二十一話 新たな友人
第二十一話です。
「えっと、どこまで話したかしら。そうそう、何で私が全額持つのかっていう話だったわね。じゃあ単刀直入に言うわよ。貴方が取り返してくれた魔道具の値段総額の方が、賠償金よりももっと圧倒的に高いからよ」
「え、そう、なの」
俺は驚いた。道路の補修費なんて数億円位しそうなものなのに。
「一葉さん、道路の補修費は街が殆どの額を負担してくれているらしいので、想像している値段よりは安いと思いますよ」
……どうしてこの人達は俺の考えている事をいとも容易く当ててくるのか。俺の表情が分かりやすいとしても、当たりすぎだ。人間が出来ている人は、人の気持ちを察するのも得意なのか。
「梨沙ちゃんの言う通り、案外補修費は安くついたの。でも、それだけじゃなくてね、魔道具って高いのから安いのまで本当にピンキリなのよ。それに、あの泥棒ってかなり常習犯だったみたいでね。うちの小型の高価な商品ばかり狙われてたのよ」
「賠償、金、よりも、高かったから、いいのか」
「まっ、そゆこと。梨沙ちゃんもお金無いんでしょう。別に気にしなくても良いからね」
「面目無いです。ごめんなさい、真優さん。でもありがとうございます」
真優さん、少しでも俺の罪悪感を減らそうとしてくれているのか。やっぱりいい人だなぁ。
「あっ、後、これあげるわ。結局、泥棒を捕まえてくれたお礼についてはしてなかったからね」
そう言って真優さんがポンと俺に何かを投げてきた。えっ、これって試作型レビテートブーツじゃないか。
「言っとくけど、これ高いんだから大切に扱ってよね。私と真弥姉のお気に入りでもあるんだから」
「何で、そんな、良いもの、物、くれるの」
流石にいたえりつくせりにも程がある。こんなことばかりしてくれて、この店は大丈夫なのだろうか。
「そりゃ、お礼ってさっき言ったじゃない。命懸けで捕まえてくれたのに、手に入ったのは賠償金だけなんて最高に理不尽じゃない。でも、その代わりと言ったらなんだけど、一つだけお願い。魔道具買うならこれからは是非この店で買ってね。あっ、出来れば梨沙ちゃんもここで買ってくれたら嬉しいな」
「分かった」
「分かりました」
なんとまあ義理深い人なんだろう。俺はこれから絶対にこの店で魔道具を買おうと心に決めた。……残念ながら、今もこれからもお金が手に入る算段なんて今のところ無いけれど。いつか、きっと恩返しはしたい。
「そういえば、一葉くんは今までどんな魔道具を使っていたんですか。私と始めて出会った時も魔道具持ってなかったですよね。私の魔道具を見た時もこの世の物じゃない物を見るような顔をしていましたし」
「梨沙ちゃん、それって本当。うそでしょ。まさかとは思うけれど、夢咲くんって今まで魔道具とか見たこと無かったりするの」
「え、あ、うん、実は」
真優さんのあまりの勢いに押されて俺はついそう答えてしまった。そんなこと言うとどうなるのか簡単に予想がつくだろうに。
「え、本当にそうだったの。この歳で魔道具知らないなんて始めて見たわ。何処で生きてきたのよ」
「それ、私も初耳ですよ。一葉さん。私の神社にも魔道具は殆どありませんが、それでも私だって流石に魔道具位知ってますよ」
予想通り、こうなる。今の俺の反応、元の世界で言う、テレビを見て、何だ、あれは。箱の中に人が入っているぞ。というあの有名な反応と殆ど大差ないような答えだからな。これは完全に失言だった。
「こらこら、夢咲くんをあまり困らせちゃ駄目でしょ」
そう言いながら、真弥さんがお茶を持ってやってきた。俺が全く気づかないうちにいなくなってた上に、お茶を淹れて帰ってくるとはなかなかの隠密行動。じゃなくて俺がただ単に気がつかなかっただけか。
「真弥姉、お茶なんて珍しいじゃん。何処で買ったの、それ」
「梨沙ちゃんに頂いたのよ。それに、茶菓子もあるわ」
「ありがとうございます、真弥さん」
……ひょっとして、俺を質問攻めから助けてくれたのか。そう思うと、真弥さんがこちらを見て、ウインクした。やっぱりそういうことだったのか。まさか俺がこの世界の人じゃないって既に気づいていたりして。まぁ、ないか。
そこからは皆でお茶会をした。やっぱり梨沙さんのお茶は最高である。うん、間違い無い。
そのままお茶会を楽しんでいると真弥さんがこちらへ寄ってきて話しかけてきた。
「これからも、ずっと真優と友達でいてあげて下さいね」
少し哀しそうに笑い、それだけを言って元いた場所に戻っていった。何だったんだろう。俺の中にそんな疑問が生まれた。
その後、そのままお茶会を楽しんでいたが、そろそろお開きの時間になった。俺としても、もう少し話していたいとも思ったが、梨沙さんとの買い物の続きや、神社の事もあるので今日の所は終わらなければいけないな。
「今日は楽しかったです。ありがとうございました」
「うん。私も楽しかったわ。また、遊びに来てね。後、レビテートブーツの練習をしたいなら、うちに来て。しっかりとしごいてあげるから」
「あはは……でも、ありが、とう。それでは、また」
そういって、俺達は白妙さん達と別れた。また、会いたいな。
そのまま、俺と梨沙さんは残りの買い物を済まし、神社へ帰った。……あっ、俺の服買うの忘れてた。よくよく考えたらお金、無いんだけどさぁ。こうして、俺の巫女装束暮らしが続投される事が確定した。
来週は投稿出来ません。申し訳ございません。
先々週だけでなく先週も更新できなかった事を深くお詫びいたします。




