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19話 異世界ホテル

あれから工房を出て職員室の前に戻って来た。職員室から出てきた四角いリュックを背負った人とすれ違ったが、特に気にする事では無いのでそのまま入る。

 まだ学校に残っていたドリスは出前でちょっと早い夕飯を取ってた。挨拶をしソニアと別れてあやめ達は学校を出る。ちなみにさっきのすれ違った人がウーサーイッツの出前だったらしい。

 外に出ると夕焼けで辺りが真っ赤になっていた。


「まだ結構明るいな、宿って此処から近いですか?」

「あの宿だ」

「ちっか、てかホテルじゃん」


校門を出てから徒歩5分、RPGに出てくる様な宿ではなくリゾートホテルの様な外観をしていた。内装はとても豪華で明らかに高級ホテルだと分かる。


「いらっしゃいませピース様。いつもの部屋のご予約は出来ております」


宝石のカード受け取り、多分魔法のエレベーターで最上階まで上がると、豪華な装飾をした扉が現れる。周りを見渡しても他の扉が無いことから、どうやらこの階にはこの部屋しかないようだ。

 扉の水晶にカードをかざし鍵を開ける。部屋はとても広く高級そうな家具に何故かBARまで付いている。


「その棚に菓子が置いてあるけど食べ過ぎるなよ。私は着替えてくる」


こんな高いところに泊まれるなんてプロメさんいったい何者なのだろうか。


「なぁプロメさんって一体何者なんだ」

「いや私も会って日が浅いからよく分かんない」


唯一判明しているのはプロメさんが元傭兵で学校の先生をしている事だけだ。 


「たしか教員以外に武器ブランドのスポンサーで結構稼いでるそうよ。あっお酒、ほぉほぉ〜い」


棚から高そうな酒を見つけて大はしゃぎする。早速ワイングラスに注ぎ飲み干す。


「スポンサーって、メーカーの商品を使って宣伝してお金貰うやつ?」

「そうそう、お姉ちゃんが宣伝すると直ぐ品薄になるから競争率が凄いんだよ。ただ扱いが難しかったり、試作品で欠点が多いんだ」


いわゆるプロ向けの道具を宣伝するようなものか。


「先生やってるとスポンサー付くのか?」

「違うよ、EFの大会で実績を残したり、上位の冒険者になると付くことがあるんだ」


EFの大会は種類が豊富で、様々な特殊ルールが存在するらしい。


「上位になったら大会によってそれに沿ったブランドが付くんだ」

「へぇーじゃあプロメさんも大会とか出てるんだ」

「そうだよ。今のところ総合、射撃、飛行、逆ランキング武器部門で優勝したんだ」

「えっそこまで凄い人だったんだ。ところで逆ランキング武器部門ってなに」

「使いづらいや単純に弱いが理由で人気が無い武器限定の大会のことだよ」


何だその縛りプレイみたいな大会は。


「この大会は優勝した人は頭おかしいとか変態の異名が付くよ」

「それってどうなの」

「観てる側としては、あぁこの人達がちゃんとした武器で闘ったら凄いだろうなって想いながら楽しんでるよ」


随分特殊な楽しみ方だ。

 プロメが戻って来た後、ホテルのレストランで食事を終え、部屋に戻ってテレビを観て過ごし就寝時間になったので寝室に向かった。質の良いベッドに横になり目を瞑る。

 目を瞑ってからしばらくしも一向に眠る事が出来ない。もしかしたらまたあの不思議な夢を見ているのだろうか。

 となりのベッドで寝ているメアリーを起こさないように静かにベッドから抜け出し、ドアの前に立ち恐る恐る開ける。

 ドアの先はリビングと繋がっており現実だと分かる。ただ電気を付けていないのにも関わらず妙に明るい。


「あれ、あやめちゃん起きてたの?」


神谷が電気も付けずにソファーに垂れかかってテレビを観ていた。


「ええ何故か眠れなくて」

「そっか俺もだよ」


あやめはソファーに寄りかかり一緒にテレビを観る。会話はそれ以上続く事はなく気まずい空気が流れる。


「それにしてもこの世界なんでもあるよな。スマホっぽい物はあるしテレビも観れるし」


この世界ではこれが当たり前なのだろう。


「俺は中世ヨーロッパ風の世界を冒険することを期待してたんだけどな。これじゃただの日常じゃん」

「いや、そう言われても異世界来るの初めてですし、これが普通異世界なんじゃないんですか」


そもそもゲームの様な世界が存在するとは思わないし比べようがない。


「まぁそうなんだろうけどさ…ああそうだ一つ聞きたい事があっただ。あの店で私の知っている日本には帰れないって言っていたけど、どういう意味?」

「えっああ、あれですか…あれはあの人達の時代と私の居た時代が違うと分かったからです」

「どういうこと?」

「カレンダーに2013年って書いてあったでしょ…」


少しソファーで横になる。


「それがどう…ああそうか普通あんな昔のカレンダーを店に飾って置かないか」

「この国に漂流者が集まるってことは異世界の門ガバガバなんでしょ…それで時間もガバガバ…」

「そうか必ずしも同じ時間に繋がっているとも限らないのか…いつの間にか寝てる」


神谷は寝てしまったあやめを抱き上げ、部屋まで送って行く。


「俺も寝るか」



次の日


今日は昨日言っていた図書館に来ていた。

 流石は魔法の図書館だけあって、本は飛ぶは階段は動くはアホみたいに大きい本があって楽しい。


「ハングリーポッタの学校みたいだな。秘密の部屋にケルベロス居たりしません?」 

「此処に来る奴よくそれを聞くけど流行ってるのか」


図書館には古い本から最新の本が揃っているほか漫画、魔導書、雑誌、宝石で造られた本、開いたページから上半身が生えている本など魔法の世界特有の物まで揃えられている。

 それぞれ自分が気になる本を探し、有意義な時間を過ごす。メアリーは最新の武器のカタログをアイビーはファッション雑誌、神谷は図書館の探索、そしてあやめとプロメの2人は異世界からの帰還の本を探していた。


「帰る方法が載っている本ってどうやって探せばいいのだろう」

「それならそこの本に内容を書けば探してくれるぞ」


所々に設置されている本を開き、云われた通り書く。


「異世界、帰る方法っと…うわっ動いた」


本が自分で閉じると表紙から目が現れこちらを見てくる。


「うわっなにこの気持ち悪いの」

「そいつは本型のミミック、書いた内容をの本を探してくれる」

「もぐもぐ…ベェー」


文字を食べるような動作をすると長いレシートのような紙を吐き出す。


「あの鞄のミミックと同じですね」

「人に飼われているミミックは大体こんな扱いだ」

「ミミックって結構な種類居るんですね。私が知っているのは宝箱の奴しかいませんでした」

「昔はその宝箱型しか居なかったらしいが品種改良して増やしたらしい」

「そうなんですか…それにしても長いですね」


先程からずっと紙を吐き続けて100m程まで伸びる。


「ここは本の貯蔵量が世界一だからな、それだけ本が見つかったのだろう」

「なるほど、あっ終わった長いな!」


紙を出し続けたミミックも流石に疲れたようで顔色が悪い気がする。


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