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アスナのバレンタインデー

☆2018.02.14.☆


 今宵はバレンタインデー特別編をお届けします。オールキャラギャグ本です。本じゃないけど。ドン引きするほど長くなりました……。


 15000文字ですって。


 普段の一話が2000文字前後だと考えると、実に一週間分ですね(白目)。



 楽しんでいたたけたら嬉しいです。


 わたしは追い詰められていた。息は上がっているし、背中は寮のピンク色した壁にくっついている。走り通しで脚はもうガクガクだ。ここまで来れば大丈夫だと思ったのに。


「違うのっ、これは本当に、そんなんじゃないのっ!」

「まったく、白々しい……」


 そうだね! わたしだって台詞だけ聞けば同じことを思うよ! でもね、本当に勘違いなんだってば!


「ふふ、おとなしくそれを渡せば怖い目にあわずに済みますよ……?」

「蜜……」


 怖い目には、すでにあってるんですけどー!

 主にアンタのせいでぇえええ!?


 蜂蜜くんの顔が近い。こぼれる金の髪がサラサラという音まで聞こえそうなくらいに近い。しかも今日に限ってミシェールじゃなくて男の格好だ。


「アスナさん……」

「ううっ!」


 悪い笑みを浮かべた蜂蜜くんがわたしの耳許で吐息をもらす。くそう、片手で殴るとその隙にチョコをもぎ取られる……!


「誰か……!」


 誰か、わたしの代わりにこのタコを殴ってぇえええ!






 ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆






 どうしてこんなことになったのか……それは遡ること数日前のこと。


 週に一回、ジャムに顔を見せにお城へ行くわけだけど、お茶請けはわたしが用意する取り決めになっていて、今回はキャンディのオススメでチョコレートを買っていった。紹介されたそこがまた雰囲気のいい素敵なお店で、ついつい見るのに夢中になって遅刻しそうになってしまった、という話から始まって、バレンタインデーの話題になったのだ。


 いやだって、そのお店ってば道具類もブロックチョコレートも品揃えが豊富でさ、ラッピングもかなり可愛いのがいっぱいで、乙女心をくすぐられちゃったわけですよ。これはもう手作りするしかないかなぁって。折しもちょうど二月の初旬、時期的にもチョコレート作りにはピッタリだ。


 迂闊だったのは話した相手がジャムだったこと。そりゃあもう、当然のように要求されたわ。今まさにチョコレート食べてるくせにね。


「むしろオレに渡さずして誰に食べさせるつもりだったんだ?」

「や、フツーに自分で食べるし。キャンディとかクラスメートの女の子たちと食べてもいいしね?」

「なにっ、なぜオレのところに持ってこない!」

「えっ、だってアンタ甘いの苦手じゃない」


 ジャムは言葉に詰まったのか固まってしまった。


「あ、俺はけっこう何でもイケるぞ!」

「私は果物のチョコレートがけの方が好みだな」


 ドーナツさんはいい返事。チョコ欲しいんだね、すごく、よく伝わってくるよ。作り手からすれば好き嫌いなく美味しいって言ってくれるひとは貴重だ。シャリはワガママだなぁ。


「……このくらいの甘さなら食える」

「はぁ?」

「食えるぞ。だから、オレにも持ってこい!」


 そんな、まるで意地を張った子どもみたいなことを言うジャムの強い視線についついわたしは頷いていた。






 そんなわけで、こっちの世界に来てまでバレンタインチョコを手作りしているわけだけれども。日頃の感謝も込めてお世話になったひとたちにも贈ることにした。チョコが苦手なジャムのためってわけでもないけれど、ザクザクと歯触りのいいクランチを作ることにした。コーンフレークが身近な文化で良かったと思う。


 女の子同士で集まって賑やかにやるのもいいなぁって思ったんだけど、その話をしたらキャンディも、キャラメルもチョコも、それぞれ手作りチョコレートを贈り合おうって言い出しちゃって……。まぁ、その、つまりはひとりぼっちで作ってたってわけ。ゆっくりはできるけど、それはそれで寂しいなっ?


 キューブ型をしたひとくちサイズのチョコレートクランチ。冷ましたそれを紙箱に詰めていく。と、ここでわたしはちょっとした失敗に気がついてしまった。


「足りない……」


 そう、足りないのだ。ラッピングがあとちょっとだけ足りない。全員分を統一したかったのだけど仕方がない、わたしは新しい包装紙とリボンを取り出した。そうなると二個だけ包みが違う箱が出来上がってしまう。


「参ったなぁ、これ、誰に渡すかな」


 きっと誰に渡しても揉めるに違いない。

 二つあるのだから誰かペアに渡すのはどうだろう、そう、例えばキャラメルとチョコとか。ああ、でもダメだ、キャンディが泣く。絶対に泣く。

 じゃあ先生は? エクレア先生とゼリーさんなら問題ない……ことはない。カーリー先生に見つかって、からかわれること間違いなしだ。


 わたしはしばらく頭を抱えて悩んでいた。けど、ふと思い立って箱を数え直してみると、予定よりひと箱多く作っていることがわかった。なぁんだ、それなら問題はなにもない。キャンディにひとつ、わたしにひとつ、これでこのハズレチョコの行き先は決まった。


 当日はまずお世話になっている先生やクラスの皆と交換したり贈ったり。キャンディたちのガッツが伝播したのか、クラスメートのほぼ全員からもらっちゃった。もらうだけにはならなかったけど、でもちょっとだけ後ろめたい。だって中にはやたらめったら豪華なチョコもあったんだもん。来年は予算決めようね、予算。


 当然かもしれないけど、中でも一番お値段の高そうな贈り物はキャンディからだった。まったくあの子ったら台車に載せた直径20センチ三段重ねダークチョコケーキなんて持って来るんだもん。つやっつやのコーティングに思わずため息が出そう! ケーキとケーキの間の柱にも、ちっちゃくて可愛い植物モチーフのチョコレートが載っている。緑や白、ピンクのアイシングもすごく綺麗。羨ましい!


 私もつやつやチョコ作りたかったけど、テンパリングするのって温度計がないと無理なんだもん! それに、こっちのチョコには成分表がついてないから見当もつかないよ~! 本格的にやるには修行が足りない!


「うふふふ、見てくださいな、このタワーケーキ。これが(わたくし)の気持ちですわ、アスナ! この塔のように他の誰よりも大きく、頭ひとつ抜きん出て目立ち、アスナへの愛を強く叫んでいるのです!」

「そして心が真っ黒、と……」

「違いますわっ!? どうしてそうなるのです!」

「だってこれ、キャンディの気持ちなんでしょ? つまり心なんじゃないの?」

「ひどいですわ~!!」


 よよよ、と泣き崩れるキャンディ。でも指の隙間からこっちを伺ってるのが丸見えだよ?


「アスナのバカ! なんでそんなこと言うのよ」

「可哀想なキャンディス様……」


 いやいや、小芝居はいいって。

 キャラメルもチョコもすっかりキャンディのこの「お姉さま~!」モードに慣れちゃったなぁ。


「へ~、これはまた食べごたえがありそうですね~。……あ、美味しい」

「ちょっと、なに勝手に食べてるんですの!? これはアスナのケーキですわ!」

「ケチケチせずに~。どうせアスナさんひとりで食べきれませんよ~」

「だからってどうして貴女が最初に食べるんですの!」


 さすが暗殺者、蜂蜜くんが近づいてきていたのに全然気がつかなかった。甘党の彼は持参したマイフォークでパクパクとダークチョコケーキを食べ始めている。


「ああああ~! もう、やめて……ひどいですわ……ひどいですわ!」


 蜂蜜くんのひと口は大きい。みるみるうちに減っていくケーキに、キャンディは泣きそうだ。むしろすでに涙声か。


「泣かないで、キャンディ。わたし、このケーキのてっぺんをもらうね? そしたらわたしが初めてのひと口をもらったのと同じだよ」

「でもでも、でも……」

「ほ~ら、特別なチョコレートあげるから元気出して。キャンディのだけ皆と違うんだから」


 外だけ、だけどね!


「アスナ……これを、(わたくし)に? 嬉しい……嬉しいですわ、アスナ!」

「う、うん、喜んでもらえてわたしも嬉しいよ……」


 こんなに喜ばれると、騙したみたいで気が引けるんだけど、キャンディが泣き止んだから良しとする。彼女に渡した包みをじっと見ている蜂蜜くんの視線を感じながら、わたしはプレゼント交換を続けた。


「はい、蜜ちゃんにもどうぞ」

「……ボクには普通のチョコレートなんですね~」

「えっと、うん……」

「ふ~ん」


 不満を隠しもしないこの態度。どうしたの蜂蜜くん、そんなに特別なチョコレートが欲しかったワケ?


「とにかく、ほら、バレンタインデーおめでとう。そういえば、蜜ちゃんは皆に配らないの?」

「ボク、食べる専門なんで~」

「あ、そ……」


 可愛い顔をぶすくれさせながらも、もらえるものはもらっとこうという信念か、彼はわたしのチョコレートもしっかりと鞄にしまいこんでいた。


 キャンディのケーキは結局小さく切り分けてその場にいた皆で食べた。蜂蜜くんだけワンホール食べてるのが信じられないけど。その細い体のどこに入るんだよ~! ああ、でも、美味しいから確かに食べられそうかも? 


 先生たちにも配りに行って、カーリー先生からはお返しに花束をもらってしまった。ミニバラのブーケはピンクに赤に黄色と、まるで小さな花畑だ。えへへ、ちょっと嬉しい。


 そのままエクレア先生の部屋にも向かう。きっとゼリーさんと二人、難しい本でも読んでるんだろうなぁ。とにかく本に埋もれたエクレア先生の部屋、でもなんだか空気が柔らかくて居心地がいい。いつものように暗い茶色のドアをノックすると、ガタンという音と慌てたような返事があった。


「どうしたんですか、先生、大丈夫?」

「だ、大丈夫です……いたたっ! ど、どうぞ」

「お邪魔しま~す……?」


 入ってみると、研究室はお花屋さんに変わっていた。バケツの中に切り花がいっぱい。そして、いつものローテーブルの上には新聞紙とブーケを包むための色とりどりの薄い不織布。リボンも何種類もあって、まさに花束を作っている最中のようだった。


「すみません、ちょっと散らかってまして……ええ、あの馬鹿のせいなんですけどね」

「うひゃ~、カーリー先生どれだけ花束の注文受けてるの」

「さあ? とにかく花を置かせろ、花束を作れと言われてまして。ジェロニモにリボンを結ぶのを手伝ってもらっているところです。あっ……あなたのそれも、もしかして?」

「ええ、まぁ。カーリー先生にもらいました」


 エクレア先生はカーリー先生のことになると、ムキになるんだよね。今も眉がきゅっと吊り上がってしまっている。


「まったく、校内で贈り物のやり取りなんて風紀上よろしくありません。誰にもらったかもらえなかったか、お返しはどうするとか後で色々ともめるに違いないのですから。今回のことはいったい誰が始めたんだか……」


 エクレア先生は頭が痛いというように額に手を当てながら、わたしに愚痴を言った。きっとカーリー先生に迷惑をかけられて困っていたんだと思う。わたしは申し訳なさにきゅっと身を縮こまらせた。


「ごめんなさい……」

「え?」

「わたしです。その、今回の騒ぎの原因、わたしなんです」


 エクレア先生は一瞬、きょとんとした顔をして、黙々と作業を続けているゼリーさんの方を振り返った。そしてまたわたしの方に向き直ると、「事情をお聞きしてもいいですか?」と優しく聞いた。


 わたしはバレンタインデーという催しについてと、ジャムにチョコレートを作ることになったということ、折角だからお世話になっている他のひとたちにも作ったことを話していった。その途中で話がどんどん大きくなって、気がついたらほとんど皆、チョコレートを用意していたことも。それを聞いた先生は眼鏡を外して眉間を揉みながら、


「喧嘩や大きな騒ぎにならなければ良いのですが……」


 と呟いた。

 うう、いたたまれない。内輪だけのイベントのつもりが全校規模になってしまって、もうわたしの手に負えなくなってるもの。誰が何をしているのかすらわからない。


 ちょっと暗い雰囲気になったところへ、ゼリーさんが割り込んできた。そして、チョコレートの入ったわたしの鞄を指さして、何か言いたげな表情を作った。


「あ、はい、お二人にもチョコレートを作ってきたんです……」

「えっ。作って、ということはアスナさんの手作りですか?」

「はい……。いつもお世話になっているので」


 わたしの歯切れが悪いのは、受け取ってもらえるか自信がなかったから。だって、他の先生がたは受け取ってくれたけど、エクレア先生はこのイベントには賛成ってワケじゃないみたいだし。ほら、エクレア先生、困ってるじゃん。迷惑かもって、もしかしなくても一番最初に思いついても良さそうなのにわたしったら……!


 引っ込めようかと迷っていたとき、ゼリーさんがわたしの手からチョコレートの箱を取り上げた。リボンをほどいてラッピングを取って……


「ジェロニモ?」

「…………」


 ゼリーさんはそのまま箱を開けて、わたしのクランチをひとつ、口に運んだ。ザクザクと噛み砕く音が聞こえる。そして、わたしに向かって頷くとエクレア先生にもひとつ、勧めるように口許へ突きつけた。


「……いただきます」


 わたしとゼリーさんが見守る中、エクレア先生はクランチのキューブをしげしげと眺めてから口に入れた。先生がそれを食べ終えるまでの間、わたしたちはじっと待っていた。いやいや、別にこんな固唾を飲んで見守るようなものでもないんだけど。


「美味しいです……。ありがとうございます、アスナさん」

「いえ! 喜んでもらえて良かったです。あはは……」


 先生が優しく微笑んだ。眼鏡の奥の澄んだ茶色の瞳に見つめられると何だか途端に恥ずかしくなって、わたしは笑って誤魔化した。絶対赤くなってるよ……だって先生みたいな知的なイケメン、いわゆるインテリ眼鏡って属性に弱いんだもん。おまけに渋イケメンのゼリーさんも横にいるし。十五年後が楽しみで仕方のないイケオジ候補を前にわたしの表情筋がゆるゆるになりそう!


「いっけない、わたし、他のひとにも配ってこなくっちゃ! それじゃあ先生、ゼリーさん、またね!」

「あっ、アスナさん!」


 バケツの間を縫うようにして部屋を脱出したわたしは、わたしのために常駐している(!)馬車でそのままお城に向かった。あ、もちろんチョコレートはエクレア先生の分も渡してきたよ。というか、今気づいたけどゼリーさん今回まったく喋ってないな! むしろ最近声を聞いた気がしないんだけど!?






 お城にやってきたとたん、フラワーシャワーで出迎えられた。空から降ってくる色とりどりの花びら。わ~、すごいキレー。もっさぁって降ってきたわ、もっさあって!! さてクイズ、こんなことするのは誰でしょう。


「遅かったな、アスナ。このオレをこんなに待たせるとは大した女だ」

「ジャム~~っ!」

「ほら、早く上がってこい」


 二階のバルコニーから身を乗り出して、ジャムはいたずらっ子みたいに笑う。わたしといるときのジャムは年相応に見えてほっとするって、ドーナツさんたちは言うけど、絶対に違うからね? どっちかって言えば小学生男児だからね、あれは。


 わたしはまだお城の入り口に立ったまま。頭を振るって花びらを落として、わたしは緋色の絨毯の上を歩いてジャムの部屋まで階段を上っていく。


 衛兵さんがわたしの名を呼ぶと、サッと左右に分かれて扉が開かれた。広い部屋は暖かくて、ジャムとドーナツさん、シャリさんがそれぞれ座り心地の良さそうなひとり掛けのソファに腰を下ろしていた。


 ドーナツさんはわたしを見てすぐに席を立って挨拶してくれた。優しいんだ。当然のようにシャリは会釈するだけ。わかってたよ、そういうヤツだって。メイドさんがわたしに飲み物を進めてくれる中、もったいぶって立ち上がったのはジャム。両腕を広げて気障ったらしく笑っている。


「よく来た。待ちわびたぞ、アスナ」

「あ、すみません、そのアップルフレーバーティーを、ホットで」

「話を聞けぇ!? オレを見ろ!」

「はいはい。あ、チョコあげる」

「適当に言うな!」


 カッコつけてるからだよ、もう。なんでマトモに相手してやらなくっちゃいけないの。ほら笑われてるよ、ジャム。


「もうすっかり夫婦のような空気だね。いっそ結婚を早めてはどうかな?」

「夫婦じゃない!」

「仲良しだなぁ」

「違います!」


 シャリもドーナツさんも、その認識をいい加減改めてほしいものだ。


 ジャムはと言えば、わたしのあげたチョコレートの箱を黙って睨んでいたんだけれど、わたしに向かって突き返してきた。


「なによ……いらないの?」

「違う。渡すところからやり直してくれ、ちゃんと。これでも……楽しみにしてたんだ」

「もう……」


 拗ねたように言うジャムの目は真剣だった。それに当てられたわけじゃないけど……わたしはジャムの手から箱を取った。


 ラッピングだって丁寧にやったし、わたしだってぽんと放り投げるようにして渡したかったわけじゃない。ただ、あんまり身構えられたりするのも緊張するというか……。ちょっとだけ、ドキドキする。


「……まだか」

「わかってるわよ! ったく、もう。はい、ハッピーバレンタイン、ジャム。大した物じゃないけど、食べてやって」

「ああ。ありがたく、いただく」

「っ!」


 一瞬、キスされるんじゃないかという近さまで一気に距離を詰められた。咄嗟に後ろに飛び退いたら微妙な顔をされたけど、そんなのこっちの気持ちだよ! 


 ジャムはまるで何事もなかったかのようにプレゼントのラッピングをはがして中身を取り出すと、パクッとひと口、クランチを放り込んだ。作ってきたものを目の前で食べられるって、何だかくすぐったいんだけど。そういうことするのが、イケメンの条件か何かなの?


「ああ……、美味い。オレの好みに合わせてくれたんだな」

「まぁ、そりゃあ、ね。甘さ控えめも嫌いじゃないし。ジャムのためってわけじゃないんだからね!」

「ふっ……照れるな」


 ちょっと、本当に違うんだってば。

 聞いてないな、ジャム。


 ドーナツさんとシャリにもチョコレートを渡した。ドーナツさん、すっごく喜んでくれて、おまけにお礼までもらっちゃった。


「っ、これ! マナの実……! 貴重なんじゃないの?」

「おやおや、どこから持ち出してきたのやら」

「ええっ!?」

「違う、たまたま市で見つけたんだ。だから国庫の分は減ってない」


 おお、シャリさんの嫌味にも負けずに言い返してる。良かった、ドーナツさんが処罰されるんじゃないかと冷や冷やした。マナの実キャンディは大事に食べようっと。


 ちなみにジャムからのお返しはさっきのフラワーシャワーと生ケーキ。シャリさんからはナシ……と言うかおそらくジャムと同一カウントなんじゃないかな。もうそれでいい気がする。


「はい、シャリさんの分。わたしの前では食べないでね」

「ふぅん? わかった。ところでアスナ、私のにはリボンがついてないのだが?」

「えっ、必要?」

「……必要ではないが。まぁ、ありがたくもらっておくよ」


 わたしの意趣返しに怒ることもなく、シャリさんは箱を手にあっさり引き下がった。


「なんだ、宰相嫌われまくりだなぁ」

「どうしたアスナ、ディースにだけ意地悪か?」

「別に~。ただの仕返しだよ」

「あはは、やっぱり嫌われてる!」


 ドーナツさんが嬉しそうに言う。仲悪いのかな……。


 いつもより豪華なお茶請けと、シャリさん手ずから淹れてくれたフレーバーティーでゆったりした時間を過ごす。お城でお茶会とは……わたし、もしかしてすごく贅沢な待遇をされているのでは!?


 ジャムとシャリさんとは言え、国王様と宰相だもん。それに騎士……肩書きだけはとってもファンタジー。乙女ゲームにもよく出てくる地位の人たちだ。惜しむらくはこの中に好みにピッタンコのイケオジがいないこと! 国王と宰相はイケオジ枠でしょ、普通!


「惜しいなぁ……」

「どうした、アスナ」

「ううん、なんでもないの。バレンタイン、して良かったなと思って」

「そうか。そうだな。ハッピーバレンタイン、アスナ」


 カップをちょっと上げてキメ顔をするジャム。それ、お酒のグラスなら完璧だったのにね、残念! でも、ありがとう、ジャム。






 学園まではまた馬車で帰ってきた。貴族のステータスも大変だ。ガタガタ道じゃないだけマシだけど、時間がかかるのがやっぱり難点。一直線に寮に向かう。今日はちょびっと疲れたぞ~。


 と、思っていたら、ザッと道を塞ぐ影あり。金の髪がふわりと揺れる。久々の男の子バージョンだ。……「子」って歳でもないけど。


「蜜……どしたの、その格好」

「見てましたよ」

「えっ?」

「鞄の中の特別なチョコレート、あの王様にあげるんじゃなきゃ、誰にあげるつもりなんです? 彼の物でないなら、ボクがもらっても構わないですよね?」

「えっ、構うよ。蜂蜜くんにはさっきあげたでしょ? っていうかどこから見てたの?」


 木の影になって蜂蜜くんの顔は見えないけど、何だか不穏な空気だ。怒ってる? 笑ってる? 城までついてきてたの?


「ボクの仕事は護衛なので~、学校の外に出るときはもれなくいますよ、一緒に」

「でも馬車……あ、わかった。他の乗り物で先回りしたんでしょ!」

「いえ? ボクの乏しい魔力じゃヴィークル動かないんで~。普通に徒歩ですよ」

「うぇっ? 歩いて? 早っ……」


 というか、ちょっと怖い……。

 ゆっくりゆっくり近づいてくる蜂蜜くん。ど、どどど、どうしよう。逃げたい。


「アスナさん! ここにいらっしゃいましたか、探しましたよ!」

「先生!」


 後ろから声をかけられて振り向くと、エクレア先生がいた。走ってきたのか、少し息を切らせている。


「実はあれからカールに叱られまして……」

「えっ、カーリー先生に?」

「はい。チョコレートをいただいたのに、なにもお返しをしなかったことを責められました」

「そんな、別にお返しなんて良かったのに……。そんなつもりじゃなかったから、そんな風に気を遣われたらかえって恐縮しちゃいますよ」


 でも、エクレア先生は困ったように笑った。


「いえ。あれが言ったのは「目の前に腐るほど花があるのに、どうして一本抜き出して渡すくらいの臨機応変さがないのか」でしたので。言われてみればその通りですよね。これだから私はいけません。

 そうだ、ジェロニモと二人で花束を作ってみたので、良かったら受け取っていただけませんか」

「えっ、嬉しい! ありがとうございます」

「では、すみませんが一緒に研究室までご足労ください。もう粗方片付いたのでいつもと同じ部屋ですよ」

「あの部屋、朝はまるでお花屋さんでしたもんね」

「ええ。あ、そういえば、ひとりこんな所でどうしました?」

「えっ? あっ……。寮に戻る途中だったんですけど……」

「それはまた、変な方にズレましたね。こっちは道もありませんよ」

「ですよね~」


 いつの間にか蜂蜜くんはいなくなっていた。おかしな方向に行っていたのは、嫌なオーラに気圧されてジリジリ後退してたのがいけなかったんだね。とにかく逃げられて良かった。


 お城での出来事を報告しながら研究室に向かい、ゼリーさんが留守番していた暖かい部屋に迎え入れられた。


「上手く見つけられましたよ。どうです、言った通りそろそろ帰ってきていたでしょう?」

「……」


 ゼリーさんは黙って頷いた。

 いや待って、喋って! 先生がなんか可愛らしく報告してるんだからせめて「ああ」とか「良かったな」くらい言ってやって! 言葉で労って!


「……良かったな」

「ええ。あ……珍しいですね、ジェロニモが喋っているなんて。アスナさんの前だからでしょうか」

「え~、そんなことないですよ~」


 なんて、多分わたしのせいだけどな!


 目は口ほどに物を言う。わたしが睨んだからゼリーさんは口を開いた。そして今はわたしが目で訴えかけられている。いわく。「アルクレオの言う通りだろう」……かな?


 エクレア先生は書き物机の足元から二つの花束を抱えて戻ってきた。どちらもひと抱えほどある大きな物で、ひとつは淡い色調のパステルカラーが綺麗なスターチスやスイトピーがメインの花束。もうひとつはどこか毒々しいジャングルっぽい花束だった。


「こちらは私が。そして、こちらはジェロニモが作ったんです。バレンタインの日、おめでとうございます、アスナさん」

「……おめでとう」

「ありがとうございます、先生、ゼリーさん!」


 ゼリーさんの作ったジャングル花束……テラテラとした名前の分からない葉っぱと、真っ赤なアネモネ、重いワインレッドの薔薇と、白に赤い斑の入ったカーネーション、それに濃い紫や青い花ばかりなんだもん。何だろう、足して二で割ればちょうどいい気がするよ。


「受け取ってもらえて良かったですよ。あ……家族じゃない女性にプレゼントをするなんて機会がないものですから、なんだか照れますね」

「えっ、そうなんですか?」

「家族になれば問題ない。慣れる」

「ちょ、ゼリーさん!?」

「ジェロニモ! いきなりなにを言い出すんですか!」


 真意の見えないことを言ったゼリーさんは、わたしたちの顔を見て、無言で肩をすくめた。ソファに座って目も閉じて知らぬ存ぜぬを決め込んでいる。腕組みをして背もたれに体を預けて、こりゃあもう寝るね。確実に。


「すみません、変なことを聞かせてしまって……」

「い、いえ……」


 ええい、どうしてくれる、この空気!

 このまま二人して固まっていても仕方がないので、寮に帰ることにしたんだけど、結局送ってくれるのはエクレア先生なわけで……なんだかギクシャクしたまま寮の玄関で別れた。ゼリーさんめ、今度会ったらどういうつもりであんなことを言ったのか問い詰めてやる!


 それにしても……ゼリーさんのあのひと言であんなに真っ赤になってしまうなんて、エクレア先生ったらシャイなんだなぁ。


 両手一杯の花束は、部屋に飾れないので寮母のアガサさんに預けることになった。どこかわたしにも見える場所に飾ってくれるそうだ。やり遂げた気持ちで部屋の鍵を開け、中に入ろうとすると、目の前に蜂蜜くんの顔があった。


「ぎぇあぁっ!!?」

「……うるさいなぁ。まったく、色気のない悲鳴ですねぇ」


 余計なお世話!

 普通ビックリするわ!!


「なんっ、なん、なんなのよっ!」

「待ってたんですよ。チョコレート……鞄の中のそれ、ください」


 はぁっ!? チョコ?

 しつっこいなっ!?


「さあ、ください。今ください。今食べたいんです、その特別なチョコレート」


 尻餅ついたわたしにズイズイ顔を近づけてくる蜂蜜くん。その手はわたしの鞄に伸びていた。


「やだよっ! 蜂蜜君にはちゃんとあげたでしょうが!」

「もう食べちゃいましたよ」

「早っ!!」


 でも、この残ったのは、わたしのなんだってば!


 わたしは蜂蜜くんのお腹をめがけてキックした。そこまで力を入れたわけじゃなかったけど、触れる前に蜂蜜君はびょんっとひと跳び、気持ち悪いくらい後ろに飛び退いた。……部屋の端っこまで移動してる。うえ~~。


 とりあえず今が勝機、外開きだったドアを閉めてわたしは走った。どこか……どこかで食べちゃお! もう、あの食い意地の張った暗殺者、たいがい甘党なんだから! アイツにあげるくらいなら、誰か別のひとにやるわ!!


「待ってくださいよ~」

「げえっ!?」


 途中振り向いて確かめてたけど、寮の玄関からは出てきてないハズ……まさか窓から飛び降りてっ!?


「もう、やだ~!」

「アハハハハ、待て待て~」


 棒読みすぎぃ!


「くっそ~!」

「あ、意外と足速いですね~」


 余裕かっ!






 ……こうして冒頭のシーンに繋がるわけ。わたし(のチョコ)、今まさにピーンチ! 本当に誰か助けて……このドSをなんとかしてぇ……。


「助けを呼んだところで誰も来ませんよ。どうしてそこまでそのチョコレートにこだわるんです?」

「それはこっちの台詞! 中身は同じだって言ってるでしょ? ラッピングが切れちゃったから新しくしただけで、本当に特別なわけじゃないんだから!」

「そんなこと言ってぇ、騙されませんよ? 誰にあげるつもりだったんです、それ。そんなに大事そうに抱え込んで」

「自分で食べるのよっ! 蜜にはあげないんだから!」

「ほぉ~? そういうこと言っちゃいます? 自分の立場、わかってるんですか?」

「ひょえっ!」


 首筋が撫で上げられる。

 こいつぅ! なんでこんな時だけバリアが効かないのよっ、シャリさぁん!!


「わざとボクを焦らしてるんですか……?」


 違うわっ!?

 ハリセンさえあれば……ううん、もうこの際、チョコ取られてもいいから殴りたい!


 そこに、ガサガサと木々を掻き分けて現れた人影があった。助かっ、た……?


「ア、アスナさんを離せ……!」

「……あぁん?」

「アイスくん!? って、ちょ、蜜、ガラ悪っ!!」


 なに今の重低音はっ!?


「はな、離れてください……。でないと、魔法をお見舞いしなくちゃいけなくなります」

「へぇ。そんな産まれたての小鹿みたいに震えたままで、ボクをどうにかできるつもりなんですか~?」

「……っ」


 いかん、これは……!

 魔王VS村人Aみたいな……いやいや、魔法を使えるなら魔法使いなのかな? でも、アイスくんって攻撃魔法使えるのかなぁ。なんとなく補助系魔法使いなのかと思ってたよ。味方の速度を上げたり攻撃力上げたりするやつ。


 脅しにも屈せず蜂蜜くんを睨みつけているアイスくん。相手をせざるを得ないと思ったのか、蜂蜜くんはわたしから体を離してアイスくんに向き合った。いけない、このままじゃ……!


「ダメっ、逃げて、アイスくん!」

「で、で、でも……!」

「いいですよ。ここで逃げ帰るなら、見逃してあげます。今回だけは、ね……」

「ううっ……」


 アイスくん、腰が引けてる……。

 いいの、このまま逃げて! ただし、これを持ってね!


「アイスくんっ!」

「えっ? わっ!」

「走ってぇ!!」


 わたしはアイスくんに向かって、バスケのシュートの要領でチョコを放り上げた。見よ、元バスケ部の実力を! それと同時に蜂蜜くんにしがみついて邪魔をする。


「なっ! あ、ちょっ、離してくださいよ!」

「やだよ。ほら、アイスくん行って! そのチョコわたしの手作りなの。それあげる!」

「あっ、はい!! あ……アスナさん、また、今度……」

「うん。またね~」

「待ちなさい! もう、アスナさぁん」

「いいじゃない、アイスくんにはまだあげてなかったんだから、あれはアイスくんの物なの!」

「嫌です~。離してくださいよ、ほら」

「あっ、こら。蜜~!」


 蜂蜜くんはスルンとわたしの腕から抜け出して、アイスくんを追って行ってしまった。くそ~、けっこう力入れて抱きついてたのになぁ~。


 でもしばらくして不機嫌な顔をして窓から帰ってきたから、アイスくんは無事にチョコレートを持って逃げられたらしい。


 クラスメートからもらったチョコレートを、蜂蜜くんと一緒に食べながらバレンタインを振り返る。思わぬところで黒蜜を見てしまったけれど、なかなか良い休日だった。マナの実をもらったりとかね。


 それにしても、疲れたぁ! 甘いチョコが効くわ~! そういえばシャリさん、もうチョコ食べたかな? ひとりで食べてるんだといいけど……。






 ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ 






 カーテンを開けたままの部屋を月明かりが照らしている。大きな窓から採り入れられた光は充分すぎるほどで、他に灯りの存在はない。シャリアディースはひとり、磨きあげられたグラスに血のように赤いワインを注ぎ、昼間に渡されたチョコレートの箱を取り出した。


「……ふむ。リボンがなかったのは目印、というわけかな。ある意味特別だったわけだ」


 箱の中身を見て目を細めたのは、それがオースティアンや若枝の騎士に贈られた物とは違ったからだ。異世界から落ちてきた巫女は、ただ戯れに口にした言葉ですら記憶に留めておいてくれたらしい。細長の白い紙箱の中には、大粒の苺にチョコレートがかけられたものが入っている。


 全部で五粒あるそれらを、シャリアディースは指で摘まんでは次々に口に運んでいった。贈り物を味わうその表情は固い。そしてすべてを平らげると、そこで初めて少し笑みを浮かべた。


「まったく、可愛いことをしてくれる……」


 シャリアディースはグラスを手に立ち上がると、おもむろに窓際へと歩み寄った。満月に近い、円い銀盤を見上げて、彼はまるで誰かと対面しているかのように少し酒杯を掲げてみせると、赤く芳醇な液体を一気に呷った。


 シャリアディースはしばらくの間、空にしたそれを月光に透かして熱心に眺めていた。まるで未来を視る占者のような真剣さだ。かと思えば、次の瞬間にはグラス無造作に床へと放り捨てていた。破滅の音を立てて砕け散る器。透明で無機質なそれはシャリアディースによく似ていたというのに。






 ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆






 一方、ギースレイヴンに帰ってきたアイスシュークは、アスナにもらったチョコレートの箱を後生大事に抱きしめていた。大地の恵みを失ったこの国では真冬はさらに寒く厳しく、そして色を失って物寂しい。灰色の庭園の中で、アイスシュークの手中にある、華やかな模様の入った包みの赤だけがその場所に色を添えている。


「えへへ、手作り……」


 彼がそれを受け取った時に、間違いなくそう言っていた。細長い箱の中身は、アイスシュークにとっては黄金よりも価値のある物だった。


 だが、これはチョコレートだ。しかも手作りとなれば美味しく食べることのできる期間はそう長くはないだろう。食べればなくなってしまうし、食べずに取っておけばその味を知ることはできなくなってしまう。難しい問題だ……。


 アイスシュークは何度も何度も、開けようとリボンに手をかけては止めるということを繰り返していた。空気を読んでか、いつもなら付きまとってくる小さな光と闇の精霊も姿を見せない。


 おかげで、アイスシュークは思う存分悩むことができている。寒空の下、風の吹き荒ぶ、誰の(おとな)いもない庭園で。


 そう、アイスシュークの他は誰もいないはずだった。だが、座り込んで百面相をしている彼の肩口から伸びた手が、チョコレートの箱を奪い去った。


「あっ……」

「これは俺様への貢ぎ物か?」

「あっ、あの、それは僕の……」

「貧相な箱だな。……なんだこれは。チョコレートか?」

「あっ、あっ……あぁ…………」


 止める間もなく、アイスシュークの主であるクリエムハルトはアスナから贈られた箱の包装をビリビリと破いてしまった。無事なのはほどかれたリボンだけだ。しかも心のこもったプレゼントを貧相とまで貶されて、アイスシュークのなけなしの反抗心をチクチクと刺激する。


 せめて中身は放り捨てるだけにしてくれと願いながら、アイスシュークは主人の動向を見守った。ポイ捨てしてくれれば拾って食べられるが、踏みにじられてしまうとそれが難しくなるからだ。


「…………」

「あの…………」


 不審げな眼差しでチョコレートを凝視していた少年王子は、訝しげな表情のままでキューブのうちのひとつを摘まむと、ひょいっと口の中に放り入れた。


「ああっ!」

「…………フン、安っぽい味だ」

「………………」


 そうは言いながらも、クリエムハルトは吐き出したり投げ捨てたりはしなかった。アイスシュークに残りを押しつけると、眉間に皺を寄せた表情のまま、ほとんど白に近い白金の髪を風に遊ばせてクリエムハルトは元来た道を戻っていったのだった。


「……アスナさんのチョコレート」


 残されたアイスシュークは、うっすらと目に涙を浮かべて減ってしまった箱の中身を見つめた。ピンクの紙を細切りにした鳥の巣のようなクッション材に綺麗に並べられたチョコレートクランチのキューブ。空いてしまった隙間が、最初のひと口を横取りされてしまったことを否が応でも主張する。


 寒さのせいだけでなく震える指で、アイスシュークはチョコレートを口に運び入れた。氷のようなクランチをガリガリと噛み砕き、アイスシュークは微笑んだ。


「美味しい……」


 そして、今度こそ誰にも奪われぬよう、残りもすべてその場で食べてしまった。固く幸せを噛み締めながら。



★END★

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