27話 浮上
目を覚ますとそこは暗黒だった。いや自分が目を閉じているだけなのかもしれない。
ただ分かることは自分が生暖かい水の上でに倒れていること、そして背中に違和感を感じたことだけだ。
起き上がろうとしても何故か体に力が入らず、右手で背中を探ると骨ではないなにか硬いものがあった。
「はぁ…はぁ…嘘でしょ」
もう少し調べるとそれが自分の体を貫いていることが分かった。そして自分が倒れている水の正体も判ってしまった。
「あ…ああぁ」
だがそれ以上にこれだけの目にあって一切痛みを感じていない自分に恐怖した。そしてそれを無理やり引抜き、なんとか立ち上がり、火球を出して辺りを照らす。足元には血溜まり、身に着けている制服は紅く染まっていた。
「落ち着け…私はまだ生きてる。きっとこれは特典なんだきっと」
自分に言い聞かせ、ポーションを取り出して飲み干す。飲んだことで体の傷は治るが全てではなかった。
「ふぅ~ヨシッ、結構深い所に落ちたみたいだけど…登れそうにはないか、あれ?」
周りを調べると壁や床が金属で作られており、明らかな人工物だと分かった。
暗闇の中で光り輝くものが現れた。近付くとそれがあの蝶だと理解する。しかし今までと違い、夢ではなく現実に現れた。
私が蝶に触れようとすると蝶は強烈な光を放ち弾け飛び、私は思わず目を瞑った。そして目を開くと周りは明るくなり別の場所に立っていた。
「まさか夢の続き?」
夢で観たあの廊下であの白衣を纏い佇んでいた。しかしあの夢と違い窓から差す光で廊下は明るく、自分以外の人が歩いていた。
ただすれ違う人は何故か透けており生気を感じられない。そしてもう一つあることに気付いた。自分の首から下が動かない…いや自分の意志で動かせないと言ったほうが正しい。
「足が勝手に!」
自分の意志と関係なく歩きだす、首だけは動かせたので窓の外を眺めるとそこには現代都市が広がっていた。
「東京かな東京タワー的なものあるし、でもここまで小さく見えるとおもちゃみたい。東京にこんな高い建物あったけ?」
しばらく眺めていると足が止まる、どうやら着いたようだ。しかし止まった場所は廊下の突き当りでそこには壁しかない。
「う〜ん?」
よく見ると壁の中心に□□□博士の研究室と記入されたプレートが張り付いていた。名前は読めるが何故か脳が理解できない。
勝手に左腕の袖を捲るとデバイスを身に着けていた。そして壁に近付けるとデバイスが光り、それに反応したのか壁も輝き変形して扉が現れる。
「おお凄いSFっぽい」
自動ドアを通り過ぎるとそこはこの世界に来て初めて夢で見た研究室だった。ただ前に見た時と内装がかなり異なっている。
パソコンがある席に座ると刺さっているUSB抜いてポケットに仕舞い、机に足を乗せ寛ぐ。
「なんか行儀悪いな」
これは夢と言うよりは誰が観た光景なのだろうか?パソコンのモニターには無数の0と1だけ表示され、何をしているのか分からない。
「えっこれだけ、蝶はどこ?」
足を乗せた間々体は動かなくなる。そして唯一動く首で部屋を見渡すと窓をあるもの見つけた。それは輝く光の柱だった。
「あれって確か星遺物だっけ、何で此処から見えるんだろう?」
見づらいが星遺物の根元には現代の建物が建っている。明らかにこちらの異世界のものではないはず。
「う〜ん」
「 」
まあ夢なので可笑しくても、これが普通なのだろう。だがそれよりも今はどうやって目覚めるかが重要だ。
「う〜ん」
「 」
いつもなら光るなにかから蝶が出てくるのだが、この場合はこのモニターなのだろうが、0と1の画面から変わらない。
そして急に体が揺れ、目の前にコーランの顔が現れる。
「うわぁぁぁ!」
「あぁぁぁ!」
そして体は自由に動かせるようになった。
「なななんですか、えっどこ此処!」
部屋の中は変わっていた。さっきまで明るく綺麗だったが今は薄暗く、窓の外も見ることが出来そうにない。
「…元気そうだな、さっさと戻るぞ」
上に上がるためロープの場所までやって来た。
「それにしても制服やばいな、血ってクリーニングで落ちるかな、いやクリーニングな…多分あるかな」
「多少の汚れなら一度マギアに戻せば取れる。ほれ」
あやめに拾った銃を投げて渡す。
「ありがとう拾ってくれたんだ。あーヒビが入ってる落としたからかな、後で診てもらわないと」
銃を仕舞い、上を見上げる。
「これ登るんだよね、私体育の評価2なんだけど」
「安心しろお前には期待してない」
コーランはロープをあやめに巻き付け、簀巻きにする。
「えっ」
突然の事に呆気をとられているあやめを無視し、上まで一気に駆け上がりそこからロープを手繰り寄せ、あやめを上まで引き上げる。
「ゴンドラの気持ちが分かった気がする。圧迫されるからやばい」
「なに言ってるか知らんが楽は出来たろ」
ロープと剣を仕舞い出口を目指す。




