ノラはニーチェに恋をする。
小さな箱に入ってた。
小さなニーチェが入ってた。
ニーチェの目は片方見えない。
だけどとっても強いネコ。
「ニーチェがノラを守ってあげる。」
ボクがほかのネコにいじめられていたら、
いっつもニーチェがボクを守ってくれるんだ。
ボクの方がお兄さんなのに・・・。
春になったら日向ぼっこ。
ぽかぽかお日様、ボクらを照らす。
ふたりでいたら、しあわせなんだ。
夏になったら路地裏へ。
ニーチェは涼しい場所への案内人。
日陰でゴロゴロ過ごすんだ。
秋になったらごはんがおいしい。
ふたりは食の探検家。
冬になったらふたりで眠る。
ボクらは互いに湯たんぽ替わり。
ふたりでいたら、しあわせなんだ。
だけどある日、
ニーチェは世界が見えなくなった。
それでもニーチェは笑ってた。
太陽みたいに笑ってた。
「ノラの見ているものを、ニーチェにもおしえて。」
「そしたらニーチェの目は見える。
ノラと同じ、世界が見える。」
ボクらはふたりで、ひとりになった。
「今度はボクが守ってあげる。
ニーチェをずっと守ってあげる。」
春も夏も、
秋も冬も、
朝も昼も夜も
ずっと、
ふたりでいたら、しあわせなんだ。