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32話 完璧な交渉術

「こんなのはどうだ」


とりあえず近くの広場までついて行くと、青年は腕輪から灰色のボールを取り出しポテーチを賭けて勝負を提案してきた。


「ルールは単純、投げたコイツを先に手にした者が勝者だ。異論はあるか」

「そっちが投げるなら、そっちに有利になるんじゃないの」

「このスーパーメテオラビットボールは一度弾むと予想が出来ないくらい動くらしいから公平だ」


なんかアメリカで売ってそうなボールだけど、聞いた感じ危なそう。


「それって安全だよね?」

「昔これで遊んでいる奴は結構いたし、説明書にも安全とそう書いてある。俺は遊んだことないから知らんがな」


説明書を見せてもらったけど確かにデカデカと安全と書かれていた。まぁそれより説明書がやたらカビ臭い方が気になったけど。


「これが地面に落ちたら開始な、投げるぞハベシッ」


ボールを思いっ切り空に向かって投げようとすると、何処からか飛んできた蝶が青年の目の前を通り過ぎ、その鱗粉でくしゃみを誘発しボールをこぼしてしまう。

 この出来事はあやめにとって一瞬だったが、ボールが地面に落ちるまでの刹那が10分の1程に感じた。


地面に落ちると、その外観からは想像のつかない衝撃波を放ち、その衝撃波でお互いが尻餅を着く前にボールは跳ねてとんでもない速度で明後日の方向に飛んで行く。その際、掠った髪が摩擦熱で焦げる。


「よしっ始め!」

「あっズルい」


啞然としているあやめをおいて追いかけっこは始まった。一心不乱に追いかけているといつの間にかボールを見失い、さっきの青年も消えていた。


「何処に行った!」


そしてまた路地裏に迷い込んだ。最近此処に行くたびにろくな目に遭うので近づかないようにしていたが、今は冷静な判断が出来ていないので自分がどこに居るのか気づきようもない。


迷路の様な場所で一つのボールを探すことだけ考えていると、何かがぶつかる音が聞こえてくる。これはあのボールだと確信し大急ぎで向かう。


「ボール何処だァァ!」


さっきまで音が聞こえていた場所まで行くと、メリー君達と知らない人が居て、皆が私の方を見ている。なっなにこの状況、なんであの人達倒れてるの。


この状況があやめを昂らせていた何かを静めた代わりに顔が熱くなる。だがメアリーの前では年上の威厳を保ちたかったので冷静に振る舞う。


「ねぇあやめ」

「うひゃなっなにかな?」


駄目だった。


「これあやめの?」


メアリーが探していたボールを見せてくる。


「これこれ探してたの」


いざっ受け取ろうとすると。


「このボールあの二人をぶっ飛ばして凄かったわ」

「・・・フゥフゥフゥ私はこんなボール知りません…」


吹けていない下手な口笛を吹きながら誤魔化し、色々察してこの場から逃げようと少しずつ後ろに下がる。


「ちょっとよろしいですか」


だが兵士の一人が呼び止める、駄目だ警察には逆らえない、大人しく両手を出すと手錠の代わりに何かをくれた。


「御協力ありがとうございました。これ懸賞金の引換券です、ギルドで換金してください」

「どっどうも」

「では私共はこれで」


兵隊は倒れている男達を連行して去るのを見てようやく緊張が解ける。


「はぁはぁ捕まるかと思った」

「そうそう捕まらないって、ところでなんでこのボール探してたの?」


ざっくり説明した。


「ふ〜んそうなんだ、はいこれ」


受け取ったボールを観ながら冷静に考えると何故、私はポテーチの為にこんな事をしているのだろう。新発売ならまた出るだろうし待てばいんじゃねっと一瞬考えたがやっぱり今食べたいので急いであの人に見せよ。


「ところであの人誰です?」


さっさと戻ろうと思ったけど、さっきから一言も話さない彼が気になった。まあ黒髪に全身真っ黒のコート、そしてガンブレードっぽい物を持っているが気にしない方が難しい。

 ひとまず神谷さんにだけ聞こえるように話した。


「あー分かんないけど多分転生者じゃない」

「やっぱりそう思います?」

「いや〜あれは転生者オーラ出してるし間違いないよ。神谷さん嘘付かない」

「ですよね〜さっきからこっちチラ見してますけど」

「実はさっき捕まった人達と戦おうとして決め台詞をドヤ顔で言っちゃたけど、ボールが飛んできて終わったから変な空気になったんだ」

「あっ私やっちゃいましたか」

「いやむしろグッド、あの時は勝てるか分からなかったし…女の子も助けられたからな」

「女の子って誰です?」

「ほら彼処に居る…居ないね多分帰ったでしょう」

「そうですか、取り敢えず話し掛けてみましょ」

「ヨシッそれでいこう!」


覚悟を決めて彼に話しかける。初対面だがあんな格好を相手だ、その黒いコートとか銃を褒めたらきっとノッてくれるはずだ。

 フフッメリー君、見ててね私の交渉術のテクニィックでさっきの帳消しにしてかっこいいところ見せてあげる。


「あっど、どうも…いやその銃…カッコイイですね」


そういえば私、初対面の人に話し掛けるの苦手だったわ。

スーパーメテオラビットボール


284年発売したドワーフ社製のメテオラビットボールのリメイク版。


発売当時は大人気だったが遊んだだけで建造物を破壊するなど、あまりにも危険だった為、発売一週間で発売禁止になった。そしてその10年後にスーパーが付いて登場、今度は危険性が減ったものの新しい欠陥が見つかったので3ヶ月で発売禁止になった。

 しかし当時の子供達にはその破壊力が大人気だったそうな。

 

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