まだまだ俺のターンは続行、続いて俺はお願いを使用して修行フェイズに移行する
時は流れ取り敢えず、それなりにしっかりと歩く足腰と意思を伝える程度の語彙を獲得。体感年齢5歳の今日この頃。爺さん誕生日を祝う文化が無いのか、余裕が無いのか、頭に無いのかわからないが、兎に角まともに祝われた事がない。
この間冬を越して数えで、冬を4回程迎えたから多分四年はアレから経過してる。そう考えると、意識が覚醒したのをゼロにおいてもだいたい5歳といっても良いだろう。そんな訳で爺さんにお願いしてみる事にしたわ。
「オージーちゃんお願いがあります」
「ん?なんだい?シヴそんなに改まって」
「オージーちゃんの魔術を僕に教えてください」
と申し出たところ、すごく複雑そうな顔をした。嬉しいような、悲しい様な、そして心配する様な顔。素直に顔を顰めてくれたらこっそり動けるのに。なまじ育ててもらってる恩を感じてるだけに裏切りたくはないし。
「ワシが時々使う火の魔術や土の魔術を、教えて欲しいわけではないのじゃろう?」
「はい、僕はオージーちゃんがよく使ってる、カードのえっと召喚紙の魔術についてを学びたいです」
そこで爺さんは、悲しさと嬉しさが半々くらいの顔をし話を続けた。
「あの魔術は、非常に危険で何より道は険しく難しいとしてもか?」
「はい、僕はオジーちゃんみたいにかっこよく、あの魔術を使いたいんです」
「ワシは教えるのが初めてじゃ。もちろん、自分でつかう分には考え無しでも失敗しない自信は有る。しかし、だからこそ、ワシではお前に教え切れんかもしれんのじゃ」
(オイオイ、爺さんそこで弱音を吐いちゃダメでしょ。俺まだクソガキだよ。チビ助だよ。いや、ここでめげてもらっても困る。すごく困る。)
「オージーちゃんは、僕に言葉を教えてくれました。文字も教えてくれています。まだオジーちゃんの満足いく結果じゃなかったとしても、僕はオジーちゃんを誇りに思ってます」
と言い切った。お世辞も少しは入ってる。しかし、しかしだ。俺をここまで育ててくれたのは間違いなく祖父だし、簡単なものの読み書きを根気強く教えたのも祖父だ。なら、この感謝を表現する言葉は、やはり誇りに他ならないだろう。
「そうか、そうか」
俺の言葉に、祖父は枯れた顔をクシャクシャ喜んだ後。出てない涙を拭ってきっちり俺の方を向き
「では、遊帝学派封召魔術士 ホ ワイトがその任を一時的に受け持とう」
(また訳のわからん専門用語を・・・よし、後で聞こう)
「よろしくお願いします」
とお辞儀し。
「ところで、ホ ワイトって?」
と聞いたところで、これまたすごい顔をされた。そう、致命的なウッカリをしでかして顎が外れかけてると言った感じの。
「ワシの名じゃ、教えとらんかったかの?」
(生まれて初めて聞きましたよ、爺さん)
長く苦しい試練の予感を感じながら、次々と質問をしていった。
結果以下のことがわかった。
魔法も魔術も共通して、魔素をエネルギー源として魔法現象を発生させる技術の総称である。
魔法現象とは、七百と少し前くらいに初めて発生が観測された現象である。そして、魔素が無ければ発生することが無い。
魔素と魔力は大体一緒のものであるという事。そして、殆どの生物にとっては基本的に毒と同義で有るという事らしい。また、太陽や月の光に乗って無尽蔵に降ってくる。そして水に溶けて水ごと結晶化して、それを魔石と言うのだとか。
精霊とは、木端の類ならその辺を目には見えずとも漂うっているのだとか。ある程度強力な個体になると自我を獲得する事もある。
爺さんは、人間では無い。リッチと呼ばれるアンデットの一種である。
アンデットとは、元々通常の生き物だった者が、精霊の力をどうにかして使ってその生き物元来の寿命を超越した者たちの総称である。
爺さんは、リッチになる前から元々魔術は、使えていた。だから、僕も努力次第でカードを使った魔術は、使えるはずだという事。
封召魔術とは、元々封印魔術の一派であった。が、封印したものを自分の力の如く扱える様には出来ないか。と言う考えの元、封印魔術をいじくり回した。結果、魔法現象から生物、非生物問わずに手のひらサイズの紙一枚で封印できる様になる。また、同時に条件さえ満たせば好きなように中身を呼び出せるようになった。そして、様々な学派が存在する。
魔導降霊学派:元祖封召魔術の学派、金さえ掛ければ最強と言われる学派。ただし、その金をかけると言うハードルが他の学派と比べて頭一つ抜けて高い。全面戦争を前提としないレギュレーションありの戦闘行為でならば、レギュレーション次第では戦闘より後衛向き。爺さんは、かじった程度で、教えられるレベルの技巧を身につけてはいないようだ。
遊帝学派:魔導降霊学派から、技術だけ盗み爆誕した後進学派。ただし、単純な行動自体では他の追随を許さないレベルで柔軟。爺さんの専攻学派である。単純な多方面と比べた制約も多く存在するようだが、今後の事を鑑みて割愛。
他にも決闘学派や分霊学派、黒白学派などが存在し、ポッと出ては花火のように消えていく学派も無数に存在するようだ。ただ、どの学派でも言われる事だが、生物を召喚するならちゃんと自分に協力するよう手を打って置かないと、召喚すればするだけ敵が増える事になるらしい。
(いや、多いわ。紙と鉛筆くらい欲しい。え?ある?安いから幾らでも使っていい?爺さん頼むぜぇ〜)
ここから更に二年程修行に明け暮れた。
俺は今、小さな体に爺さんと似たようなハワイアンなシャツと短パンを履いて棒術の練習を爺さんとしている。
(あのぉ、カードを使った魔術を使いたいとは言ったけど。武芸を含めた肉体強化がしたいとは言ってないんですけど。)
「グヘェ」
「脇が甘い、基礎訓練やり直しかの」
(このクソジジイ)
そう、二年が経過したのだ。実戦形式のハイルーチン実習で。杖、剣、槍、弓、銃などなどなど。ためにはなった。封召魔術の特性上、術者が強いに越したことはない。だがそれでも、それでもだ。
(死ぬわ)
a氏:12マナで最強の精霊を呼び出すぜ
b氏:チェーンで、カウンタートラップ、ライフを半分支払って召還を無効に
c氏:更にスタックで手札一枚追放でカンスペ。対応あるか?
b氏:しゃあ無い、更にライフを半分チェーン状の全ての効果を無効にし破壊する。
a氏:ぴえん、妨害らしい妨害がナイッピ