二十話 優しさ
祝!二十話です!
さようなら。俺は悲しみと絶望に包まれていた。その中で梨沙さん達が俺に話し始めた。
「心配しなくとも大丈夫ですよ。私が一葉さんを借金大魔王などと不名誉な称号を与えさせませんから」
「そもそも私がレビテートブーツを使って、捕まえてなんて言ったのが原因だよね。私だってしっかりと責任を持つわよ」
「貴方には、私達の作った沢山の魔道具を守って頂きましたからね。私も協力しますよ」
嘘、だろ。皆が俺を助けてくれようとしてくれている。もしかして、俺の顔から簡単に考えることが読み取れる程わかりやすい表情になっていたのか。そうだとしても、だからといっても普通は、「はい、そうですか。」と言われて終わりだ。助けてくれる人なんて、そうそう見つかるものではない。
梨沙さんとは、良き友人になれたとは思っているが、それでもやっぱりただの居候である俺の代わりに賠償金を払ってくれようとしている。
白妙姉妹の二人も、俺がこの店の泥棒を捕まえたとはいえ、俺の賠償金について協力すると言ってくれている。そもそも、泥棒を俺が捕まえた後にもう関わらないという事も出来ただろう。実際、俺のいた世界では、このようなこといとも容易く行われているだろう。
「みんな、ありがとう」
俺は感じている。こんなにも優しい世界があるという事を。いや、世界ではなく人か。こんなにも親切な人など滅多にいない。俺、皆に感激しているのかな。
「でも、一つだけ提案。というよりお願いかな。取り合えず一つ、いいかな」
と真優さんが言った。
「分かった。何、かな」
俺はノータイムで返事した。何故ならば、真優さんの願いが何であろうと、強制労働所送りよりは九割九分九厘の確率で絶対に良いに決まっている。
「それでは……私と友達になってくれませんか」
「え、当然、良い、けれど。それだけ、で、良いの」
流石に拍子抜けした。てっきり、想像もつかない位、もっと酷いというかヤバいお願いでもされるのかと思った。
「勿論。ありがとう。これで店員と客の関係は終わりね。これからは容赦無く素の私で行くわよ。さっきまでちょくちょく素が出てたけど、それは気にしないで。よろしく、夢咲くん」
「こちら、こそ、よろしく」
いやぁ、本当に良い人だなぁ。アホみたいに高い賠償金の代償が、友達になってくれだなんて。こっちからしてもこの世界に友達が出来るなんて嬉しい。
……ん、あれ、ちょっと待って。今さっきなんと言った。今、夢咲くんって。くんって言ったよね。
ぴゃあああ、ヤバいよ、女装バレちゃってるよ。強制労働所送り回避した瞬間に社会的に死ぬなんて……
「いやいや、流石に晒し者にしたりはしないから大丈夫だって。それに私が変な偏見を抱いていたら友達になってくれなんて言うわけ無いでしょ。詳しい事は梨沙ちゃんに聞いたから、私も真弥姉も全然気にしないって」
……俺、また顔に気持ちが出てたのか。何を考えていたのか簡単に読まれてる。でもこれは梨沙さんに感謝だな。変な誤解を解かなくてもすむどころか、誤解すら生まれていなかった。
「真優ってば私と魔道具の事ばかりで友達があまりいないの。だから仲良くしてあげて下さいね」
「わかり、ました。よろしく、ね」
「ちょっと真弥姉、そんな余計な事言わなくてもいいからぁ」
真優さん、友達いないのか……でもそれを否定しないなんて結構素直な人なのかな。
「コホン。まぁ、そんな事はどうだって良いのよ。本題に入るわよ。夢咲君の賠償金は私が全額持つわ」
「え、はい、ええ、あの、本気、なの」
あり得ないでしょ、なに考えてるのこの人。俺が一文無しなのは分かってるのかもしれないけど、全額持ってくれるっておかしいだろう。そこまでお人好しだと、将来絶対に騙されて損するぞ。そうでなければ、責任を感じ過ぎだ。責任感が強いのは良いことだが、限度というものがある。
「……何よ、その奇人とか宇宙人とかを見るような目は。あのねぇ、私にだってまともな理由はあるのよ」
コ◯モ星丸を見るような目で見ていたんだけどなぁ。いや、宇宙人の線は案外当たらずとも遠からずかもしれないけれども。




