始まりの風
物語の始まり。
零章
花吹雪市。
花が吹雪のように舞う事から付けられた。
その市の中にある小さな町がある。
それが花町。
一年中綺麗な花が咲き観光名所とまでもなった町。
その町に住む者は生まれ育った者が多い。
それは、花をこれなく愛するから。
花に囲まれた生活が好きで花を育てやすい町でもある。
その為かこの町から出ようとする者が殆どいない。
町の中でも有名な一件の花屋がある。
「風花、この花緑川さんのとこまで配達お願い!」
その花屋の次女である風華。
彼女は家の手伝いをする高校2年生。
「はーい!お姉ちゃんは?」
いつもなら配達は姉の仕事らしい。
「あの子は経営の勉強よー」
代々続く花屋だ。
跡継ぎは自然と長女か長男。
次女である彼女は家を継ぐことはない。
「分かった!行ってくるね」
簡単な身仕度を終え、花を持ち配達先である緑川という家に向かおうと家を出た。
「ご自宅分かる?」
配達用の自転車に股がった所で母に声を掛けられたが彼女は首を傾げながら答えた。
「うん、緑川さんって華道のお家でしょ?」
「えぇ」
母の声に風花は満足そうに笑った。
______なら分かる。
言葉を交わさずとも家族だ。
少なからず分かるのだろうか母・美花は行ってらっしゃいと声をかけた。
ざわっ....
風が吹き、花が舞う。
まるで物語が始まろうとする合図の様に...。
そして、風花が配達をすることによって彼女の運命が変わる事を今は誰も知らない。