二十七話 共に進む
二十七話です。
今週はGW。
休暇楽しんで下さいね。
寝てる場合なんかじゃない。そう思うと同時に飛び起きる。
「良かった、本当に良かったです。目覚めてくれてありがとうございます」
「梨沙さん……」
良かった、俺ちゃんと助けられてたよ。その後意識無くしたっていうのはかなりカッコ悪いよな、俺。
「本当に心配したんですよ、本当に。もしも目覚めてくれなかったらと思うと……いえ、生きててくれてありがとうございます」
「うん……」
梨沙さんの目元が少し潤んでいる。少し恥ずかしくなって目を逸らしながらそう答えるので精一杯だ。
はぁ……助けてられたのは良かったけどそこまで心配かけてちゃ元も子もないな。カッコ悪いどころじゃなく愚の骨頂だ。
ん、そういえばあの半端ではない位痛かった肩の痛みがましになっている。そう思いそこを見ると、応急手当されていた。肩の出血部位にガーゼが乗せられ、布を使って縛られている。
「これ、梨沙さんが。ありがとう、かなり痛みが楽です」
「いえ、簡単な応急手当しか私には出来ないので、ちゃんとした病院で見てもらった方がいいんですけど……」
そう言った後、梨沙さんは言葉を紡ぐ事を止めた。それが嫌でも俺に現実を思い出させる。今、この街はもう大半が無くなっていると。梨沙さんが言葉を止めてしまうのも当然だ。
今はもう病院が無い可能性の方が圧倒的に高いのだから。もし仮に病院があったとしても、絶対に人でいっぱいだろう。それも俺より重体の人が。
「梨沙さん、俺はまだ進みます。危険なのは分かっているですけど、結局何が起こっているのか理解していないですし」
少しの沈黙の後、俺は今の俺の意思を伝えた。
「……分かりました。ですがもう無茶だけはしないで下さい。絶対に」
「気は付けます。でも、それは出来ません。梨沙さんだけは、もし何があっても絶対に助けますから」
命を助けてくれた梨沙さんに出来る恩返しは今の俺ではこれだけしか出来ないから。
それに何よりも梨沙さんにいなくなって欲しくないから。
俺は絶対に護らなくちゃならない。それだけに俺はこれだけしか返事が出来なかった。多分また同じ事があっても俺はさっきと同じように動くだろう。
梨沙さんがいなくなったらさっき撃たれた時の痛みとは比べ物にならないくらい心が痛むのはもう分かってる。
たった一年だ梨沙さんと一緒にいただけ。されどこの濃密な一年の間に俺と梨沙さんはお互いにかけがいのない人になっていた。それはまるで本当の兄妹のように。
「そうですか……でしたら行かせるわけには行きません。一葉くんがそれだけ私の事を大切に思っていてくれる。それは言葉に出来ないくらい嬉しいのですが、私からしても一葉くんの事が大切なんです」
梨沙さんも俺と同じように思ってくれていた。少し目が潤む位に嬉しい。感無量、この気持ちはそうとしか思えない。
「分かりました。俺も梨沙さんと一緒にいたい。だから、俺は梨沙さんを助ける為なら無理をすると思います。それでも、絶対に生きて梨沙さんと共にいるから」
「そこまで言ってくれるならもう止める必要もありません。一葉くん、いなくならないで。絶対私と一緒にいてください」
「当然です。俺は生きます。梨沙さんと一緒に」
俺は進み続ける。それがどんな道でも。その先に何があっても。
それが梨沙さんと共にいる。ただそのために出来る唯一の事だ。




