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23話 一方的な決闘

後ろを向いて全力疾走し、今度はあの光から遠ざかるように通路を進む。それでもこの場所に戻って着てしまう。

 何が起こっているのか分からないが、これだけは理解出来た。私は此処から逃げる事が出来ない。


覚悟を決めて銃を抜き、そして・・・デバイスでEFを呼び出し急いで乗り込みレーザーブレードで薙ぎ払う。人間相手にこんなロボットを出すのなら卑怯かも知れないが、なぁに卑怯と言うのは実力が同等でのみ起こる行為だ。私と鴉の差は子供に踏み潰される蟻程度で、このEFを使ったところで勝てる未来が観えない。


「ああクソッ!」


案の定、ブレードの炎を掻い潜りこちらに一瞬で接近し取り付き、剣をコックピット上で突き刺し装甲を貫いて剣先が私の左肩まで到達し血で服を汚す。

 胸部の機銃を使い引き剥がそうとするが弾切れで使えず残った左腕を使い、鴉を掴もうとしても剣を片手で握った状態で足を使い、左腕を蹴り飛ばす。


「再誕者…?」

「うるさい!」


緊急脱出装置を使って取り付いている鴉をハッチごと空中に吹っ飛ばす。


「その飾りで飛んでみろ!」


空中で動けない鴉にありったけの弾丸を撃ち込む。弾はハッチごと巻き込み爆発し鴉を撃ち落として地に這い蹲らせる。


「よしっ!」


EFから降りて急いで瀕死の彼に近寄る。


「大丈夫…じゃないか!」

「あ…ぁ」


偶然持っていたポーションを無理やり口に突っ込み飲ませる。


「そんな…治らない」

「げほっこれマナポ…後ろ!」


咄嗟に振り向き銃を放つが、いつの間にか起き上がっていた鴉に腕を足で抑え躱され、左手で剣銃を抜こうとすると片手で首を掴み持ち上げられる。

 あの爆発にも関わらず軽症だが、鴉の傷口から血の代わりに白い煙が噴き出していた。


「はな…せ」


握っていた銃を鴉に向けようとすると石畳に叩き付けられ身体に力が入らなくなる。抵抗が出来ないと分かると首を絶とうと、両手で剣を構えた。


(ああ…死んだ)


諦めて眼を瞑り走馬灯が過ぎる中で、夢で見たあの蝶を思い出した。ただそれだけで何の意味もない、意味があったところで今から死ぬのだから意味が無くなる。


(それにしても走馬灯長いな…もしかしてもう死んでいるのかな)


また鐘の音が聞こえ、恐る恐る片目を開いて様子を見ると、鴉が剣を構えたまま止まっていた。表情は仮面で分からないが私以外を見ている事だけは分かった。 

 ゆっくり目線の先に向くとそこには剣を片手で受け止めている黄色の騎士が立っていた。


「アァァァ!」


次の標的が騎士に替わる。ただ私達の時と違い、決闘紛いはやらずに腰の短剣を抜き襲い掛かる。騎士は距離を取り、鴉に向かってボウガンで輝くボルトを連射するが全て剣で防がれ勢いは止まらない。

 鴉が一撃を与えようとすると突然、剣が爆発し腕ごと吹き飛ばす。無くした腕に痛みを感じている様子もなく騎士に短剣を投げつけ、もう一本の剣を拾い羽根を撒き散らしながら斬りかかり、それを騎士は剣で防ぎ、そしてあやめがデバイスで遠隔操作したEFに殴り飛ばされ壁にめり込む。

 

動かなくなった鴉に容赦なく銃弾とボルトの雨を喰らわせ、爆発の煙が晴れるとボロ雑巾になった鴉が血の代わりに煙を撒き散らしながら身体が霧になって溶けて消えていき、そして辺りの霧も晴れていく。


「あの助かりました…居ない」


鴉が消えると騎士も居なくなってしまった。感謝くらいさせて欲しかったが、それよりも今は…。


「誰か呼んで来るから頑張って」


プロメさんを呼びに行こうとすると彼に腕を掴まれる。


「これ無理だわ」

「エリクサーとか使えば」

「使っても…無理だって分かるんだ」


なにか出来る事がないが考えるとあることを思い出す。


「ほらスマホ、チートとか使えるでしょ」


拾ったスマホを渡す。


「ああ…そうか君も…」


血塗れの指でスマホに触れるが何も起きない。


「やっぱり無理か…」


これはもう助けることが出来ないのか。


「おい、何があった!」

「プロメさん」


あやめを追いかけてきたプロメが駆け寄る。


「プロメさんこの人助けて」


プロメは生徒の状態を調べる。


「鴉の仕業か…無理だ助けられない」

「エリクサーとかポーション使えば良いじゃないですか」

「エリクサーなら瀕死でも救えるが、そんな物直ぐに用意出来ない。それにこれを見てみろ」


プロメは生徒の上着を脱がせ、刺された痕を見せてきた。傷から血と何か光が溢れてきた。


「この光は命の輝き、これが視えるようになると肉体が崩壊して消える。これはどんな魔法でも助けられない」


彼の身体が光ると足が塵になり崩壊を始める。


「なぁ…言ったろ一度死んでいるんだ…分かるよ」


服に付いた彼の返り血とスマホも一緒に消え始める。


「あ〜モテモテになってハーレム作りたかったな〜」

「エロガキめ死際の最後がそれで良いのか」

「男で異世界に転生してくる奴の目的なんて、大体そんなんだよ!」


死際に強がっている様には見えず、これは本気の目だ。


「あと死ぬ前に言っておくが、転生者だと周りにばれるなよ。こうなるからな」

「分かってる。でもあれは君が悪いよ」

「だって凄いところ見せて騒がれたいじゃん。また転生出来たら今度は普通に生きるよ」


下半身は消滅し、いよいよ消えるのを待つ。


「最後に良いかな…手を握ってくれない」


両手で彼の手を握る。


「ありがとう…あとオッパイ揉ませてくれません。いや変な意味じゃないです。純粋な興味がありまして、揉まないと死んで後悔が残ってしま」


そして完全に消滅し、残った魂の光が一羽の蝶になり夜空に消える。


「・・・帰りましょう」

「あっあれだコイツはお前に泣いて欲しくなかっただろう…帰ろうか」


おぼつかない足取りでEFを回収する。


「直るかな…」

「コニーに一回見せてみろ、喜んでやってくれるだろうさ」


プロメは重症のあやめを担ぎ二人の元に向かう。二人が立ち去ると先程の戦いが無かったかのように、辺りの破壊痕が消えてしまった。

夏風邪には気を付けて。

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