二十六話 絶対に助ける
二十六話です。
今まで通り一週間投稿に戻したい……
二週間投稿にならないよう頑張ります。
兔にも角にも、弾をかわし続けて数十秒間はたっただろうか。
「一葉くん、これを」
梨沙さんが叫んで、俺に何かを投げてきた。それは美しい鞘に包まれた小さな刀だった。抜刀すると、職人物の研ぎ澄まされた刀身が光る。いや、じっくり眺めてる場合じゃないっての。
「御神刀です。使って下さい」
「ありがとう。助かった」
何だかほんのりと刀身が光っているような気がする御神刀。この光は俺にとっての希望の光だ。これがあればいける。というわけでもないが、何もないよりましだろう。
……素人が武器を持っても邪魔なだけだとも言うが。そんなこと言っている場合ではない。俺は御神刀を構え、奴に向き直った。……構えってこれで合ってたっけ。でも、今は気合でなんとかするしかない。
ってさっき言ったがな。前言撤回だ。こんなの出来るわけないだろ。ただの素人が銃を持っている相手に接近戦なんて相手に近づく前に迎撃されて蜂の巣にされるに決まってる。
うわ、そんなことを愚痴っていたらまた撃ってきた。身を捻ってなんとかかわす。絶対に当たれないのが辛い。というかもう弾切れでいいだろ。そんな大砲みたいな物を何度も何度もぶっぱなして来て。いい加減にしてくれ……待てよ、魔法の武器に弾切れってあるのか。現状まだ弾切れの素振りは無い。弾切れには期待しない方が良さそうだな。
ん、なんだ。奴の挙動が何か変わった。奴は思い浮かんでしまったのだろう。俺よりも物陰に隠れている梨沙さんを狙った方が良いだろうと。数発は壁に阻まれても何発も撃っていれば壁は消失する。ふざけるな、そんな事をさせてたまるかよ。そう思ったときには俺の体はもうすでに動いていた。
俺が奴に突撃すると同時に奴は小型の拳銃らしき物を取り出し、俺を撃ってきた。当然突撃中の俺は回避行動をとるが回避しきれずに被弾した。
「ぐっ」
俺が高速で移動中かつ回避行動をとったので幸い当たったのが肩で済んだ。だが、痛い、熱い、被弾した場所が燃えるように痛む。あまりの辛さに涙が滲み出てくる。でも、しょうがない。こういう策の可能性は流石に読めていた。でも、そうしなければ、梨沙さんの方が撃たれていた。こうするしかなかった。
だが、ここで堪えないと。根性を見せろ、俺。もう二度と梨沙さんを助けられるチャンスはない。
「うわああああああああああ、邪魔だぁぁぁぁぁ」
無理矢理気合を入れるため叫びながら速度を落とさずに突撃を続ける。数秒もしないうちに奴の目の前にまで辿り着き、御神刀を一振りする。流石御神刀と言うべきか、その一太刀で忌々しき梨沙さんを狙っていたその砲は綺麗に斬られた。御神刀は俺の気持ちに答えてくれたのだ。
奴もまさかこんな戦闘の素人である民間人に砲を破壊されるとは思っていなかったのかたじろいでいる。
当然その隙を見逃してやる程俺に余裕はない。レビテートブーツでブーストをかけて拳銃らしき物を持っている手を蹴りあげる。相当な勢いで蹴り飛ばしたのでそれが空高く舞い上がる。最後にもう一度ブーストをかけて奴の金的を蹴りあげてやった。それも二回も。
あまりの痛みに蹲って動けなくなってる。
「くたばれ、この危険因子が」
「梨沙さん、逃げるよ」
その後、俺はそう叫んで梨沙さんと全力でその場から逃げ出した。
逃げ出して少しばかりまだ安全な所へ辿り着いた瞬間、俺は安堵から気が抜けたのだろう。肩の痛みが一気に激しくなる。ああ、そういえばまだ止血してなかったな。やっぱり俺、無能だなぁ。段々と意識が遠退いていく。
……こんな感じになった事は確か前にも有ったよなぁ。だけど、今回は前と違って梨沙さんを助けられて良かった。何だろう、前よりも幸せだな。これっぽっちも幸福じゃないはずなのに何故か心が満たされている。
今回はそう思いながら意識の底へ沈めた。




