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序曲 クランジネス=メロディ.
学校帰りの夜の道
月の明かりが夜空を照らし
人の灯が街を照らす
いつも変わらぬこの道で
僕は静かに眼をつぶる
喧しく鳴く虫達に
もう聞き飽きた家の声
あぁ ツマラナイツマラナイ
今日もいつもの帰り道
僕は静かに眼をあけた
―――いつの間に?
家はアッチ それなのに
正反対の方向に 身体が勝手に向いていた
無意識に ただ無意識に…
僕は家から離れていった
誰かの歌が聴こえる
それは美しく…
何か懐かしい…
ふと夜空を見上げると 歌が一面に広がっていた
いつしか身体は歩くのをやめ
小さな公園の前で じっと
その歌声を聴いていた
その旋律は不器用で
しかし どこか惹かれるメロディ
旋律の主である少女は
こちらに気づき 近付いてきた
そして少女は歌を終え
「もう一曲、いかが?」
少女は笑顔だった