたら腕輪が無くても使える魔法なのかも知れないけど、存在を知らないのはおかしいだろ。それにあの銃、ガンベルトもして無いのに持ち運んでるだぞ。銃を抜いて普通の道を歩いてたら100パー警察出動だよ」


確かに世界が異なってもそこら辺の価値観は変わらないだろう。


「あ~めっちゃ気になる、聞いてみるか」

「聞いたら自分も転生者だってバレません?」

「大丈夫、変化球で探り入れてみる」


神谷は自信満々で神代に向かって行き、それとなく聞き出す。




「神代ちょっと聞きたいことあるんだけどいいか?」

「なんだ?」

「神代って特典は何貰った?」


おっとこれは思いきったストレートだ。


「空間を操れる能力…お前転生者だろ」

「あっ!」


なんというかこれほど滑稽な即オチは見事なものだろう。


「この国に転生者が居るなんて世界って狭いな、その二人も同じなのか?」

「いや多分違う、ところで空間を操るって具体的にどんなやつだ」


説明するよりやって見せた方が早いと言って、ゲートと唱えると空間に大きな穴、つまり異次元の門が空いた。  

中を覗くと何処までも真っ白の空間が広がっており、その中心にドラマのリビングシーンセットのような異物感があるものが建っていた。

 

「なにこれ?」

「俺を転生させた神様の空間だよ、ほらあのソファーに座ってる人がそうだよ」


神代の言う通りソファーには女の人がふんぞり返って酒を飲んでいた。彼の言っていることが確かならアレは神、失礼だがあの女神が私には露出度が高い全身ピンクの痴女にしか見えない。


あっやばこっちに気づいた。


「あら竜也ちゃんじゃない、その子達はお友達かしら、そんなとこに居ないで入って来たらどう」


突然の訪問に対してどうやら歓迎してくれているようで、格好のわりに良い神?ようだ。いやもしかしたら神にとってはあの格好が普通なのかもしれない。


「お邪魔しま・・・!?」

「大丈夫?」

「なんでもない」


ともかくお言葉に甘えてこの空間に入らせてもらおうとした時、急に目眩を感じ水の中で溺れているように苦しくなって膝を着きそうになった。それと同時に虫唾が走るような感情が湧いてくる。

 

そして立ち上がる時にあることに気付いた。さっきまで日の光でそれなりに明るかったのが嘘のように、まるで夜の様に暗く加えてこの辺り一帯に霧が立ち込んでいた。


「能力使うとこうなったりするのか?」

「いやこんなの俺も初めてだ、なんだこの嫌な感じは!」


この訳が分からない状況に私は覚えがあった。あの時のようにあの忌々しい鐘の音が響き渡った途端、門は消滅する。


「なんで消したんだ?」

「俺じゃない勝手に消えたんだ!」


二人が騒いでいると鐘の音は止まり、静寂の霧から金属の擦れる音と共に彼奴が現れた。


トルマート鉱石 通称雷石


一定量の魔力か衝撃を受けると電撃を放つ魔石の一つ

ある国ではこれを砕いて顔料することがあるらしい。


フォックスストーム社 通称フォム社


FS ストーム3

装弾数3発の回転式散弾拳銃


散弾銃の弾を拳銃サイズで使えるようにしたため、一般の拳銃よりも大型になった。獣人が使用することを想定しており鍛えていない人間が使うと反動で肩を痛めることがある。


竜也の物は大型のナイフが付けられて取り回しは悪いがロマンである。



神代竜也 人間 ♂

身長172cm 髪色・黒 年齢20


よくいる一般の転生者

空間に亀裂を作り次元を移動できた。 


死因は野生の異世界トラックによる事故






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