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17話 噂と学校

「もしかして何か不味いこと聞いた」

「多分やばいワードだったりするんじゃんない」


二人だけで聞こえるよう小声で話す。


「もう少し自然に話をそらしたらどうだ。まぁ良い、歩きながら話すか」


プロメが少し前に出て、皆それについて行く。


「カラスって言うのはある組織の通称で実際どんな名前なのかは分かっていない。

 分かっているのは鳥の兜に全身を覆う鴉の羽根、そして胸には4枚羽のカラスの紋章を付けているらしい」

「それでカラスなんだ」

「見た奴によって証言はバラバラで共通してるのが今言ったところくらい」


カルト的な人達なのだろうか。


「どんな人達なんですか?」

「分かりやすく言うと人殺しの集団」


よし絶対お関わりたくない。


「狙われる奴には共通点あって、奴らが必ず狙うのは何かしらの能力を持った人を狙う」

「何かしらの能力?」

「ようするに本来、人が持つのがあり得ない力の事だな。ピューパ無しで強力な武器や魔法を使えるとかな」


プロメは一瞬だけ神谷の方に振り向く。


「あの店でカリヤ…店主に聞いたんじゃないか、お前達のような漂流者はお互いに干渉しない方が良いってな」


それはつまり転生者が彼らの標的となのだろうか。


「なんで漂流者を狙うです!?」

「さぁ私はカラスじゃないから分からん。それに漂流者以外に貴族や王族も狙うしな、だが唯一分かるのが全員が相当な手練のようだ」


プロメは何かの看板の前で止まる。


「私が学生だったの時の同級生に、天災魔道士とか呼ばている奴が居てな、魔法試験で魔法を標的に当てるだけで良いのに試験場ごと焼いて試験官以外周りが驚愕していたよ。

 当の本人はさも出来て当然の顔をしていたな。その後は試験官に怒られてたけど」


学生の時の思い出を語る。


「アイツは魔力だけは飛び出て強かったが、カラスに出くわした時はあっさり殺られてしまったらしい」


馬車が看板の前に停車する。馬車に学校方面行きの看板が付いていることから此処がバス停だと分かる。

 観光地にあるようなトテ馬車に乗車する。


「性格には癖があったが力はあった。そんな奴を殺れる得体の知れない連中だ。だから自分の発言と行動に気を付けろよ」


それ以降プロメは言葉を口に出さなかった。そして馬車は学校に向かって走り出す。

街の中を進み学校の前に停まる。馬車を降りて10mありそうな校門を通り過ぎ観えてくる校舎は、ビルのように高くいくつも佇んでいる。


「学校ってさっきの場所じゃないんだ」

「彼処はピューパの契約するだけの受付だ。校内だが結構離れた場所にあるから馬車で行来するんだ」


光の柱を囲むように建てられた校舎の校庭で学生達がちらほらと自由に過ごしている。プロメに気付いた学生達と挨拶を交わし、そのまま進み校舎の中に入る。

 校舎の内部はデパートの様に一階の広場から最上階まで天井が突き抜けており一番上の階から此処を見渡せそうだ。

 プロメの案内で職員室へ向かう。


「あっプロメ先生こんにちは。どうしたんですか、確か貴方も休暇中だったはずですけど」


職員室の扉を開けると、耳が長いふくよかな女性が話しかけてくる。


「ええ、そうなんですけど今日はこの娘達の編入届けを出しに来ました」

「後ろに居る子達のこと?」


女性はあやめ達に近付き挨拶をする。


「私はドリスこう見えてもエルフだよ。ドリス先生って呼んでね」


プロメが書類を渡しドリスが確認すると少し驚いた反応を示す。


「今年は黒髪の子が5人も…私はまだ仕事が残っていますので誰か呼んで案内させますね。あっそれともプロメ先生が案内しますか?」

「案内しようと思っていたのですが、私は先にコニーに用事があるので委員長に頼みます」


プロメはそう言い残し去って行く。

ドリスはある装置を操作して誰かの名前を呼ぶ、それからしばらくして職員室に誰かやって来る。


「何か御用でしょうか?」


やって来たのはあやめより大人びた女の子だった。


「ソニアさん、この娘達に学校案内を頼みたいのだけど良いかな」

「はい、構いません」


黒に銀色が混じった髪のおさげを団子のように巻いた委員長っぽい人が来た。高身長で女の私から見ても凄く美人だ、しかし何故か初めて合った気がしない。


「私はソニア・ハースビットよろしくってお母さんなんでいるの!?」


アイビーはソニアにここまでの経緯をざっくり説明する、ただし設定を付けて。


「おおよそ事情は分かりました。お辛かったでしょう」


何故かこちらに同情する。


「あら~ちょっと盛りすぎたかしら」

「ちょっと、なに言ったですか!」 


アビーさんが言うには私と神谷の故郷が戦争に巻き込まれ逃げて来たらしく、逃げた先の森で盗賊に襲われているところで出会った事になってるらしい。


「貴方達が別世界から来たことは秘密にした方が良いと思ったのよ。信じて貰えるか分からないし」


確かに異世界から来ましたって言われても私は信じないわ。


「二人とも何かあったら私に相談してね、できるだけ協力するから」


ソニアは二人の手を握り締める。


(やばい、罪悪感がやばい)

(俺の盗賊のところしか合ってないな)


「それじゃ早速行きましょ」


最初に先程訪れた広間に向かった。


「此処が一階の広場です。真ん中にある巨大な地球儀には現在登録されている都市と村が載っています」


地球儀には大陸と都市の名前が載っており、どれもあやめ達の世界のものと異なる。


「あそこがエルドラだよ」


地球儀に載っている一際大きい都市を指差す。


「メリーも来てたんだ久しぶり」

「最初から居たけど」

「ごめん、気付かなかった」


学校見学はまだ続く。

長い廊下を歩いていると様々な種族とすれ違う。


「それにしても色んな人が居ますね」


見たことない種族もいる。


「それはそうですよ此処は世界で一番平和な国なのですから。それに種族差別も少ないから住みやすい国なので人気らしいですよ」


やはり差別はどの世界でもあるのか。


「酷いところだと、ただ歩いていただけで襲って来ますからね。まぁ、そこまで酷いと内側から勝手に崩れますけど」


この後、色んな教室を案内してくれた。

 私の世界とほとんど同じものだが魔法に関係する教室が多く、他の教室と明らかに雰囲気が違う教室の前を無視して通り過ぎようとしたが。


「ここは何の教室なんです?」


神谷が呼び止める。


「あぁ〜ここですか」


嫌そうな顔で返事をする。


「ここは教室じゃなくて、ある生徒の工房ですけど…関わると碌なことにならないので次行きましょ」


明らかにこれまでの態度と違うがどういう事だ。


「も〜コニーちゃんをそんな風に言っちゃ駄目でしょ」

「そもそもお母さんには関係ないでしょう」


ソニアの口調が段々激しくなる、コニーと呼ばれる人とあまり仲がよろしくないようだ…だがそれにしても。


「その名前どこかで聞いた事がある気がする」

「ほらっその銃を造ったのがコニーだよ」


確かペニーさんの娘さんだったか。

部屋の前で騒いでいると工房の扉が突然開く。


「あんだ、玄関で騒いでるやろうはソニアおめーか、何のようだ!」


出てきたのはやたら露出が高いうさ耳の人だった。

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