1.16
「今日は何か起きないかなぁ〜」
「じゃあ紫蓮。これでも観てろ 」
東京に来て初めて友達になってくれた啓吾が変な本を渡してきた。
「なんだこれ...保健の教科書かなんかか? 」
「おま...これぐらい知ってて当然だろ」
「あー悪ぃ。そういうのあいつに怒られるから...ほんじゃお先〜」
一時間目の体育のために更衣室に行き、体操服に着替えて更衣室から出ると、人気が全く無くなっていた。
更衣室にいるはずの啓吾達も居なくなっていた。
おかしいと思い照明が付いていない校舎の中を走り、クラスに戻ると教室の端でアリセナが泣いていた。
泣いているアリセナを見つけた途端、足が勝手に動き始め、あともう少しのところまでに行ったが見つけた当初の位置に戻っていた。
永遠ループなのかも分からないままずっと走り続けた。
何度も何度も繰り返している途中、兄の声が頭をよぎった。
「いつまで繰り返してるつもりだい? 紫蓮。君はもう死んでいるから繰り返すだけ無駄。 そのまま引き返して永遠に眠れ」
その言葉を無視して、永遠にループする教室の壁を殴った。
壁紙が破れ奥行きがあった。
感じる...。
破れた場所に手を入れ、穴を広げた。
向こう側が見えないのほどの空間に出ると、その部屋の中心にしゃがみこんでいるアリセナがこっちをじっと見つめていた。
「あれ、紫蓮? どこから入ってきたの? 」
「向こうの壁に穴開けて入ってきた。さっさとこんなところから出るぞ? 」
アリセナの右手を掴んで入ってきた壁の方に、走った。
また永遠ループだと思うぐらいな距離をアリセナと走り続けた。
「もうダメ〜」
手を握ったまま地面に座り込んだ。
「後ちょっとだ。がんばれ!」
「でも〜」
少し寒気を感じた途端、目の前の壁がスライムのように再生し始め元に戻ってしまっていた。
舌打ちをして、他にないか当たりを見渡した。
しかし、何も無い。
唯一光輝いているアリセナの側にいるのが唯一の救いだった。
「ねぇ、紫蓮。」
「ん? なんだ? 」
座り込んでいたアリセナが当たりを見渡して出口を探している紫蓮に聞いた。
「なんで脱出なんかしたいの? このままここにいてもいいでしょ? 二人っきりなんだし...」
「なんでて、決まってるだろ。あの怪しい兄をここから出て見つけるのさ」
「ふ〜ん。彼ならあそこに居るけどね。 」
アリセナが指さした方には、何かおかしい雰囲気を醸し出していた。
「あんなとこにいるのかよ...。アリセナは、着いてきてくれないのか? 」
「着いてきて欲しいの? 多分私居たら邪魔になるだけだよ? 」
「いや、お前を置いてくのがちょっと...」
ここまで読んでくれてありがとうございます
・過去編スタート
・ある人物によって明かされる真実とは?





