29話 ポテーチ
食堂に着くとソニアはまだ着てなかったので先に注文を済ませることにした。
「あら皆さんお帰りなさい」
ソニアが遅れてやって来た。
「ソニア先に着いてると思ったけど、コニーと一緒じゃないの?」
「ここに居ますよ」
するとソニアの背後からコニーが出てくるが、何故か渋い男の目のアイマスク着けて浮いている。
「またコニー寝てるの?」
「工房で寝てて起きそうにないからそのまま連れてきました」
コニーの体にはソニアの尻尾が巻き付いており、それで運んで来たようだ。
コニーを席に置いて注文を取りに行き、全員揃ったので起こそうと声を掛けるが一向に起きる気配がない。
「あーはいはい」
ソニアが右手の人差し指をピンク色に光らせ、コニーの額に触れた途端うめき声を上げ兎の様に飛び上がりソニアの方を向く。
着けていたアイマスクを外すと毛で分からないが目の下にクマが出来ていそうだ。
「もう少し優しく起こしてくれよ」
「十分優しく起こしたつもりだけど、でっお前ちゃんと寝たのいつ?」
「あ〜6日前だな、溜まってた依頼終らしてた…はあぁ〜」
大きなあくびをすると兎らしい前歯が見えた。どうやらあのロボットを渡した日から続いていたようで、依頼をさっさと終わらせてからずっとあのロボットを診ていたようだ。
コニーはアレのことについて興奮気味に語り始め、それにメアリーと神谷が食いつくが話が長引きそうだったのでソニアが止める。
食事が始まるとそれぞれ潜ったダンジョンのことを話し始めた。メアリーが潜ったダンジョンは中に森が広がっていたそうで、森に咲いている花はどれもこの国では見たことないもので、とても幻想的だったらしい。神谷達の方は洞窟の中に光る湖とこちらも見応えがありそうな場所のようで、どちらも観光に行くなら良さそうだ。
流れで私も話すことになったけど、他の人に比べて穏やかじゃないし、話す代わりにいつの間にか持っていた青い石を出して見せた。
「これなにか分かります?」
「ちょっと貸してみろ」
コニーは石を受け取ると陽の光に透かして見たり光らせて、これがミミックが吐き出した塊、つまりこの国ではパスポートとして扱われていた物と同じなのではないかと判った。
「初めて見たけど記録石ってやつだな、だが原種しか吐かねぇだよな」
「もしかして原種って宝箱に入ってたりします…」
「俺も見たことねぇけど、多分それだな…あ〜それで怪我してんのか」
怪我は違う理由だが否定すると聞かれそうなのでミミックに襲われて怪我したことにした。襲われたことは事実だしその後に怪我したから嘘は吐いていない。
「記録石ってのはミミックが観た記憶が塊になった物らしいぜ」
「カメラのフィルムみたいなもんか」
「フィルム?ともかくこいつを映写機に挿れりゃ中身が観れるだろうけど、あいつらは基本その場から動かないからつまらないだろうさ」
石を返してもらう。
「要らないなら売っぱらちまえばどうだ。マニアがいるから高く売れるだろうが同じ物は二度と手に入らないぜ」
高く売れるならそれもありかもしれないが一度手放してしまうともう手に入らない。そう言われると手放すのは惜しくなった。この現象を例えるならゲームでアイテムを売って取り返しがつかない要素といったところか。
なんにしても別に今はお金に困っている訳じゃないし部屋にでも飾っておこうかな。
全員が食べ終わると今日はもうこれで学校は終わりなので遊びに行くことになったけど、2年生はこのあと予定があるので四人になった、でもジルコは用事があって遅れるらしいので先に校門の前で待つことになった。
「どこに行くって言っても金使うような所は行けないけどな」
「そうですよねー」
一応ある程度現金は持っているけど、そこまで多くはない。因みにこのお金はプロメが二人に持たせたもので、捕まえた盗賊の賞金である。
少ししてジルコが遅れてやって来たが、こちらより先に出かける用事があったのを思い出して行けなくなったので断りに来たようだ。
最終的に3人になってしまったけど、どこに行こうか。
「あ〜なんかポテーチ食べたいな」
突然、神谷が発したその一言があやめの脳裏に電撃を走らせた。
この世界に来てから食事に不満はなかった、しかしジャンクフードなどの菓子にあやめは飢えていた。前の世界では近くにあるコンビニで気軽に買えたが、この世界には無かった。テレビや居酒屋があるがなぜかポテーチは無い、いや異世界にテレビがある方が可笑しいが今はそんな事どうでもいい。
あの食べたら絶対太ると分かっているがそれでも食べたい、そしてコーラをがぶ飲みしたい、そんな欲があやめの中で弾けた。
「さぁ神谷さんコンビニ探しましょ」
「えっ」
「さぁメリー君も今日はジャンパだよ」
「えっ」
この時のあやめの勢いには勝てなかった。
異世界産ポテーチ




