表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/65

6話 EFってなんぞ?

鳥の鳴き声と窓から差し込む光で目が覚める。

私は体を起こし辺りを見渡す、あの部屋ではないことが分かる、どうやらただの夢ようだ。


「うぅ~ん」


体をほぐしベッドから降り、メアリーを起こそうとするが居ないので先に起きて下に行ったのだろう。

私も壁に手を触れながらゆっくり階段を下りる。


「おはようございます」

「朝食にするから顔を洗ってこい」


私は顔を洗いながら見た夢を思い返す。やけに現実味を感じる夢だった。


「まぁ夢だから気にすることないか」


リビングに戻り自分の席に着く。テーブルには3人分にしては多く盛り付けられた料理が並んでいる。


「結構量ありますけど毎朝こんな感じなんですか?」

「いや、学校が始まったらしばらくこの家を留守にするから腐りやすい物を処分したいだけだ。そんな事より食いな」


ともかく今は出された料理を食べることにする。朝から肉料理は中々に重いがとても食欲を唆る香りだ。ナイフとフォークを使い肉を細かくしようとするが、肉は非常に柔らかく弾力があり簡単に切れる。

 肉というよりは餅のようなもちもちっとした食感だがなによりも。


「うまぃ、あとめっちゃスパイシー、これは高給レストランに出せるレベルだわ」

「フフ〜ン凄いでしょ、アビーに教えて貰ったんだ」

「うん、凄く美味しいよ。ちなみにこれ何の肉?」


マシュマロや餅に近い未知の食感で、目を閉じたらそもそも肉なのかも分からない。


「ウェパルーだよ」

「えっなにそれ豚、牛、鳥?」

「ウサギだ。さっきまでそこら辺を飛んでいた」


意外それはウサギ。いや、意外ではないのか。


「あやめはウサギ好き?」

「好きだよ、でも食べようと思ったことはないかな~」


ペットショップに居るウサギを食べようとは考えた事ない。


「そうか、食べるのに抵抗があるなら他のものするか?」

「いえ、嫌なわけじゃなくて、うさぎを食べるのが初めてで不思議だな~て、とっても美味しいです」


聞くまでは不思議な食感の肉、原形も残っていないので気にならない。


「それは良かった。ウェパルーは渡りウサギでな、警戒心が高いから直ぐ飛んで逃げるから滅多に捕まえられない。でも肉が美味いから高額の賞金が賭けられているんだ」


よく分からないが高級食材らしい。


「それってどれくらいですか?」


もぐもぐ


「そうだな、今食べているのが5キロぐらいだから一羽で、あのソファーが20台程買えるじゃないか。結構するんだぞ、あのソファー」


手を止めて半分以上食べた肉を見る。


「まあ、ウェパルーか証明出来ないと買い取って貰えないがな」


そんな話をしながら食事を終え、食器を片付ける。


このあとプロメさんは用事があると言って外出し、私はアイビーさんが呼びに来るまで暇なので昨日の本を読みながらメリー君と一緒にEFの中を調べる。

 とりあえず昨日この本に載っていた腕輪を探すが見つからない。


「見つからないな、これに乗ってた人が持ってるのかな?」


狭いコックピット中を探す。


「その腕輪ってどんなやつなの」


コックピットの上から覗くメアリー。


「写真の部分が虫食いで分からなかったけど、多分なんかボタンが付いてるやつ」


それらしき物を探すが腕輪らしき物は見つからずただ時間が過ぎる。

メアリーも中で探し始めるが見つからない。


「やっぱり残って無いか」


これだけ探しても見つからない、やはり残っていないようだ。


「う~ん、試してみたい事があったんだけどなぁ」


諦めようとした時。


「なにこれ?」

「あだっ!」


メアリーが座席の後ろにあったボタンを押すとモニターが収納されると同時に四角いケースが飛び出してくる。ただそれは思ったより勢いが強かった為か、留めていた金具が外れ、あやめの顔面に直撃する。


「ごめん、大丈夫!?」

「大丈夫、それより何にこれ…あっ」


鼻を抑えつつ片手でケースを開けると中には腕輪が一つだけ入っていた。


「なんか思っていたのと違う」


腕輪にはタッチパネルやボタンは付いておらず、パット見未来風の腕時計だ。

 取り敢えず着けてみる。


「どんな感じ?」


特に感じる事は無いが、これにこのEFが入るのが信じられない。


ピー


着けたことで起動するとホログラムで起動画面が表示される。


『メインシステム起動を確認…これよりパイロットデータの照合を行います』


「「うわっ、喋った」」


腕輪からSF映画でよくある調べる時に出る光が私を照らす、ただただ眩しい。


『エラー…パイロットデータが存在しません…IDを発行します…あなたの名前を教えてください』


自分の名前を言う。


『あやめで登録しますか?』


光りでタッチパネルの様なものが出てyes/onと表示され、迷わずyesを押す。


『登録完了しました…クリア

 機体の状態を確認します…デバイスを本機に接続してください』


操縦席の一部が光る。


「腕輪のことだよね。これかな、随分親切な設計だな」


私はデバイスを近づける。


『本機のシステムに接続を開始します・・・・・接続を確認。

これより機体の状態を確認します・・・しばらくお待ちください』


「えっあやめ、なにこれ!」

「私によくも分からないけど、このEFを調べているんだと思う、多分」


SF映画はたまに観るけど、正直ロボットは良く分からない。


『機体の状態を確認完了しました・・・

 ネットークに接続出来ません。

 機体損傷率…70%

 腹部の射撃武器の残弾数0

 メインブースターに不具合がある為、ブースト移動に制限があります。

 右腕部が破損している為、正常に稼働しません。

 システムデータの80%が破損しています。

 一部のシステムが正常に稼働出来ません。

 一部のシステムドライバーが使用出来ません

 現在、使用出来るドライバーは…

 携帯モード…戦闘モード…スキャニングモード…のみです。

 システムの復旧を推奨します…yes/no』


yesを選択する。


『承認を確認…

これより復旧作業を開始します…完全に修復が完了する間での時間は不明です…修復中は携帯モードを推奨します。』


「どうゆう事?」

「壊れてるところを直すからしまって下さい、てっ言うことじゃないかな」

「そうなんだ」


本の通りに腕輪を操作して携帯モードにしようとするが反応が無い。


『注意…機体の中で使用は危険です…本機から離れた場所で使用してください』


腕輪から警告のアナウンスが流れる。

あやめ達はEFから降りてもう一度操作する。するとEFが青白く光を放ち消える。


「おおぉすごい」

「しまい方はこっちのEFと同じなんだ」


(同じ?そう言えば皆が言っているEFってそもそも何?)


「メリー君、私はEFってそもそもどんな物か分からないだけど、このEFと似た感じのやつ?」

「全然似てないけど、EFって色んなのがあるから中には同じようなのもあるんじゃない。

 そもそもEFって言うのはね、正式名称は不明で、国よっては戦裝束とか魔術鎧甲って呼ばれてて、決まった名称は無かったんだけどさ。ある国の鍛冶屋がEFって呼ぶようになってからそれで統一されてるらしいよ」


なるほどなんか分かった気がする。


「お姉ちゃんが助けに来た時に着ていたのもEFだよ」

「ああ、紫色の鎧ね。あれがそのEFなんだ。確かに光って消えちゃったけど、あれも出したりしまったり出来るの?」

「そうだよ、腕輪とかネックレスのアクセサリーに付いてる宝石で召喚するんだよ」


そう言われプロメさんと会った時を思い出す、鎧が消えた時に腕輪を操作していた気がする。


「おーい」


誰の呼ぶ声が聞こえる。

ウェパルー 別名渡兎


耳が大きく発達した翼になっており最高糖度の人参を探して旅をする。あまり歩かないので肉が柔らかくモチモチとした食感で高級食材としてツチノコと同じく狙う者が多い。


デバイス

謎のロボットの中にあった高性能の端末、要するに凄いスマホ


EF

この世界における兵器の一つであり鎧や服でもある。民族や種族によってさまざまEFが存在する。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ