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14話 異世界で異世界の飯

「あの店主は絶対に転生者でしょ。じゃなかったら和食の卵焼きは出てこないでしょう」

「さあ?どうなんでしょうね、此処に来る前にインドカレー屋みたいのありましたし、ここじゃこれが普通なんでしょ」


異世界にインドカレーが存在するんだ。居酒屋があっても不思議じゃない。


「えぇ、いやあれか店ごと異世界来た感じか」


神谷の話を聞きつつ食事を始める。


「そうだよな、こっちで店を作ったなら壁のお品書きが日本語の分けないよな、普通こっちの文字にするはずだし」


唐揚げは衣がサクサクで、肉がとてジューシーで、少しにんにくが効いておりとても美味しい。


「店員の人は腕輪を着けてないし、奥のあの扉から来ているのかな」


この卵焼きはチーズと細く刻んだベーコンが食を唆る。


「いや腕輪は料理する時は邪魔なだけかも、でもこれだけ証拠が揃っていれば何かしら当てハマってると思うんだ。…あれ聞いてる?」

「聞いてますよ…店ごと転移でしたっけ、それであってると思いますよ」

「えっなんで分かるの?」


神谷の疑問にあやめは店に飾ってある物を指す、それは日本のカレンダーだった。


「なるほど、良かったじゃんもう帰れるかもよ」

「多分、行けても私が知っている日本じゃないですよね」


なぜか神谷はその理由を聞こうとしたができなかった。

 料理を食べ終え、学校に必要な物が売っている店が開くまで結構時間があるから観光する事になった。


店を出る前に神谷は店主に日本人かどうか尋ねると、とくに驚く事もなく肯定する。偶に店の噂を聞いてくる客に日本人かどうかよく聞かれるそうだ。

 この店自体は日本に在るのだが、何故か日曜日だけ店の入口がこの世界と繋がってしまうようで、これが祖父の代から続いているらしい。

 あと彼の事を聞いてくるのは間違いなく転生者だろうが、その事については話してくれなかった。なんでもお互いの為、お互い知らない方が良いことになっているらしい。

 そして最後に彼はこう言ってきた。


「もし君に祝福が在るのなら無い方が幸せで居られる」


神谷は意味を聞くと、友人が自分に似た境遇に居る人を見つけたら伝えてくれと頼まれたそうで、彼も意味は知らないがこれを理解したならばそうしろと聞いたそうだ。


店を出た後、あやめ達はある店に向かう事になった。

 なんでもこの国で一番大きな店で中にいくつもの店があるらしい、つまりモールのようなものだろう。プロメに案内されぽつんと大きな扉だけある場所に着くと、プロメは扉の前にある水晶球を操作する。

 その店はエルドラの地下にあるようで地上からはこの扉で行けるらしい、エレベーターのようなものか。扉が開くと中から異様な風景が見える。中に入ると空は巨大なステンドグラス覆い隠されており、光だけが降り注ぐ、此処が地下だと言うことが分かる。

この扉はエレベーターと言うよりはあのどこでも行けるドアの様だ。


全員入るとドアが自動的に閉じる。


「これだよ、このなんか魔法って感じの、これが見たかった。」アッハハハ


一人両手を上げて乱舞する。


「ねぇアイツテンションやばない」

「初めてモールに来たんじゃね、とりま近づかんとこ」


通行人AとBが神谷を見なかったことにして立ち去る。


「あ~なんだ。目的の店以外ならば開いてるが、各自行きたいとこはあるか?」

「ハイハイ、武器屋周りたい!」


元気良く返事を返すメアリー。


「俺も俺も!」

それに賛同する神谷。


「じゃあ私達は服を見に行きましょ」

「えっちょっ」

あやめを有無を言わさず連れて行く。


「・・・後で連絡しろ」

「は〜い♡」

それぞれ二組に別れ行動する。


神谷視点


「いや〜それにしても凄いとこだね。国の下にこんな広い場所があるなんて」


ゲームでしか存在しない幻想的な風景や街並みに興奮する神谷。


「元々この国は星遺物が造ったクレータに人が集まって出来たらしいよ」

「星遺物?」


メアリーは街の中央にそびえ立つ光の柱を指を指す。


「いつから存在するか誰も知らないけど、世界が始まる前から在るとか無いとかって本には載ってたけどね」


どこかつまらなそうにそう語る。


「ただ…あっ!」


何かを見つけると一瞬である店の前に移動する。


「これはっ!」


店の中に展示されている物をガラス越しに眺める。


「あの娘いつもあんな感じなんです?」

「いや、ただ単に星遺物は興味無いだけだ」

「そうなんですか、意外ですね」


今はそんな事よりもメアリーが何を見ているか気になり神谷も店を覗きに行く。


店には武器が展示されている事からこの店が武器屋だと言うことが分かる。

 ただ自分が思っていた中世風の木造の店内と違い、ちょっとオシャレなアパレルショップの様な店内で店の外観だけなら武器屋だと言われても分からない。

 店の展示品に魅入っているメアリーはさながら可愛い服をガラス越しで欲しがっている女の子に見えなくもないが、肝心のメアリーの目線の先に在るのは断頭剣の様な剣身が3つ付いているとても大きな手裏剣のような物を見ている。


「何これ?」

「これはケロベロスシリーズの一つ、ハナミズキっていう剣で、真ん中の取っ手を持って回するように振るだけど、3つの剣身には氷属性が付いてて斬られると傷口から氷が棘のように刺さるからかなり強力。ただ扱いが難しいから武器以外での運用が多いかな、常時冷気を放ってるから近くに置いておけば夏は快適らしいよ」


さっきと違い詳しく解説してくれる。プロメの言った通り興味が無かったようだ。


「ちなみにケロベロスは犬系獣人の中では三つ子って意味もあるらしい」


隣で解説を聞いていると何か違和感を感じ目線をメアリーに合わせると、自分と頭の位置が同じ高さに並んでいた。知らない女の人がメアリーを持ち上げ、猫が抱き上げた様な姿勢になっていた。

 思わず誰と叫びそうになったが、もう一人同じ顔の人が居て、自分の口元に人差し指をあてる仕草をされ声を出さなかった。


「しかも見た感じこのハナミズキは初期の物だからかなりプレミア付いてそうだね」


ガラスに顔が張り付きそうな程まじまじと見る。


「へっへ〜そうなんだ。ところでなんか違和感無い?」

「そう言えばさっきより低い所にあるような…ん!」


ようやく自分が抱きあげられている事に気づく。


「なんか店の前が騒がしいと思ったら帰って来たんだね〜」


メアリーを抱いた状態で自分の頬をすり付ける。


「あっどうも」

無愛想に返事を返す。


「いや〜春休み以来だね〜」

もう一人も同じ事をする。


「あの離してくれません」

感情がこもっていない声で話すが、二人は撫で続ける。しばらくするとプロメが止めに入りようやく開放される。


彼女達はここの店員で、会うといつも撫で回されるから苦手なようだ。犬系の種族で同じ顔だから双子なのだろう。


「メリーちゃんじゃない、久しぶり」


店の中からもう一人出て来た、どうやら三つ子だったようだ。

居酒屋落葉


日曜日のみ異世界に繋がっている居酒屋

名物はチーズ餃子揚げ


カリヤ 種族:人間 性別♂ 身長183cm 髪色・黒色 年齢33


居酒屋の店主


桜 種族:人間 性別♀ 身長163cm 髪色・茶色 年齢19


居酒屋の店員


エルドラの地下


エルドラの地下には食べ物以外の店が並んでおり生活品はこっちで買う。


星遺物


大昔からこの星に存在する巨大な光の柱、近くで見ると大樹にも見えるが結局のところ不明


ハナミズキ

ケルベロスシリーズの一つで冷気を纏う魔剣、ケルベロスはある地方だと三つ子と言う意味から三枚刃として扱われる。


ケルン 種族:ワーウルフ 性別♀ 身長180cm 髪色・銀色 年齢19 長女


エルドラで武器屋をやっている。


ベローネ 種族:ワーウルフ 性別♀ 身長180cm 髪色・銀色 年齢19 次女


エルドラで武器屋をやっている。


スミット 種族:ワーウルフ 性別♀ 身長180cm 髪色・銀色 年齢19 末女


エルドラで武器屋をやっている。

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